FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

切望。

2008年12月17日(Wed) 03:12:54

あー。
また、やってしまった・・・
どうしてオレは、こうもどじなんだ。
出張行程は、どたばたになるし。
かんじんの打ち合わせは、さんざんになるし。
不幸中の幸い、周りのだれもがおだやかな人ずくめだったことさえも。
かえって、申し訳なさを増幅するばかり。

オレは柏木。
ふだんは名もない万年平社員。
正体が吸血鬼・・・だなどというヤバすぎる真相は、
つねに、平凡すぎる外貌の下に無理やり押し隠して生きている。
真夜中になると否応なく発揮してしまう、超能力。
その見返りというか、なんというか。
昼間は正体を隠すという必要以上に、どじの連続なのだった。

きょうもオレは、めまいのするほどの自己嫌悪に包まれながら、
苦い思いに胸を噛みながら、たったひとりの自宅への帰り道をたどっていた。
あのぅ・・・
背中越し、若い女の声がおずおずと投げられてきたのも。
さいしょの二度三度は、まさかオレのことではあるまいと。
よけいに背中を丸めて、通り過ぎようとしたのだった。

いつの間にか。
女の影は、目の前に回り込んでいた。
うっそりとしたさえない目をあげると。
そこには闇夜に透けて、優しげでなだらなかプロポーションが浮かび上がっている。
ふたりの真上にそびえる電信柱。
さびれた灯りに照らされて、まるで幻のように。
眩しすぎるほどの脚線美が、すぐ目のまえにあらわにされる。
オレ好みの、薄々の黒のストッキングに映える白い脛が。
ちょっと照れくさそうに、娼婦のようになまめく絶妙なくねりを描いていた。

ふふっ。
無邪気すぎるほどの、ほほ笑みが。
―――また、しくじっちゃったの?
軽い揶揄を含んでいたけれど。
親しげな冷やかしの下、かぎりないほど暖かいいたわりが、
冷え切った胸を柔らかいオブラアトのようになって押し包んでくる。
座りましょ。
灯りの下、しつらえられた公園のベンチに。
かの女はすらりとした腰つきを、軽やかにすべらせる。

やっぱり・・・
女はくすくすと、笑っている。
自分の隣に座らないで、まん前にかがみ込んでくるオレのことを。
明るいいたわりのこもった視線が、冷えた首筋に。こわばった肩に。
暖かくそそがれる。
オレがいま、いちばん欲しがっているもの。
疼く牙が求めるものも。
乾いた心が欲するものも。
ぬくもり―――。
ただその一点だけなのだと、女は慧眼にも見抜いている。

ぬるりと這わせたべろの下。
ノーブルな輝きを秘めた薄手のナイロンが、かすかなひきつれを走らせる。
すぐに破かないで。
たっぷり舌で、愉しんで。
せっかく貴方のために、装ってきたんだから―――
すらりとした脚を、かすかに揺らすようにして。
オレの吸いやすいように、さりげなく角度を変えてくる。
すがりつくように握りしめた掌のなか。
ハイヒールの脚は踊るようにして、軽く組み替え、しなやかな筋肉をキュッとはりつめる。
どちらがいたぶっているのか。それともじゃれ合っているのか。
わからなくなるほどの、至福のひと刻。
オレはいつか、すべり込むようにして女の傍らに身を添わせていって。
背中越し腕を回して、女の遠いほうの肩をつかまえていた。
こんどはオレが、女の身体を暖めるようにして。

ブラウス、汚してもいいんですよ。
ストッキング、破いてもかまわないんだよ。
女はしつよう過ぎるオレの抱擁のなか。謡うように、口ずさんでいる―――。
いつか、しっとりとしみ込むようにして。
オレの胸が、手足が。喉の奥さえも。
女の温もりに、満ち満ちたとき。
女はいつの間にか、スッと背筋をそらせて。
がんじがらめにしてやったはずの猿臂から、いともやすやすと抜け出している。
少しは元気になった?
また、来るからねね。
こんどは鬼ごっこ、愉しもうね。
女の童顔からこぼれる笑みに、オレは深々と頷き返していた。
掌に残る、あのたっぷりとしたおっぱいの感触が。
滲むぬくもりのなか、まだありありと残っていた。

女の名は、まりあ―――
時間と空間のへだたりは、オレにとってはなんの問題もない・・・なんて。
エラそうにうそぶくオレのお株を、時おり奪うようにして。
オレが切望するまさにその瞬間をたがえずに。
時も空間も、いともやすやすと超えてくる。
どちらが、超えてくるんだか。どちらが、「魔」を備えているのだか。
オレはやっと、いつもの落ち着きを取り戻して。
誰も待っていないはずの我が家へと、ちょっぴり浮ついた足取りを向けるのだった。


あとがき
北国の雪のように降り積もった業者サンの熱心な宣伝カキコに埋もれたわけではなかったのですが。
「魔」の囁きがさっぱり訪れないままに、つい日を過ごしてしまいました。
そんな私の眠りを、とんだ刻限に呼び覚ましてくれたのは。
まりあさん。やっぱり、貴女だったのですね。^^
いつもよりちょっと落ち込みトーンなのは・・・実生活の反映?(苦笑)
それもまた、彼女がしっとりと秘めたエロ・・・もとい活力が、
妖しいほどの恢復力で補ってくれたようです。
感謝♪
前の記事
潜入。
次の記事
お見合い写真 2

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/1583-fd4fb6a0