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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

変貌する妻

2008年11月17日(Mon) 07:31:16

エッチをするわけじゃないの。血を吸われるだけなの。
あまり気持ちの良いものじゃないけど、ガマンできるから―――。
妻はそう言って、うつむいた。
相手は、魔物。戦って勝てる相手ではない。
勝てるくらいなら、あなたが戻ってくるまで拒み通していた。
けれども抵抗する意思を放棄して、その意思に従えば。
生命までは、取られないという。
見返りに、望むだけの血液を啜り取られるだけ。

我慢できるか。そんなこと。
夫はいきりたって、たちあがって。
妻はなだめるようにおしとどめて、
けれどもどうしても行くと言ってきかない夫のために、
コーヒー、淹れるわ。気分が冴えてよ。
ポットからゆったりと流れ落ちる褐色の液体を、夫はぼんやりと見守った。

気がつくと。
がんじがらめに、なっていた。
床に転がされて、身動きがとれない。
ホホホ・・・
澄んだ含み笑いが、頭上から降ってきた。
含み笑いの主は、ハイヒールの音をコツコツと響かせて。
傍らのソファーに、腰をおろすと。
夫の目の前、、これ見よがしに。
肌色のストッキングの脚を、組んでみせる。
なだらかなカーブを描く、肉づきたっぷりの脚の線を。
翳りを帯びたような淡いナイロンの光沢が、てかてかと毒々しく輝いていた。

ごめんなさい。もうわたくし・・・あのひとのものになってしまったの。
飲みさしのコーヒーカップを、取り上げると。
ひと息に、ぐいっと飲み干して。
楽になれるわ。ふたりとも・・・
半ば血の気の失せたノーブルな横顔が、別人のような妖しい笑みを滲ませていた。

妻の変貌も、さることながら。
がんじがらめにされて転がされた自分自身の変容に。
夫はアッと息を呑んだ。
転がされたように横たえられた姿見が。
真正面から、向き合っていて。
鏡のなか、ぐるぐる巻きに縛られて床に転がされているのは。
真紅のワンピースに身を包んだ女の姿。
気がついた?
女の服なのよ。それ。
あなたに似合うと思って、あなたのために新調したのよ。
どお?お気に召して?

しっかり結われた縄目の下。
薄べったい女の衣装は、くしゃくしゃに乱れながら。
彼自身に、すがりつくようにして。
ぴったり寄り添うように、密着していた。
肩先に食い込む、ブラジャーのストラップが。
腰まわりを締めつける、ぴっちりとしたショーツが。
太ももを横切る、ストッキングのゴムが。
夫の身体に、ゆるやかに食い込んで。
妖しい呪縛に封じ込めてしまっている。

ホホホ・・・
女はころころと、心地よげに笑いながら。
こちらにすうっ・・・と、かがみ込んでくる。
わたしがさいしょに、吸って、あ・げ・る。
耳朶をくすぐる、ささやきが。
そのままおもむろに、のしかかってきて。
首筋にねっとりと這わされた、柔らかい唇が。
しばし、もぞもぞと皮膚のうえをうごめいて。
唇の端から、にじみ出るように。
鋭利な糸切り歯が、皮膚を破って食い込んできた。

―――・・・。

妻の口許から滴り落ちる、赤黒い液体を。夫はぼんやりと、眺めていた。
お洋服、汚してしまったわね。ごめんなさい。
口許を濡らした血のりを、ブラウスの袖を惜しげもなくあてがって。
ぎゅぎゅぎゅ・・・っ、と、拭い取ると。
濡れそぼった腕を、見せつけるようにして。
ほら。あなたの血。きれいだわね。
真っ白なブラウスの袖が、べっとりと赤黒く染まっていた。

まだまだ・・・よ。
許さないわ、と言いたげに。
妻はそろそろと、夫の足許ににじり寄って。
足首をギュッと、つかまえると。
ゆっくり左右に、引き分けてゆく。
薄いストッキングごし、握りしめた妻の掌なかで。
ぴったり密着したナイロンが微妙にずれて。
ずれてゆくナイロンの感覚が、そのまま太ももの奥にまでせりあがってゆく。
探したのよぉ。あなたに合うサイズの服。なかなかなかったんだから。
大柄のやつって、野暮ったいのが多いのよ。
感謝しなさい。何着も買っておいてあげたから。
汚れてもいいように・・・

