妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

いもうと

2008年03月22日(Sat) 10:15:28

1 ママを訪ねてくる男

その男は、いつも真昼間から家にやって来て。
ママと逢っては、犯していた。
パパよりはだいぶ若くて、逞しくて。
それでいてひどく、落ち着いていて。
やせっぽちで大人しいパパの仲良しにしては、ひどく不釣合いなくらいだった。
ちょっぴり神経質なパパとちがって。
男は頭がよさそうなくせに、妙に人なつこくて。
ボクはママとの関係を知りながら、いつの間にかひどくなついてしまっていた。
だから・・・ママとの関係も、許せたんだと思う。
夫婦の寝室でママの服を脱がせているところを、偶然見てしまったとき。
初めての体験に、ボクは大人の仲間入りをしたような気分になって、
エッチなことを不潔だ・・・なんて思っているくせに、
むしろドキドキと胸昂ぶらせながら、オトナの秘密を覗き見してしまっていた。
男は夜、パパがいるときだって、かまわずに現れた。
だって、パパとはとても打ち解けた仲良しだったから。
そういうとき、いつも気難しくて厳しいパパは、人が変わったように上機嫌になって。
男に気前よく酒を振舞い、奥の部屋に招き入れて。
夜遅くまで、いっしょにすごすのだった。
男のことをボクは親しげに、「小父さん」とだけ、呼んでいた。

覗いていいだなんて、いちども言われたことはなかったのに。
ボクが覗くのに、つごうのいいように。
ママとエッチをするときは、いつもふすまを細めに開けていた。
それは夜訪れて、お酒に弱いパパが寝入ってしまって、ママとふたりきりになるときも、決まってそうだった。
覗かれているって、わかっていながら。
ボクには声ひとつ、かけないで。
着飾ったママの服を、ひとつひとつ脱がしていって。
ストッキングをずりおろして、むき出しになった太ももを、こちらいよぅく見えるように位置を変えながら。
いつも厳しいはずのママは、小父さんに甘えるように、ぬるりとした白い肌を、じぶんのほうから寄り添わせていって。
すねたように鼻を鳴らして、逞しい背中に腕を巻きつけていった。
そう。たぶん、きっと。
ママも、気づいていたのだ。
息子が覗いているということに。
そして、興奮しながらいちぶしじゅうを見届けているということに。

ボクたちは、暗黙の共犯者。
ママは公然と、ボクのまえでパパを裏切り、
小父さんは、息子のまえでその母親を狂わせて。
そしてたぶん・・・パパもそれを識っていながら、黙認していた。


2 女ものの靴下

小父さんは、女のひとの穿く長い靴下が好きだった。
それはストッキングのときもあったし、たまにはハイソックスだったりしたけれど。
夜訪れるとき、きまって盛装しているママの脚から抜き取られるのは。
ほとんどいつも、肌の透ける黒の薄々のストッキングだった。
あるときは、白いシーツのうえ。またべつのときには、ひんやりとした畳のうえ。
誘惑するようにぬるりと横たわる、薄墨色に染まった脚。
小父さんはおおいかぶさるようにして、ママのふくらはぎにかがみ込むと。
唇を這わせて。ぬらぬらと、ぬめらせていって。
ちゅうっ・・・って、音をたてて吸って。
そのたびに薄手のナイロンは、むっちりとした脛の周りにふしだらな引きつれを浮き上がらせた。
大人びて清楚な装いが、そのときだけは。
ひどくふしだらに、ボクの網膜をよぎっていった。

小父さんは、もう我慢できない・・・というように身体を打ち震わせて。
ママのストッキングに手をかけて。
ぴりり・・・ぴりり・・・破いていった。
パチパチ音を立てて引き裂かれた薄手のナイロンは、
大人しく開かれたままになった、ママの脚から引き抜かれて。
男はママの無抵抗をいいことに、
黒のストッキングを、ずるずろと脱がしてしまうと。
悦に入ったように、にんまりほくそ笑んで。
手に取った獲物を、ママの目のまえこれ見よがしに広げてゆく。
ひんやりと静まり返った部屋の空気のなか、まるで天女の羽衣のように、ふわふわと。
透明な薄衣は音もなく、たなびいていた。
男はそれを得意そうにぶら下げて。
まだ明けやらぬ夜の路へと、忍び出ていくのだった。


