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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

情夫もちの婚約者

2008年03月27日(Thu) 07:52:06

彼氏がいるんですよ。わたし。
それでもつきあっていただけるのですか?
お見合いの席、初めて顔を合わせたそのひとは。
ふたりきりになってすぐ、ひっそりとした上目遣いをしながら。
わたし以外のだれにも聞き取れないほどの低い声で、
そっと告げたのだった。

その場で立ち去ってしまっても、もちろんかまわなかった。
許容できるシチュエーションでは、とうぜんなかったから。
仲人をしてくれたご夫婦に、それとなく苦情を申し立てても、
ひととおりではない謝罪を受けるくらいの衝撃だったから。
けれどもわたしがそのまま席を立たなかったのは。
か弱くはかなげな白百合のような頬に魅かれただけでは、もちろんなくて。
自分でもまったく自覚の及ばない、なにか呪縛のようなものが。
わたしを痺れさせ、その場に縛りつけてしまったせいだった。
お話を伺いましょう。どういう男性なのですか?
返した応えに、彼女はちょっとびっくりしたようだったけれど。
ひと呼吸、声を呑み込むと。
安堵と感謝の込められた声色で、語りはじめたのだった。
満ち足りた生気に、いつしかさえない顔色をさえ、取り戻して。

ふつうのかたでは、ないんです。
父も母も、よく知っているひとなんです。
結婚なさっていて・・・そのうえ吸血鬼なんです。
吸血鬼?
わたしは耳を疑いながら。それでも真実味のこもった声色に、さきをうながしただけだった。
逢って・・・いただけませんか?あのかたに・・・
どうしてそのとき、ああもすんなりと頷いてしまったのだろうか?

彼女にはとても、感謝しているんです。
処女の生き血がどうしても、必要なんですよ。
それに・・・女房の血だけでは、足りなくて。(^^ゞ
あいつの顔色が悪くなると、ついお呼びたてしてしまうんです。
訪れたお宅は、庭に雑草が生い茂った古い一軒家。
奥さんはちょうど、外出中で。
彼女もさりげなく、席をはずしている。
はじめて接する、吸血鬼と呼ばれる男性は。
ごく目だたない、さえないかんじの中年男。
とぼけた口ぶりは、むしろ洒脱といえるくらいに小気味よく、
ふたりの関係を縷々と説く口調にも、不快感はまったく覚えなかった。
女房のやつは女房のやつで。
きょうは出かける・・っていって、ぷいと出てっちまいましたがね。
あいつはあいつで、ほかに男がいるんですよ。
そいつにも、血を吸わせてやっているみたいでして。
よく顔を蒼ざめさせて、戻ってくるんですな。
ヘンな関係でしょう?
でもこの村では、よくありがちなことなんですよ。
村に転勤してきて、もうじき一年が経とうとしている。
上役にお見合いを勧められるほどに、親しい人のふえたこの村に。
いつか離れがたい風情を感じはじめてはいたけれど。
首筋に痕をつけられたのは。きょうが始めてのことだった。

ふーん。大変なんですね。
でも貴方のお話だと、あのひとはまだ処女なんですね?
ええ。処女ですよ。
男は恋人の自慢をするような顔つきで。
はっきりと、私の問いを肯定した。
わたしが彼女を妻に選んでも、お逢いになりつづけるおつもりですか?
貴方がそれを、嫌わなければいいのですが。
控えめな口調の裏には、強い希望がひそんでいる。
わたしはゆっくりと、口を開いて。
じぶんでも信じられないようなことを、口走っていた。
もしも、お差支えがなかったら。
彼女と逢っているところを、拝見してもかまいませんか?

公園の片隅の、雑木林。
彼女は木にもたれかかった姿勢で、
男に抱きすくめられていて。
まるで恋人に接吻を許すようなしぐさで、
首筋をつよく、吸われていた。
キュッと閉じたまぶたに漂うのは、甘い陶酔。
それは、だれにも入り込むことのできない関係を、立証するかのようだった。

お嬢さんをぜひ、わたしの妻に迎えたいのですが・・・

村で挙げた祝言は。
それは盛大なものだった。
未亡人だった母は、まったく問題もなく。
お式の引き出物がわりに・・・と。
たたみのうえ、押し倒されたまま。
黒のストッキングの脚を、ゆっくりと開いていって。
黒のスカートのなかに秘められた貞潔を、
幾人もの、自分の息子とおなじくらいの年恰好の若者たちに、
気前良く漁り取らせてしまっていたし。
姉夫婦は姉夫婦で。
すっかり意気投合した年配の男たちを呼び入れて。
こぎれいなスーツ姿をしどけなく乱した姉は。
父親とおなじくらいの年配の男どもが群がるなか、
白い膚を惜しげもなくさらしていって。
そんなようすに、姉婿は。
裸に剥かれ縛られたまま。
姉に注いでいた熱い粘液を。
びゅうびゅうと畳に散らしていった。

そんな宴の繰り広げられる、おなじ屋根の下。
奥まった一室で。
初夜の床で向かい合わせになったわたしは。
花嫁の頬に、軽くキスをして。
なにかをそっと、ささやいた。
花嫁は頬をぱっと赤らめて。
しんそこ深い感謝の念を、まなざしにこめながら。
では、お招きしますね。と。
座を起って、ふすまごし、なにかを囁いている。
わたしは反対側のふすまから、部屋を抜け出して。
細めにひらいたふすまごし。
いちぶしじゅうを見守っている。
向こうから聞える悲鳴と嬌声は。
母のものだろうか?姉のものだろうか?
それとも花嫁の友人たちのものだろうか?
そんなことは、うっちゃってしまっていて、
わたしはいっしんに、ふすま越しの光景を、網膜にしみこませてゆく。
入れ違いに、初夜の席に侵入したあの男は。
我が物顔に、花嫁を抱きすくめて。
さっきわたしたちが交わしたよりも、深い接吻を熱く交し合って。
そうして、白いスリップ一枚になった花嫁を、
ゆっくりと、押し倒していったのだった。

すべてがすまされてしまったあと。
取り返しのつかないことをしでかした新妻の謝罪を受け入れながら。
純白のガーターストッキングに散らされた純潔な血しおを目にすると。
わたしはもう、いてもたってもいられなくなって。
初めて・・・女を識ったのだった。

以来男はいまでも、ひっそりと我が家の玄関に立つ。
わたしはあのときとおなじように、夫婦の寝室を抜け出して。
入れ違いに侵入してきた吸血鬼が、人妻を襲うありさまに。
じわりと股間を逆立てながら、息をひそめつづけている。
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朝が待ち遠しい。

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