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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血タイム

2008年12月28日(Sun) 05:54:20

時計の針が、午後四時ぴったりになると。
「吸血タイムだよ」
だれ言うともなく、呟きが洩れて。
マサオは隣で遊んでいた真美ちゃんを、
リョウタはさっきまで冗談を言い合っていた好美ちゃんを。
だしぬけに両肩をつかまえて、押し倒して。
女の子たちは、ひと声、
「きゃっ。」
ちいさく叫ぶと、
ポニーテールの髪を振り乱しながら。
それでも慣れているらしく、白いうなじをすうっと伸ばして。
とがった歯をむき出しにしてくる男の子たちに、素直に噛ませてしまうのだった。

吸血鬼の男の子は、人間の女の子を。
人間の男の子は、吸血鬼の女の子に。
いともやすやすと、組み伏せられていって。
しんと静まり返った室内には。
ちゅうちゅう・・・ちゅうちゅう・・・
ナイショの悪戯のくすぐったい音が。
いつまでもひっそりと、続いてゆく。
さっき、お茶のお代わりを入れに来た人間の家のお母さんは。
襲われている女の子たちのなかに、自分の娘が含まれているというのに、
しぃんとなりをひそめて、納戸で縫物かなにかをしているらしい。

時間が近づくと、だれもがそわそわと相手選びに入っていて。
さりげなく、目当ての子に近寄っている。
男の子と女の子の場合もあったけれど。
女の子どうし、男の子どうしの組み合わせも、あまり珍しくない。
ほんとうに仲良くなれるのは、同性どうしらしかった。

ふーん、男の子と仲良くなったの?
息子のユウタの話をききながら、吸血鬼のお母さんは家事の手とめなかった。
だって、いつもボクのためにって、真新しいハイソックスを履いてきてくれるんだよ。
同性愛だなんて冷やかすやつは、どこにもいない。
友だちの美沙緒はきょうも、ライン入りの紺のハイソックスを履いてきて。
時間が来ると、半ズボンの脚を伸ばして、すすんでユウタに組み敷かれていったのだった。

来年からさ・・・
美沙緒ははこっそりと、ユウタに話しかけている。
ここは、誰も来ない放課後の、校舎の裏手。
学年が下のユウタのことを、わざわざ呼び出した美沙緒は、
いつものように半ズボンの足許にかがみ込んでくる友だちに、
ちょっぴりほろ苦く笑いながら、ハイソックスの脚を噛ませたばかり。
おいで。
美沙緒が振り返ると、ユウタのすぐひとつ下の学年のその女の子は、
無言でおずおずと、物陰から姿をみせた。
かたくなにぴったりととざした薄い唇が、かすかなためらいと恐怖を滲ませている。

妹のめぐみ。来年から遊び仲間に加わるんだ。
ほかの子に、むざむざ噛まれちゃうのは、もったいないから。
きみにあげるよ。ボクももうじき、卒業だから。
いいの・・・?
ユウタは表向きのためらいと、抑えきれないワクワクとに体を浮つかせて。
二、三歩後ずさりする少女の背後に素早く回り込んでいた。
「お兄ちゃん、やっぱり怖い・・・」
少女の訴えを、兄は優しく受け流して。
「だいじょうぶ。オレがついてるからさ」
って。
めぐみの肩を、優しく抑えると、その場に座らせて。
真っ白なハイソックスの脚を見つめて、悪友を促している。
早くも女らしいカーブを帯びた伸びやかなふくらはぎは、
少年の牙を、異様に疼かせていた。

うまいこと、やったものだね。
吸血鬼のお父さんは、顔を隠すようにして読んでいた新聞をひざに落とすと。
一人前の男を見る目をして、息子のことをほめていた。
ユウタの傍らに羞じらうように腰かけているのは、すっかり大人びた親友の妹。
近々結婚を、控えていた。
妹の嫁入りを気にしていた美沙緒のほうは。
ずっと交際していた少女と、つい先日婚約をしていた。
一人で出てこれる?フィアンセを紹介するから。
そういって、幼馴染みを誘った美沙緒は、
まだ、処女なんだ。
小声で悪友の鼓膜をくすぐっていた。
あんまり仲良くし過ぎちゃ、ダメよ。わたしのお姉さんになる人なんだから。
めぐみがかすかに声尖らせるのを。
ユウタが「ならわしだから」って、弁解するのを。
だれもが愉しそうに、見守っていた。


あとがき
難産の?今月の10作めです。
うーん。うまく描けないものですね・・・
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業務連絡
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一足、525円。

コメント

いいですよ
難産だったんですか?

いつも妖艶な世界を紡いでいて、
その出来栄えに、いつも感嘆していました。

今回のも柏木ワールドは健在です。

柏木さんにも書けない苦しみがあったんですね。

私なんてしょっちゅうです。

by くろす
URL
2008-12-28 日 20:41:33
編集
ありがとうございます。(*^_^*)
> くろす様
柏木は、いっつも朝描いているのです。
早起きしますとね。
感覚はけっこう、研ぎ澄まされていたりするんです。
描こうとしている妄想の情景も、ほんとうに目の前に実在するくらい。ありありと見えていたりして。
ところが、頭脳が寝ぼけているものだから。
(ここんとこ、うまい表現が浮かびませんが)
とにかく、キーがついていかないんですよね。
どういう言葉でつづったらいいのか。
目の前に見えているこの妄想を、退屈で余計な状況説明抜きに、いかに描き抜いてしまおうか。
そのへんが、なかなかちゃんと出てこなかったりします。
途中で手間取って、映像がぼやけてしまうと。
もー。だめー。(ノ_・)って。
お手上げになっちゃうときも、あるんです。
まぁ、あせらずぼちぼち、愉しんで描いていこうと思います。

コメを頂戴したお話は、少年少女ものですが、お気に召したでしょうか?
このテのプロット、好きなのですが。
読みようによってはコアすぎるせいか、なかなかコメを頂戴できません。
やっぱり気に入りのプロットのお話にコメをいただけると、素直にうれしいものですね。
(*^^)v

追伸:おほめをいただけたおかげで、今朝は二本もモノにできました。
感謝。(^^)
by 柏木
URL
2008-12-29 月 08:36:05
編集

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