3 舞ちゃんのストッキングが欲しい・・・

ねぇ。ケン坊。
小父さんは路にしゃがみ込んだまま、上目遣いにボクを見る。
女のひとの穿くストッキング、小父さんが好きなことは知っているだろう?
う・・・ウン。
ボクが口ごもりながら、ともかく返事をすると。
すこし打ち解けたように、ほほ笑んで。
舞ちゃんの黒のストッキング、こんど持ってきてくれないかい?
まえにもママのストッキングを、ねだられて。
箪笥の抽斗から、こっそりと持ち出して。
小父さんのおうちまで、届けに行ったことがあったっけ。
そのあとママは、なにも言わなかったけれど。
間違いなく、ボクの悪戯に気がついていたはずだった。
小父さんはその夜、ママがいつも穿いている黒のストッキングを、ズボンの下に穿いてきて。
スリッパに収まった透ける足首を、ママはパパの視線をはばかりながら。
恐る恐る、視線を流していたんだっけ。
舞は中学にあがったばかりの、ボクの妹。
濃紺のセーラー服の下、薄黒く映える足首は。
いままでとは別人のようにオトナっぽくて。
時おり男の視線で盗み見てしまっているのを、小父さんはきっと感づいていたはずだった。
ウン・・・いいよ。
応えをかえしたとき、なぜか熱っぽく声を上ずらせて。
ボクは舞を売るつもりになっていた。

封の切っていない黒ストッキングを差し出したとき。
小父さんは愉しそうに、あはは・・・と声をたてて笑った。
あまりにもあっけらかんとした笑いに、さすがのボクも自分の見当違いに恥ずかしくなって。
けれどもいまさら、どうしようもなくって。
頭を掻きながら、エヘヘ・・・って、笑い声だけを合わせていった。
ほんとうは、本人を連れてこさせて。
学校帰りの黒ストッキングを、まんまとせしめようというこんたんだったのだ。
せっかくだし、もらっておくね。
優しい彼は、共犯者のへまを咎めだてひとつしなかった。
「女子中高生専用」と書かれたストッキングのパッケージは。
セーラー服姿の女の子がにっこりほほ笑む絵柄になっていて。
妹の舞よりか、そちらのほうがずっときれいなのに。
小父さんはあくまでも、舞にこだわっているようだった。

罰ゲームだ。履いて御覧。
小父さんが口にしたのは、信じられない言葉だった。
え・・・?
ボクが思わず、訊きかえすと
ほら、って。ほほ笑む女学生を突きつけられて。
男の子らしい羞恥心むき出しに、まさかあ・・・って言ったけど。許してもらえなくって。
ボクは言われるままに、パッケージを破って、
どうやって履くのかわからないで、戸惑っていたけれど。
小父さんに教えられるままに、脚に通していった。
ぐーんと伸びる薄手のナイロンを。
ハイソックスのように、すんなりとひざ下まで引き伸ばしていた。
見あげた小父さんは、目を潤ませながら。もっと・・・って、囁いていた。
なよなよとした感触に、とまどいながら。ひざ小僧から太ももへと引き上げていって。
じわーんと広がる薄墨色が、ボクの脚を女のように彩った。
薄い皮膜におおわれた太ももは、ズボンをはいていたときよりも、すーすーとして肌寒くって。
寒いだろ?小父さんはボクのことを見透かしたように、そういうと。
足許にかがみ込んで、ボクのふくらはぎを、すうっ・・・とべろで舐めあげていた。
ちょうど、ママに対してそうするように。
同性愛のケは、ないつもりだったのに、ぞくっとしてしまったのは。
ママもこの舌に、支配されている。
その事実を、まざまざと自覚してしまったから。
妹さんの脚にも、こんな悪戯をしてみたいね。
じいっと見あげてくる小父さんの目は、笑っていなかった。


4 連れ出して

舞を連れ出すのは、かんたんだった。
だって小父さんは、親戚みたいに我が家にしげしげ通ってきたのだから。
舞もひどくなついていて、初めての制服姿も、自慢げに見せびらかしてくらいだった。
おっ、女ぶりをあげたな。
まるで一人前の女性に言うような言葉を投げられて。
そお?・・・って。まんざらでもなさそうに浮かべた笑みは。
どこかなまめかしい翳をよぎらせていて。
傍らで眺めていたボクを、はっとさせたほどだった。