ふふふ・・・
たちの悪い含み笑いが。
そのまま、ワンピースのすそをめくりあげて。
かすかな呼気が、太ももを伝ってきて。
ショーツをひざまで、ずり降ろすと。
パンティストッキングじゃ、きゅうくつでしょう?
ささやき声が、我知らず怒張したものを、呑み込んでいた。根元まで。
くちゅ。くちゅ・・・
無機質なまでに。冷酷なまでに。
規則正しく、加えられる刺激。
口の中に収めた怒張を取り巻くような、舌の愛撫。
計算し尽くされた、しつようで狡猾な誘惑が、
責めるように。揶揄するように。
男を、堕落のるつぼへと、いざなってゆく。
救いようもなくそそり立ってしまった一物は、とうとうこらえ切れなくなって。
どろりと濁った体液を、妻の口のなか、おもうさま放散してしまっていた。
夫から吸い取った液を、真紅のワンピースの脇腹に、たらたらとしたたらせると。
おいしいわ。
あっちこっち、吸いついて。
あなたもろとも、吸いだしてあげる。
妻はフフッ・・・と笑んで、猫のようにしつように、なおも身体をからみつけてくる。

ねっとりとした笑いを、絶やさずに。
妻はドアの向こうに、声を投げる。
あなたぁ?って。まるで夫を呼ぶようにして。
ドアの向こうから、現れた吸血鬼は。
さんばらにした白髪をふりたてて。
まっすぐ妻へと、迫ってゆく。
妻は臆した風もなく。真正面から向き合うと。
ソファーのひじ掛けに、ハイヒールの脚を乗せて。

あら。あら・・・
おいたをする子供を、たしなめるように。
ほろ苦く笑みながら、侵入者の不埒を、許していく。
淡い光沢を帯びた肌色のストッキングが。
情夫の意のままに、なぶり抜かれていって。
いびつにねじれ、くしゃくしゃになって。
足許に加えられるしつような凌辱に、耐えかねたように。
ぶちぶちぶち・・・っ、と、はじけていった。

手の届くほどの近さに、寝そべりながら。
ご自慢らしい新調のスーツに、床の埃をこすりつけながら。
いつもより短いタイトスカートから、太ももを覗かせながら。
引き裂かれずり降ろされたストッキングを、ふしだらにひらひらさせながら。
女の舞いに耽る、若妻の肢体に。
夫は我知らず、怒張の強さをあらためていて。
観てはならないふしだらな風景から、視線を外すことができなくなっていった。

粗相、なさったのね?
ストッキングを脱がされた足許は、妙に冷え冷えとして、居心地が悪かった。
脱がされたストッキングは、妻の手の中にあって。
つまんだ指先から、さかさまにだらりと垂れ下がっていて。
いちばん下になっている口ゴムのあたりは、どろりとした粘液を光らせていた。
粗相をした、お仕置きに。
今夜はひと晩じゅう、御覧になっていてくださいね。
そして、祝福してくださいね。心から。
わたくしを祝福してくれるおつもりが、おありでしたら。
ストッキングの穿き替えを、お持ちしますわ。
ご遠慮なく、おっしゃって。
意地の悪いノーブルな笑みに、懇願するように。
夫は真新しいストッキングを、おねだりしてしまっている。

ふた夜にひと夜。
奥方を、いただこう。
ふた夜にひと夜は、夫にもどっていただこう。
夫に戻ることの、許されない夜は。
今夜のように、女の身なりをして。
奥方に、生き血を与え、ぼうっとなって。
立ち去ることなく、見守るがよい。
男の声に、夫がうつろにうなずくと。
妻は満足そうに、優しくほほ笑んで。
そうね。このひと。男の血は召し上がらないのよ。
ですから代わりに、わたくしが。
あなたの血を、嚥(の)んであげる―――
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