fc2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

凛とした少女

2008年11月30日(Sun) 07:15:02

背後に感じる、人の気配が。
おずおずと近寄ってくるのを、くすぐったく感じながら。
オレはわざと気づかぬふりをして、青々とした秋晴れを見あげていた。
たまりかねたように、「あの・・・」って、声かけてきて。
初めて気づいたように振り向くと。
いつもよりちょっとこぎれいなブラウスに、真っ赤なスカートを穿いた少女が、
まだ稚なさの残る、整った目鼻だちに。
怯えた翳を、たたえていた。
しんそこ厭わしげに、オレのことを睨みつけながら。

来ました。約束どおりに。
ほんとうは、約束の時間を5,6分過ぎていた。
生真面目なこの子がもたらした誤差は、
迷いと逡巡がどれほど深かったのかを示している。
『五分遅れたって、いいたいの?』
とがった視線は、いまにも目からあふれ出てきそうなものを含んでいた。
そんな態度を、わざと無視して。
ハイソックスが、お似合いなんだね。
――――――。
どのみち、少女の機嫌を損ねることに、変わりはなかったらしい。

母の血を吸うのは、やめてください。
切迫した少女の声を、オレはどうしてあんなふうに、もてあそんでしまったのだろう?
いかにも生真面目な性格そのままに、
堂々とオレのまえにあらわれて、母親を救おうと思いつめてきただけなのに。
けれどもそうすることが、あのときのオレには愉快でたまらなかったのだ。

オレに食事をやめろというのかね?
わからない子だね。命までは奪らない・・・って、言っているんだぜ?
そう?どうしても母さんの蒼い顔が気になるの?
だったら・・・
母さんを招ぶ回数を減らす代わり。
あんたにもちょっとだけ、顔色悪くなってもらおうか?
母さんのガマンできることなのだから。
あんたも素直に、協力してくれるよね?
長い靴下を穿いた脚を見ると、ついドキドキしてしまうんだ。
てかてか光る高価なストッキングじゃなくっても。
あんたの履いているハイソックスだって、かなり嬉しいんだけどね。

枯れ葉混じりに吹き抜ける秋風のなか。
少女はぷっとふくれたように、立ちすくんで。
視線を地べたに落としながら。
それでも気丈に、呟いていた。
早くすませてちょうだい。
四時半から塾が。
六時からは晩御飯のお手伝い、しなくちゃいけないの。
男みたいにぶっきら棒な声色が、さいごのさいごだけ、震えを帯びた。
できたら・・・あまり痛くしないで。と。
そのときだった。
うるっとしたものが、身体の芯を駆け抜けたのは。

オレは少女の両手をとって。
拝むように、高く差し上げて。
はじめて見あげてくる視線もかまわずに。
貴婦人に対するような接吻を、手の甲にあてがっている。
あまり接点を深めないようにと、気さえ遣いながら。
いぶかしげな少女を、それでもグッと引き寄せて。
ふるふると昂った牙を噛み入れたうなじは、
ひどく暖かくて柔らかだった。

人目につかない位置にずらされたベンチに、腰かけて。
用意の手鏡で、ブラウスの襟首が汚れていないかと確かめながら。
おろした長い髪の毛を、少女はゆったりと梳いている。
その足許に、かがみ込んで。
年頃の娘らしいカーブを帯びたふくらはぎを。
オレはべろでなぞっていた。
真新しい白のハイソックスは、眩しいほどに輝いていて。
掌のなか、あてどもなくまさぐりつづけてしまったけれど。
少女はさっきまでの嫌悪感とは、無縁でいた。

流し込んだ毒液のせいばかりだろうか?
大人びた落ち着きさえ取り戻した少女は、
素知らぬ顔して、髪を梳きながら。
オレの吸いやすいように、脚の向きさえしきりに変えて、応えてくれて。
しなやかな厚手のナイロンの向こう側。
根元まで埋め込んだ牙に、柔らかなふくらはぎがひどく心地よかった。
じゅるじゅる・・・っ。
と、ついナマナマしく啜りあげたときだけは。
音は立てないで。いやらしい。
低い声で、咎めるともなくたしなめて。
音忍ばせて吸い始めたオレに、クスッと笑みさえ落としてきた。

別れぎわ。
暖かい体温に、惹かれるように。
ふと抱きしめた小さな身体を、離しがたくなったとき。
意外にやさしいんだね。
胸の中でくぐもる少女の声は、いつもの和やかさを取り戻している。
あんたの暖かい血が、オレにこうさせているのさ。
精いっぱい、突っ張ってみたら。
じゃあ・・・また来てあげなくちゃいけないね。
つきあってあげる。たまになら。イヤだけど・・・
ちょっとだけかわいく拗ねた頬が、なまめかしい白さに映えていた。
夕陽を照り返してひらひらと揺れるスカートの下には、履き替えた白のハイソックス。
立ち去る足どりは、頼もしいほどしっかりとしていて、
鮮やかに黒い豊かな髪をふりたてて、凛と背すじを伸ばしていた。
ポケットのなか、手を突っ込んで。
少女が脱ぎ与えてくれたハイソックスを、甘えるようにまさぐってみる。
まだ残っているぬくもりに、甘えるようにして。


あとがき
ちょっとうれしいことがあって、ひさびさにあっぷしてみました。(^^)
四時半から、塾。
六時からは、晩ご飯のお手伝い。
びっしり詰まった予定の合い間を縫って、吸わせてくれた血は。
冷酷な悪戯心さえ、暖かい体温に包み込んでしまったようです。
ちょっと甘えた話ですが。(^^ゞ
前の記事
ごく、ごく。
次の記事
お嬢さんのことを、襲わせてくれないか?

コメント

初カキコ。
舞方さんのリンクから来ました。
なんか体言止めが多いですね。
これからもがんばってください!
by -
URL
2008-12-08 月 00:15:37
編集
>New Face様
いらっしゃいませ。(^-^)
こちらこそよろしくです!
体言止め・・・そーかぁ。まるで意識していませんでした。
A^^;
これからもお気づきのことがあったら、教えてくださいね♪
&お気軽に遊びに来てください。(^^)/
このごろ更新頻度やや落ちてますが・・・。(^^ゞ
by 柏木
URL
2008-12-08 月 04:18:45
編集

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/1578-557c1d59