中学の勉強、難しいだろ?小父さんが勉強見てくれるってさ。
そんな誘いに、舞はむしろ嬉しげに笑って。
なにも知らずに制服の袖を通して、いそいそとついてきたものだった。
紺色のスカートの下は、お約束どおり黒のストッキング。
だって舞の通っている学校は、名門の私立で。
黒のストッキングを履く学校だったから。

乾いた舗道のうえ。
ぴたぴたと歩みを進める、黒のストラップシューズにくるまれた足首は。
真新しいストッキングごし、肌を青白く浮かび上がらせていて。
まるで一人前のレディのような雰囲気を、なまめかしく漂わせていた。
すんなりと伸びたふくらはぎは。
ついひと月まえまで、白のハイソックスにくるまれていたころとはうって変わって。
薄墨色に縁どられたなだらかなカーヴが、いっそう悩ましく、ボクの網膜を惑わした。
この脚を小父さんに、あげちゃうのか・・・
ボクはなぜか、ジリジリと胸を焦がしていて。
灼けつくような想いに、ひどくとまどってしまっていた。

連れてきたよ・・・
小父さんの家にあがったとき。
ボクは声を上ずらせていた。
ぴかぴかに磨き上げられた小父さんの家の廊下に、舞が靴を脱いだつま先をすべらせたとき。
薄っすらとした補強に包まれた足指のなまめかしさに、ひどくどぎまぎしてしまったから。
じゃあ、キミはここで待っていてね。
小父さんはいつものように、人懐こくウィンクすると。
ボクはもう逆らえずに、肩に掌を添えられた細い肩を見送るしかなかった。
肩先でおびえたように震えていた三つ編みのおさげが、あっという間に、閉ざされるドアの彼方に飲み込まれていった。

十五分と、ガマンできなかった。
覗かない・・・って、約束だったけど。
ボクは恐る恐る部屋のドアをあけて、二階にある小父さんの書斎に通じる階段を、
かすかなきしみさえ、心すくませながら。
一歩、一歩・・・進み出ていった。
見てはいけないものを、覗き見するために。

廊下の行き止まりのドアは、まるでボクがくることを予期していたみたいに。
これ見よがしに、半開きになっていて。
かすかな声が、洩れてきた。
まだ、ただのひそひそ声だとわかっていても。
なにを囁いているのか。どんなことを、吹き込まれているのか。
舞の耳たぶにそそぎ込まれた毒液が、鼓膜を震わせるのを。
ボクは背後から、胸ズキズキさせながら、盗み見てしまっていた。
後ろを向いたセーラー服姿は、白のラインが三本走った襟だけが、やけに目だっていて。
きちんとお行儀よく腰かけたイスの下、
なまめかしいストッキングに包まれたふくらはぎは、むぞうさに軽く交叉していて。
じわりと白く滲んだ足の裏が、どきりとするほど、なまめかしかった。

なにを囁いているのか、ほとんど聞き取れない声に。
舞はうんうんといちいち頷いていて。
そのたびにちょこんと揺れる、三つ編みのおさげが。
真新しい制服に走る、鮮やかな白の三本線のうえ。
かわゆらしく、それでいて、妖しげに震えていた。
鼓膜にしみ込んでゆく、あの穏やかに優しげな声色が。
無垢な心を、どす黒いシミで浸してゆく・・・
その過程を、まざまざと見せつけられて。
ママが堕とされるのを、覗き見するときよりも。
抵抗を感じて・・・そしてひどく昂ぶってしまっていた。

男は舞の首筋に、ひっそりと唇を近寄せていって。
すんなり伸びた首筋と。渇きにたぎった唇と。
その差はみるみる、迫っていって。
それでもボクは、ひと言「危ない」って、声を出すことができないでしまった。
少しずつ。少しずつ。
小父さんは舞の細い肩先におおいかぶさるようにして。
しまいにグッと抱き寄せると、まるで吸血鬼みたいに、唇を吸いつけていた。
きゃっ。
舞はちいさく叫んだけれど。
そのまま身体をすくませたまま。
うなじをちゅうちゅうと、吸われていった。
古めかしい椅子の下、黒のストッキングに包まれた足首を、キュッと引き締めながら・・・

キスをねだられた。
ちょっとだけ、いやいやをしていた。
挑発するように、頬に触れられた。
困ったように、笑っていた。
けれども笑みくずれた唇と、そこからのぞいた白い歯は。
すぐに男の唇に、呑み込まれていった。
我が物顔に抱きすくめられてゆく、セーラー服の後ろ姿に。
一人前の女を見てしまった気がして。
ボクはズボンのなか、股間を昂ぶらせてしまっていた。

