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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夫の仇敵

2008年07月05日(Sat) 15:00:13

わしはあんたのご主人の血を吸い尽くした男。
あんたはわしを、憎まなければならない。
男の呟きに、女は軽くいやいやをして。

いまさらなにを仰るの?
ことばたくみに、わたしに近づいて。
夫のお友達だというお言葉を、真に受けて。
迫られるまま、生き血を捧げる関係になって。
いまさらあなたが夫の仇敵だといわれても。
どうやって、あなたを憎めと仰るの?

黒の喪服は、亡夫を弔うための装い。
けれども一見清楚な服は、男の劣情をそそらせて。
迫られるまま女は、黒一色の装いのすき間から、白い素肌を覗かせて。
目もくらむほどの情欲に、のけぞるほどに、耽り込んでしまっている。
男の正体が吸血鬼だと知っても。
夫の不自然な死と結びつける想像力さえ失って。
みずから首すじを与え、生き血を捧げてしまっていた。

いまさら憎めなどといわれても。憎めない・・・
あなたはわたくしの、ただひとりのひと。
かりそめにあなたの牙が、夫の血に濡れたとしても。
いまのわたくしには、どうでもいいことなの。
主人の血が役に立って、よかったわ。
そうとしか、思えない。感じることができない。
そうよ。わたくしは亡き夫を裏切った、わるい女。
けれども想いのままに生きる、幸せな女・・・

女の切なる訴えは、熱い抱擁とともに受け入れられた。
女は喪服姿の身を、仏間に横たえた。
畳の上、まっすぐに伸ばした黒のストッキングを履いた脚は。
卑猥な指と唇と舌に、いたぶり抜かれて。
ぶちぶちと音を立てて、噛み破られていく。
血のしたたった漆黒のブラウスも、みるかげもなく、引き裂かれて。
その下で、バストをガードしていた黒のレエスのブラジャーも。
ストラップをはじけさせて、おっぱいをまる見えにさらけ出してしまっていた。
女は熱い吐息とともに、牝になって。
夫の写真のまえ、とうとう操までも、許してしまった。

お見事。
頭上に落ちた、聞き覚えのある声と。乾いた拍手の音に。
未亡人は顔をあげ、目を疑った。
生前のままの夫は、ふすまの隙間から顔を覗かせて。
己の生命を奪った吸血鬼と、未亡人になった妻とを祝福している。
やっと、モノにさせていただいたよ。
ああ、ものの見事にやられたね。たいしたウデだ。
夫は静かに、ほほ笑んで。
打ちのめされて四つん這いになっている妻を、優しく抱き起こす。

わたしは吸血鬼になって、よみがえった。
すべてこちらの先生の、ご好意によるものだ。
夫であるわたしの生命を奪った男を、愛してしまう。
お前はしんそこ、あの先生に心を奪われてしまったのだね。
わたしは人としての生命を奪われ、お前の操まで奪われた。
けれどももしかすると・・・わたし自らがすすんで血を差し上げて。しもべとなって。
お前のことさえ、喜んで譲り渡したのかもしれないね。
おまえがはじめて仏壇のまえに追い詰められて。
喪服姿のまま、生き血を吸い取られてしまったとき。
陰から覗いていたわたしは、独り昂ぶってしまっていたのだよ。
こんな夫だが・・・許してもらえるかね?

男は女を引き据えて。
淫婦の生き血は、味わい深いぞ。
ひと言、そっと囁くと。
女のうなじをぐいと仰のける。
本能の赴くまま、夫は妻の肩を抱きすくめ、生えかけたばかりの牙を、食い込ませていった。
ああぁぁ・・・
随喜の声、洩らしながら。
女はさっき成就されたばかりの凌辱劇を、リプレイする。
ずずずずず・・・っ。
生き血を啜る音も生々しく、臥せった女におおいかぶさって。
夫は淫らに染まった妻の生き血を飲み耽る。

妻は夜ごと、相手を変えて。
きりりと清楚に装った喪服姿を乱してゆく。
わたくし一人の血では、足りそうにありませんね。
カズヤが家に遊びにきたら。
ミツコさんの血を、いただけるといいですね・・・
全身から血をあさり取られ、転げまわりながら。
淫らな女は息子の嫁さえ、毒牙にかけようとしている。
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