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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

田舎の女学校 4

2008年12月30日(Tue) 13:02:38

冬休みに入って。
学校は抜け殻どうぜん、がらんとしていた。
ただでさえ寒々とした、古びた木製の廊下を歩きながら。
すき間風の吹き抜けるたび、おれは肩をすくめて縮こまっていた。
村じゅうどこにも、制服を着ている女の子はいない。
たまたま、なじみの女子生徒の家で、婚礼があって。
もちろん招かれるまま、お邪魔をして。
なん日ぶりかに目にした制服姿に、つい欲情して。
袖を引くようにして、別室に連れ込んで。
あらかじめ用意されたように敷かれた、布団のうえ。
抑えつけた黒のタイツのふくらはぎから、うら若いバラ色の液体を、したたかに吸い取っていった。
え?もちろん花嫁のことも。粗略には扱わなかった。
婚礼のおわったあと。
息を呑んで見守るばかりの花婿のまえ。
ほんとうは彼がかち獲るはずだった純潔もろとも、女のすべてを呑み込んでしまっていた。
嵐が去って。夫婦ほんらいの契りを結びなおすようすを、閉ざされた障子ごしにうかがいながら。
女子生徒の黒タイツごし味わったのとおなじ香りのした血潮の残り香に。
おれはもういちど、舌舐めずりしたものだった。

おっと。
話が、それてしまったな。
夕べの酒が、ほんのちょっぴり。頭の奥に渦巻いているらしい。
だれもいないはずの校舎のなかを、いま時分うろついているのは。
当直の先生をアテにして、出かけてきたからなのだ。
女の先生が、ひとりで当直をしているときは。
おれはいつもこうやって、忍んできて。
女の生き血に飢えた喉を、たっぷりうるおして帰るのだった。
きょうの当直?
知れたこと。
都会から着任したばかりの、あの小賢しい黒髪の女教師に決まっているのさ。

職員室の、片隅に。
窓際に、背中を押しつけるようにして。
女教師は、立ちすくんだまま、激しくかぶりを振っている。
おれはずんずんと、女との距離を詰めていって。
お目当ての黒ストッキングの脚が、すぐ手の届くところまで。
恐怖に震える息が、おれの昂った息遣いと重なるところまで。
女のそばに、寄り添っていった。
すまねぇ。どうしてもきょうは、だれもいないのだ。
身ぎれいに装った女じゃないと、昂ることができないのだ。
こんな年の暮れに、めかし込んでいる女なんか、村じゅう探したってひとりもいやしない。
けれどもだれかひとりは、生贄にして。
うら若い女の血で、牙を染めなければ、おれは灰になっちまう。
だからおまえは、おれに襲われなければならないのだ。
―――なんて完璧な、身勝手な言い草だろうか。
おれは自分の論理の見事さに、自分で感心しながら。
納得できませんっ!って、顔に描いてある女のスーツ姿を、抱きすくめにかかっている。

どういうわけか。
おれは女を抱きすくめたまま。
そのまま白いうなじに噛みつこうともせずに。
ただ・・・着衣ごししみ込んでくる女のぬくもりを、ひたすら感じ取っていた。
まるで母親に甘える、幼な子みたいにして。
どうしたんですか?
身体を離したとき。さすがにいぶかしそうに見あげてくる、まっすぐな瞳を。
眩しすぎて、見返すことができなくなっている。
狙った獲物にたいして、ここまでスキをつくることなんて。めったになかったはずなのに。

力のうせたおれの肩を、突きのけて。
そのままそそくさと、職員室を出てしまえば。
もう・・・逃げちまうことだってできたのに。
なぜか女は、しゅんとした顔をして。
お好きなように。
手短かにそう告げると、もとのように自分の席に座り込んでいる。
ちょっとだけ、机から身を離して。
ちょうど、おれが女の足許にかがみ込む余地を作りながら。

すらりとした白いふくらはぎを、じんわりとなまめかしく染める薄々のナイロンが。
おれの意識を、極彩色に塗り替えた。
矢も楯も、たまらなくなって。
おれは先生のご希望どおり、机のわきにかがみ込んでいって。
ぬる・・・っ。
行儀悪く這わせた舌の先、先生はかすかにふくらはぎを引きつらせたけれど。
いつものように抗おうとは、しなかった。

先生。
だ・め・よ。
振り向くまでもなかった。
耳元に囁きかけてくるのは、お目当てのあの少女。
名前は確か―――有江といったっけ?いや、ちがうはずだった。

有江という女子生徒を、連れてこい。今すぐにだ。
昔からたぶらかしている、四十代の女教師は。
ついさっきまで夫の前で吸われつづけた肌を、蒼ざめさせたまま。
いぶかしそうに、おれを見返して。
有江さん・・・ですね?
あいまいに、頷いて。
連れてきたのは、似ても似つかないそばかす顔の女子生徒だった。
ノモトアリエさん、のことですよね?有江という苗字の生徒は、この学校に在籍しておりませんから。
えええっ?