男は舞の足許に、かがみ込んでいって。
ボクのとき、そうしたみたいに、ふくらはぎに唇を近寄せる。
舞は困ったように見おろしながら。
それでもおずおずと、ふくらはぎを差し出していった。
清楚で知的な黒のストッキングに包まれたふくらはぎが、とてもおいしそうに映えていて。
ボクは思わず、舌打ちしちゃったけど。
愉しげに悪戯しあっているふたりには、聞えなかったみたい。
お目当ての黒ストッキングの足の甲に接吻を重ねながら。
薄いナイロン一枚へだてた、向こうとこちら。
女はエッチな秘め事を、悪戯みたいに愉しんでいて。
男はとうとう手に入れた若い女の肌を、ナイロン越しに味わっていった。
愛人の娘の味は、どれほどだったのだろう?
でもボクは、まだそんなことにまで思い至らないまま。
ただはらはらと、いちぶしじゅうが終わるのを待ち焦がれていた。

男は小声で、おねだりをしている。
ボクに舞のストッキングをねだったときと、おなじように。
舞は恥ずかしがって、なんどもかぶりを振っていたけれど。
しっかり掴まれてしまっている両方の足首を見おろしながら、ちょっぴり悔しそうに。
ここまで聞えるほどの、ハッキリとした声で。
「いいよ」って。囁いてしまっていた。
小父さんは、いつもの得意げなにんまりとした笑みを浮かべながら。
もういちど、舞の足の甲に、チュッと音をたててキスすると。
薄黒いストッキングを、引き裂いていった。
ぱりぱりと、悲鳴のような音をしのばせながら。
引き剥がれてゆく薄手のナイロンは、白い地肌をさらけ出してゆく。
お気に入りのストッキングを、むざんなまでに破かれたとき。
舞はちょっとだけ、涙ぐんでいたけれど。
ひざ小僧まで、まる出しにされてしまうと、エヘヘ・・・と子供っぽく笑いながら。
もう片方の脚も、差し出して。
ブリブリと音たてて、破かせちゃっていた。

待たされていたはずの部屋に戻ったとき。
はじめて、ズボンを濡らしているのに気がついて。
そこにあったティッシュボックスが、ほとんどからになるまで、
うろたえながら、拭っていた。
しばらくして戻ってきた舞は、なにごとも起こらなかったような、取り澄ました無表情。
いつもの控えめで無口な、大人しい女学生に戻っていた。
女というのは、怖いなって思った。
ママだって・・・パパのまえでは貞淑な妻。
ボクのまえでは、厳しい母親なのだから。


5 処女喪失

その日、小父さんがさいごまで舞を姦っちゃわなかったのは。
愉しみは、さいごまでとっておきたい。なんども味わいたい。
そんな理由だと、いわれなくてもわかっていた。
黒のストッキングを破かれちゃった舞は、素足で現れたけど。
そのことに、なんの説明も弁解もしないで。
もちろんボクも、そんなことを切り出す勇気はまったくなくて。
ふたりほとんど言葉も交わさずに、家路をたどったのだった。
真っ白な舞の脚は、恥ずかしいほどあからさまで。
目のやり場にこまるくらいだった。

どうして舞を犯さなかったの?
愚問だってわかっていながら、訊いたとき。
小父さんはいつもの愉しげな笑いを響かせて。
早く犯されたい?って、ボクの困るような質問を向けてきて。
ボクが顔を紅くして、黙り込んじゃうと。
ごめん、ごめん。困らすつもりはなかったんだ。
頭をかいて弁解しながら。
両手でなにかをかかえるような仕種をして。
舞のおっぱいが、これくらい大きくなったら。
犯すよ・・・って、囁いてくれた。
まるで自分が犯されちゃうみたいな羞ずかしさに、
ボクは知らず知らず、視線を落としてしまっていた。
革靴を穿いた小父さんの足首は。
そのときも、どうやらママのやつらしい薄い靴下に、黒く輝いていた。

どこの家の男の子でも、おなじように。
家にいて、ふざけて妹の胸を触ったりすることはあるけれど。
服の上から感じる、あのぷよぷよとした半熟たまごみたいに柔らかいおっぱいは。
日ましに、大きくなっているような気がして。
そのたびに、ふつうのお兄さんが感じるのとはべつの想いがこみあげてくる。
舞のおっぱいが、小父さんが両手を拡げたあの大きさまでふくらんでしまうと。
犯されちゃう。
まだ、まだ、大きくならないで・・・
ボクの願望とは裏腹に。いや、もしかすると正直な願望どおりに。
舞の胸は、急速に熟れはじめた。

