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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

真夜中の誘惑

2008年07月30日(Wed) 06:16:30

手足をだらりと伸ばした妻は。
淡いブルーのネグリジェ一枚の姿を外気にさらしたまま。
土気色の顔をして、目を瞑っている。
首筋には、ふたつ綺麗に並んだ傷あと。
吸い残された血潮が、たらたらとしたたり落ちて。
まだ、バラ色の輝きを放っている。

ぎくり、とした。
夢というにはあまりにも、リアルな幻覚。
けれども目のまえに繰り広げられる光景は。
いまの幻覚そのものだった。
幸いなことに。
客人のまえさらされた妻の素肌は、まだ生気に満ちている。

キュウ・・・キュウ・・・ごくん。
絶え間なく洩れてくるのは、妻の生き血を啜る音。
意識も切れ切れな妻は、しっとりと眉をひそめて。
かすかな苦痛に耐えている。
長いまつ毛を、ナーヴァスにピリピリと震わせながら。

妻のうえにおおいかぶさった男は。
首筋につけた傷口から、牙を引き抜くと。
血に濡れたままの唇を、むぞうさに妻の唇に重ね合わせてゆく。
失血にあえぐ口許を、ふさがれて。
さいしょはいやいやをするように、激しくかぶりを振っていたけれど。
やがて男の貪婪なむさぼりと、動きをひとつにしていった。

どちらが、求めているのか。
どちらが、むさぼっているのか。
判別のつかないほどの、せめぎあい。
求め合う唇と唇とは。
互いに熱い息遣いを交し合い、伝え合う。

放恣に伸びきった肢体を横目に眺めながら。
男はゆったりと、わたしに語りかけてくる。
どんなに物堅い女でも、唇を許すと意外に他愛なく、堕ちてしまうのさ・・・と。
きょうはこれで、満足した。
奥さんとも、貴方とも、仲良くなれたのだからな。

だいぶ、愉しんだようだね。
ふたりの熱い仲を、苦笑しながらも認めてやると。
男は安堵したように、はじめて打ち解けた笑みを向けてきて。
安心しな。奥さんを殺めたりは、決してしないから。
代わりに奥さんの血液に、ちょいと淫らな毒液をたらし込んでおいた。
真夜中、奥さんが着飾って紅茶をすすり始めたら。
ご主人、寝たふりをしてやってもらえないかな。
ひっそりとそう、囁きかけてきたのだった。

妻が真夜中に、紅茶をすすっている。
昼間のように、着飾って。
髪をきりりと、結い上げて。
真珠のネックレスで飾った首筋には、どす黒い痕がふたつ。
いつの間にか忍び込んできたどす黒い霧は。
妻のことを、座っているソファごと包み込んで。
両肩を横抱きにしながら振り向いたその男は、
いつものように、薄暗い笑みをこちらに送ってくる。

首筋を噛まれて。
鋭利な牙を、柔肌の裏側まで、しっくりと受け容れて。
鮮やかに口紅を刷いた薄い唇から、白い歯をにじませて。
まつ毛をナーヴァスに、ピリピリと震わせながら。
手はゆっくりと、ワンピースのすそを引き上げてゆく。
白い脛をなまめかしく透きとおらせた黒のストッキングごし。
脂ぎった唇が、ねっとりと吸いつけられてゆく。
礼装のうえからのまさぐりに。
妻はえもいわれない、悩ましげな色をよぎらせて。
荒々しくむさぼりつけられる唇に。
這いまわる舌に。
欲情たぎる粘液を、ぬめりつけられて。
足許を包む薄いナイロンを、いびつにゆがめられて。
女はそれでも、満足そうに。
ころころと、くすぐったそうな笑い声を洩らしながら。
男の術中に、堕ちてゆく・・・

毎晩・・・では身体が持つまい。
週にふた晩で、かまわない。
奥さんを真夜中、デートにお連れするよ。
わたしも、妻も。
無表情な白面のまま。
男の言うなりに、頷いていた。

十三回、落としてしまうと。
女はほんとうに、堕ちてしまう。
さいしょの十二回は、夢中にすぎるから。
十二回めには、警告を発してあげよう。
きみがちゃんと、思い出すように・・・
男はどこまでも、礼儀正しかった。

十二回めだよ。
つぎは、金曜の夜だね。
男がそう囁いたとき。
口許からしたたる妻の血が、持ち主のブラウスに、たらたらと落ちた。
妻のブラウスには、きみに散らされるバラ色のしたたりが似合うようだ。
薄々のストッキングの微妙な舌触りも、きみには気に入ってもらえたようだね。
とうとう、家内に祝言をあげさせるはめになっちゃったね。
考え抜いたわたしの科白を、男はくすぐったそうに、受け流した。

花嫁衣裳には、どれを選ぶ?
わたしの問いに男が用意した答えは、漆黒の礼服。
奥さんの貞潔を、いっしょに弔ってあげたいのでね。
おごそかに言い放つ男の視線は。
ごわごわと重苦しい礼服のすその下、
蒼白く滲んだ脛にぴったりと密着した薄墨色のストッキングの足許に、
舐めるように注がれている。
いかめしい礼服のなかの、もっともなまめかしい部分。
妻はその夜も、いっそう薄いストッキングで、足許を彩るのだろうか。

真夜中の草むらは、ざわざわと耳ざわりな音を立てている。
風もないのに。
聞くものも、わたしだけなのに。
丈の高い雑草の合い間から片方だけ覗いた、妻の脚は。
薄墨色のストッキングを、ひざの下までずり降ろされていて。
くしゃくしゃにたるんだ足首のあたりまで、
したたり落ちる白く濁った粘液を、ぬらぬらと光らせてしまっていた。

おめでとう。
ありがとう。
交し合う、ひそやかな祝福に。
妻は小娘のように顔赤らめて。
男はひっそりと、薄暗い笑みをかえしてくる。
なれなれしく肩にまわされた腕に、力を込めて。
男は妻の頬に接吻を重ね、
いまいちど、草むらのなかに押し倒していった。

ほんとうですのよ。
真夜中に、お散歩して。
転んじゃったんですよ。
明け方、わたしのあとに家に戻ってきた妻は。
しらじらしい言い訳に、口ごもりながら。
もじもじと決まり悪そうに、小さくなっていた。

わたしは妻の足許に、寝そべって。
淫らな伝線をいく筋も滲ませた黒のストッキングを。
ぴりぴりと音を立てて、裂き取ってゆく。
奥さんの貞潔を、ごいっしょに弔ってさしあげましょう。
開かれた股間に、腰を沈めるまぎわ。
男が呟いた魔性の囁きを。
幾度も幾度も、反芻しながら。
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