男の学年主任をつかまえて、
おい、あのとき有江といっただろう?って、問い詰めても。
あれー?私そんなこと言いましたっけ?
おれは学年主任の胸倉をつかまえて。
あいつの家まで、瞬間移動して。
美人で評判の奥さんを、連れてこさせて。
だんなの目のまえで、思う存分生き血を抜き取ってやったりしたけれど。
存じません。存じません。どうしてわたしが、そんなことを口走ったのか・・・

あぁもちろん。
連れてこられたそばかす顔の女子生徒も、ちゃんといただきましたよ。
恥をかかせたく、なかったのでね・・・

どうも今日は、話が飛んでしまうのだな。
どこまで話したんだっけ?
そうそう。女教師が、いつになく素直にいうことをきいて。
机のわきに、おれをすべり込ませたところまでだったよな。

時ならぬ声に、振り返ると。
お目当てのあの少女が、きょうもどういうわけか、夏用の白い制服姿で。
夏の制服には合わせないはずの、黒のストッキングを脚に通していて。
ちょっぴりかがめたひざの上。
そこから上は、見ちゃだめよ・・・というように、白い手を重ね合わせるようにして。
傾げた小首に、じゃれ合うように。
きょうは三つ編みに結ったおさげを、肩先に揺らしている。
こんどは、あたしの番。
はしゃいだ声の下、スッと差し出される、黒ストッキングの脚。
性急に唇を寄せようとするおれに、
あんまり汚さないでね・・・
って、囁きながら。
それでも下品になすりつけられてくるおれの唇に、くすくす笑いながら応じてくる。

初めてモノにした、お目当ての少女の脚。
おれはつい夢中になって、べろを這わせて。
整然と走るナイロンの繊細な網目を、ぐにゅぐにゅになるまで、ゆがめていった。
あなた、やめて!
解放されたはずの、女教師は。
しんけんな声とまなざしを、おれのほうに投げてきて。
少女とおれのあいだに、割り込むようにして。
あなたはもう、お帰りなさい。間違いがあっては、いけないわ。
まっすぐ垂れた長い黒髪が、おれの目の前でしどけなく揺らいでいた。
うふふふふっ。では、味比べといこうか。
悪辣きわまる言い草を、口許にすべらせて。
もういちど、女教師の足許に舌を這わせる。
少女が脚に通した通学用のストッキングの、ざらざらとした舐め心地も。
大人の女が穿く、高価なストッキングのすべっこい舌触りも。
かわるがわる、愉しみながら。
まだ、消えるなよ。もうちょっと、いいだろ・・・?
どこかの時点で女たちが消えてしまうことを、おれはありありと意識しながら。
ぴったり息を合わせるように、かわるがわるに差し出されてくる黒のストッキングのふくらはぎに。
いままで味わったことのないほどの喜悦に、心震わせている。

困った人ね。
女たちは。時おり顔見合わせながら。笑み交わしながら。
飽きることなく這わされてくる、卑猥なべろに、苦笑いして。
いよいよ牙を、むき出したとき。
ここは私が・・・
身を寄せてきたのは、女教師のほうだった。
乱れて震える吐息の下。
ワイン色のインナーごしに映える胸元から。
かすかに覗く、乳房のはざま。
おれは女の両肩を抱きかかえながら、
この色だったら、濡れても目だたねぇよな?って。
相も変わらずふらちなことを口にしながら。
まだ汚れを識らない純潔な柔肌に、フラチな唇を這わせていった。
ぐいいっと、しずかな力を込めてしみ込ませた牙の切っ先が。
暖かい女の血潮に濡れたとき。
不覚にも涙を滲ませてしまった。
こんなことは・・・初めての獲物をモノにしたとき以来だった。

女教師が、吸血を受けているあいだ。
お目当ての少女も、立ち去ろうとはしないで。
じっとたたずんで、担任の先生の受難を見守りつづけていて。
先生がとうとう、へたり込んでしまうと。
じわーっと浮いたストッキングの伝線を、指でなぞりながら。
わたしの脚も、どーぞ。って。
おどけ口調で、おれをそそのかして。
隣の席に、腰をおろして。
重たい制服のプリーツスカートを、たいぎそうにたくし上げて。
墨色のナイロンに薄く透きとおった太ももを、初めてあらわに見せつけてきた。

甘えるように吸いつけた、唇の下。
なよなよとした薄手のナイロン生地が、くしゃっとゆがんで。
紙のように薄いナイロンを、思うさま噛み裂きながら、
少女の清冽な血潮に、酔いしれてゆく―――。
はっとして。
少女の顔を見あげようとするおれの頭を、少女はふたたび自分の太ももの上、軽く抑えつける。
三つ編みをほどいた少女は、けだるそうに自分の髪を撫でつけながら。
もう片方の手は、さっきまで三つ編みを結わえていたリボンを、子供っぽい手つきでもてあそんでいた。

いずれ劣らぬ、脚線美。
とりどりな舐め心地の、薄いナイロン。
そして―――啜り出した血潮の味は、なぜかひどく似通っていた。
窓越しに斜めに入り込んでくる陽射しのなか。
静かになった職員室で。
放恣に伸びきった二対の脚は、薄墨色のストッキングに大胆に走らせた伝線を。
清純な女学生が。生真面目な女教師が。
おおっぴらに、さらけ出していた。


あとがき
この話。
どことなく、連作「院長、ご来客です」と似てしまいましたね。^^;
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コメント

お年賀
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

再開したはいいけれど、不安な私を
景気づけていただき感謝してます。


ついに、ついにあの女教師を・・・・
あぁ(涙)
私にとっといて欲しかったのに。

白いブラウスにのぞくワイン色のインナーと胸の谷間。
この景色、最高です。

私なら、どう責めた?
妄想しきりです・・・・・(笑)
by くろす
URL
2009-01-01 木 20:15:53
編集
> くろす様
あけましておめでとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

うぶで気丈な女教師の、性格とは裏腹な豊かな身体。
お気に召していただけて、なによりです。
それにしても・・・こーゆうタイプがお気に入りとは。
うふふふふふふふふっ・・・。 ^^
by 柏木
URL
2009-01-03 土 00:13:10
編集

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