そのあいだも、ずっと、舞は小父さんに勉強を教えてもらっていた。
頭のいい小父さんは、実際に勉強を教えても教え上手だったけれど。
もういっぽうの教えのほうに、舞も夢中になってしまっていて。
制服のうえからまさぐりを入れてくる掌に、ひたすら声を忍ばせていた。
ボクはママから、いつも舞の送り迎えをおおせつかっていて。
正直、気のすすまないときもあったけれど。
断りきることは、できなかった。
何よりも愉しい、ママと小父さんがセックスするシーンを覗き見させてもらえなくなっちゃいそうだったから。
ボクはいつもいい子のふりをして。
なにも知らないそぶりを、どこまでもとりつくろって。
素直に「はい」と、言いつけどおりに舞を連れ出していた。
舞はママに言われるままに、足しげく、勉強を教えてもらいにいって。
濃紺の冬服が、真っ白の夏服に変わってからも。
舞は黒のストッキングの脚を、かえなかった。
ストッキングを1ダース、だめにしてしまったとき。
初めて、小父さんに処女を捧げた。

その日学校から戻ってくると。
ママはいつになく、改まった顔つきになっていて。
きょうは絶対、舞についていってあげて。って。
さりげなく、ストッキングの穿き替えを手渡された。
そんなことは、いままでに。ただのいちどもなくって。
舞はいつも、学校帰りに履いていた黒のストッキングを惜しげもなく破かせてしまうと、
そのまま素足で家に戻ってきたのだけれど。
太ももに流れる血を、気にしたのだろう。
そんなふうに感づいたのは、だいぶあとのことだった。

いつもは足の遅い舞の手を引いて、送っていくのに。
きょうはすこし後ろから、舞のあとをついていく。
無自覚に、足どりが忍び足になるのは。
薄黒くなまめかしく染まった脚を盗み見る後ろめたさから?
それとも、これから女になると知ってか知らずか、いつもよりも大またに歩みを進める少女への気後れから?
ゆさゆさと揺れる長い黒髪は、いつのまにか、とうに三つ編みを卒業してしまっていて。
白い三本線の走るセーラー服の襟のうえを、踊るように波打っていた。

真っ白な夏服が、小父さんの逞しい猿臂に抱きすくめられてゆく。
ボクはいつものように、階下の部屋で待たされて。
ふたりが視界から消えると、大人しく待っているそぶりをかなぐり捨てて、足音を忍ばせていた。
その日のふたりの行動は、いつもよりはやかった。
舞はきょうという日を、意識していたのか。
足許にかがみ込む男に、まるで貴婦人が脚にキスを許すときのような、大人びた優雅さで。
足の甲への接吻を、受け入れていた。
男の腕のなか、かすかにゆれたおとがいがわずかに上向くのを。
いつになくワイルドに輝く口ひげが、視界をさえぎってゆく。
熱く長いくちづけに、ボクは意気地なくがたがたと震えながら。
まるでじぶんがそうされているかのような気分を味わっていた。

紅いじゅうたんのうえ、じぶんから姿勢を崩していって。
舞はスカートを穿いたまま、ゆっくりと脚を拡げてゆく。
整然と走る征服のスカートのプリーツが、折れ曲がるようにくしゃくしゃにされていって。
あらわになった白い太ももを、ひざ上までのストッキングの口ゴムが、ひときわ濃く横切っていた。
ほっそりとした指先が、腰周りを覆う水玉もようのパンティを、器用にまさぐりずり降ろしてゆく。
いつもママを征服し狂わせている逞しい腰が、ひときわ筋肉を隆起させて。
か細い舞の腰に、ずぶずぶと沈みこんでゆく。
その瞬間。
さすがに舞は、声を呑んで。痛がって、すすり泣いて。
けれども階下で待っている(はずの)ボクに、聞かれまいとして。
身を縮こまらせながら、必死に歯を食いしばっていた。
夕闇が濃くなって、夜の帳がおりていって。
包まれた闇のなか、ふたつの影はいつまでも、動きを止めない。
当たり前に待っていても、とうに待ちくたびれてしまうはずの刻が過ぎていたのに。
ふたりはボクを待たせていることも忘れたように、せめぎ合い触れあいつづけていた。
ボクはそのあいだ、しじゅう身体を震わせながら。
とっくに闇に隠されてしまっているはずの白い肌は、想像のなかありありと浮かび上がっている。
汚された白い肌。
それはまるで刻印のように、ボクの網膜から消えることはない。

