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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

秘せられた儀式

2006年04月09日(Sun) 09:13:22

「兄様、よろしいかしら?」
ふすまを細めに開いて顔をのぞかせたのは、妹の美夜。
古風に束ねた長い黒髪が、傾けた瓜実顔に合わせてさわ・・・と流れる。
応えも待たず畳のうえにすべらせたつま先は、薄墨色のストッキングになまめかしくつつまれていて。
つい先日までの幼い妹とは別人のように、大人びている。
女学校の入学式を済ませてから、制服の一部であるストッキングは彼女の愛用品となっていた。

「母様、お寝みになられたご様子よ」
相変わらず小首をかしげたまま。
美夜は意味ありげにくすり、と笑みを洩らす。
白い頬にくっきりと、えくぼを浮ばせて。
それでも口を開きかねていると。
もう・・・
苛立たしげに口を尖らせて。
美夜の望み、ごぞんじのくせに・・・
そう言いたげにして、すり寄ってきて。
「切なくなっちゃって・・・お勉強はかどらないの」
声を忍ばせて、そう囁きかけてきた。
毒液のような誘いの言葉は耳朶をくすぐり、鼓膜を貫いた。
いいのか?
そう問いかけることさえ忘れて、ボクは崩れるようにかがみ込んでいる。
黒靴下の足許に、引き寄せられるようにして。
「今夜はお破りにならないで。いちどに何足もなくしては、怪しまれるわ」
頭上に降ってくる幼い女神の声に頷きながらも、
舌はすでに女の装いを濡らしはじめていた。

ああ・・・
振り仰いでくる妹は、夢見心地に目線を迷わせて。
しっかりと抱きすくめられた腕のなか、
居心地よさそうに弾んだ四肢をゆだねている。
乱されたプリーツスカートのさらに奥。
自分とは別もののように大きく怒張したものを沈ませて。
はしたないほどびゅうびゅうと、禁じられた熱情をほとばしらせてしまっている。

入学式の夜。
誰に教えられたのだろう。
寝静まった闇に身を忍ばせて、部屋に現われた妹。
真新しい制服姿に身を包んで。
さすがにか細く震える声で。
お願いします。お受けくださいませ。
日頃の無邪気をかき消して取りつくろった大人の口上。
昼間からしつように視線をからみつけていたのを気づいていたのだろうか、
思い切ったようにスカートをめくり、
黒ストッキングの脚をさらけだしてきた。
ぴちゃぴちゃと音をたてて。
むさぼるようになすりつけてゆく舌に、
はじめは涙ぐんで怯えていたけれど。
肩に手をかけて口づけを交わして、
じょじょに体重をかけていって、
そうっと畳に抑えつけたときにはもう別人のように静かになっていて。
太ももまでの長靴下を自分のほうからずり下ろして、
せわしく怒張してせりあげていったものに、あらわな部分をさらしてきた。
きつく抱きすくめた腕のなか。
その瞬間、すこし力んだように身を固くしたものの。
制服姿の妹は顔色も変えないで、ボクに純潔を捧げたのだ。

今夜も、美夜が履いていたのは、太ももまでの長靴下。
むき出しの劣情に、禁欲的な制服姿を惜しげもなくさらしてゆきながら。
乱れた息を整えようと懸命になっているのが可愛ゆくて。
抱きすくめる腕にもしっとりしたものを帯びていた。
つやつやとした黒髪をかきのけるように撫でつけて。
うなじに唇を這わせてゆく。
兄様・・・
さすがに悩ましさをたたえた囁きにふと耳を傾けると。
不自由な手の向きをずらして、忍んできたふすまの隙間を指差していた。
人の気配。
気配の主はひそと静まったまま、
冷たい廊下からこちらに身を移してくる様子はなかった。
背筋をのばし。正座した膝のうえにきちんと両の掌を重ね合わせて。
かしずく侍女のように、静かに控えている。
しん、と音もなくうずくまるその人影は、時折耐えかねたような密やかな吐息を洩らしながら。
忘れたころには霧のように消え去っている。
美夜がひと目を憚らず、帰り道をたどれるように。


あとがき
いまどきこんな古風な話し方をする女学生はいませんね。
時代を無視してお読みください。
嫁入り前の不埒が公的にとがめられていた時代。
少女の純潔が確かな価値を持ち、安易に譲り渡されることの考えられなかった時代。
そんなころの上流家庭に秘められた絵巻・・・と思し召せ。
代々伝わる禁断のしきたりを妹娘に告げたのは誰?
咎めるべき立場にありながら、ことの成就を静かに見守っているのは何故?
和装の貴婦人はそんな私の問いかけに、ただ謎めいた微笑をもって応えるばかりだったのです。
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