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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

文句の多い女

2005年10月01日(Sat) 21:48:25

待ち合わせたいつもの喫茶店。
いつものように遅れて現われたあの女は、
席につくなり口を尖らせる。
―――ストッキング、伝線させちゃった。
出がけに急いで破ってしまったと。
でもふっくらとした白いふくらはぎをいま包んでいるストッキングには、ひきつれひとつ、浮いていない。
―――高いやつだったのよ。まだおろしたばかりだったのに。
人目を避けるような伏し目勝ち。
その姿勢で表情を隠しながら、鬱陶しそうに口を尖らせて。
女の文句はよどみを知らず、まだつづいている。

―――ア、破ラナイデ。勿体ナイワ・・・
―――昨日、ズット貧血デシタノヨ・・・
―――主人ニ、怒ラレチャウ・・・
逢うたび文句を呟く女。
初めて襲ったあの夜も。
―――ア、痛ッ!手首、捻挫シタカモ。仕事休メナイノニ・・・
―――ブラウス、ドウシテクレルノヨ。高カッタノヨ。
失血でくらくらしているくせに、
人妻なのに犯されてしまったくせに。
そんなことはどうでもいいのか、
ひたすら服を汚したことと、明日の仕事を気にかけていた。

文句をいうほど、恵まれていないわけではない。
ダンナはエリートサラリーマン。
持ち家、車つきのいい生活。
子供はもう手がかからなくって。
浮気相手も三人、四人。
それでも文句はとまらない。

なにもかもうまくいっているのに。
逢瀬のたびに文句を口にする、あの女。
―――ドウシヨ。知ッテル人に見ラレチャッタ。
―――見テ。スカートノ沁ミ、クリーニングデモ消エナイワ・・・
あのときだけはゾッとした。
―――ダンナニバレチャッタ・・・^^;

それでもなぜか、すべての困難を切り抜けて。
きょうも私のまえにいる彼女。
まるで文句が魔よけの呪文のように、
女の周囲を取り巻いて。
幸せな家庭と幸せな職場と、そして幸せな愛人に。
文句の数だけ囲まれている、とても不思議なあの女。
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