ボクはママから渡されたストッキングの穿き替えをポケットから取り出して、
知らず知らず、まさぐりつづけていた。
まるでそれが、舞じしんであるかのように。
なんどか舞が脚を通したストッキングは、持ち主のぬくもりを宿しているようなかんじがした。
しなやかなナイロンの感触が、指先に絡みついてきたとき、
薄々の生地に浸されていた生娘の肌の気配をかんじて、
とうとうガマンできなくなって、つま先をさぐっていて。
いっきにひざ小僧まで、引き伸ばしてしまっていた。
あのときいちどだけ履いてみた女の子用のストッキングは、
筋肉の隆起したボクの太ももを、ゆるやかに縛りつけていった。
ぴっちり張りつめたナイロンの感触に刺激されるようにして。
覆った両手のなか、熱いほとびがはじけるのを。
もう・・・どうすることもできないで、ほとぶままにほとばせてしまっていた。

6述懐

初めてだったのよ。お父さん以外の男のひと。
でもね・・・いっぺんに、感じちゃったのよ。
だから、思ってしまったの。
ほんとうはこのひとに真っ先に、抱かれたかった。
でもそれはもちろん、かなわない夢。
だから・・・
私の代わりに、あの子の処女を、プレゼントしたかったのよ。

女の子はみんな。
大きくなったら男のひとに、大人の女にしてもらうものなのですよ。
あなたも・・・あの小父さまに。
ちゃんと大人にしてもらうのよ。
生理のときだけは、ママに言いなさい。
そういうときは、相手の男性に迷惑をかけないように。
逢いたくても、逢わずにガマンしなくちゃいけないから。

あの子は、おとなしい子だったから。
私がそんなふうに、言い含めても。
素直にお兄ちゃんに連れていってもらっていた。
女にしていただいたあの晩に。
すべてを見届けてしまったあなたは。
昂ぶりのあまり、部屋に入ってしまって。
魔物になってしまっていたあのひとに、そそのかされるままに。
はだけた制服姿に、息遣いを合わせていって。
おそるおそる、手足を重ね合わせていって。
そのまま、実の妹と契ってしまったのね。

あのひとがわたしたちの視界から消えて、
貴方も大人になって、好きな女のひとと、結ばれて。
もう・・・それでおわりになるかと、思っていたら。
思い出したように現れたあのひとは。
また、舞とも、私とも・・・よりをもどしてしまった。
知っているんですよ。
あなたまでもが、うれしさのあまり。
実妹との過去を暴露するぞって、わざとあのひとに自分自身を脅迫させて。
あなた自身が描いた筋書き通りに、要求に屈したそぶりをして。
かつて舞を連れていったときみたいに、胸わくわく弾ませて。
祐子さんのことを、連れて行ってしまったのね。

はからずも。
舞を連れ出した時の経験が、活かされてしまった。
どんな貞淑妻でも、いちころですわね。
あの晩どれほど、祐子さんが乱れたのか。
わたしが翌朝、お宅を訪ねたのは・・・そう。様子を見に行ったのですよ。
あのひとの女にされたひとは、みな同じ。
それとなく、取り繕っていたけれど。わたしにはすぐに分かった。
放心したみたいになって、瞳を虚ろに輝かせて。
でも、気づいていなかったのね。
濃紺のタイトスカートの裏地に、あのぬらぬらとした粘液を光らせたままにしていたことを・・・
忌まわしくもいとおしい、あのひとの名残り。
指先ですくいとって、目のまえで舐めてあげたかった。

あれからお宅・・・お盛んみたいね♪
声がするって・・・評判ですよ。
どうやらあなたの声ではないときの夜も、あるみたいだけど。
あちらにお泊りのことも、あるようね。
声がするって、評判ですもの。
週に四日、差し上げているんですって?
いいわね。数では譲って差し上げないと。
もうあのひとも、齢ですから。
くまなく舐め尽して狂わせる術は、いまだに健在だけど。
もう、子種を仕込まれてしまう危険はないでしょうから。

いいえ・・・責めているわけじゃないのよ。
だって、貴方のお父様も。
そうやって、妻が犯される風景を愉しんでいたのですから・・・
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