fc2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

うつつと幻と

2005年09月29日(Thu) 07:27:24

闇夜の草むらに引きずり込んだのは。
母親と同年代の、上品に着飾った年配の女だった。
「坊や、女の人はね・・・」
女は言った。
「こういうふうにされるのを普通とても嫌がるのよ」
むしろ諭すような落ち着いた声に、不意に腕にこもった力が抜けた。
その隙にすり抜けることもできたはずなのに、女はそういう手を使わなかった。
こみ上げてくる渇きをどうすることもできないでいると、
「そんなに困っているの?」
落ち着き払った相手にすっかり気おくれしている。
そう察すると、
「いいわよ、相手してあげる。そのかわり、もうこんなことはやめるのよ」
女はそういうといさぎよいまでにさばさばと、みずからブラウスのタイを解き、レエスのスリップに包んだ肌をあらわにした。
俺は女を荒々しく草むらの褥に押し倒して、
うなじにかぶりついて渇きを満たし、
ついでのことにストッキングを破り、ショーツを引き裂いていた。

いっときの昂ぶりに痺れた頭を抱えながら家に戻って、
精も根も尽き果てたようになって、
昼下がりまで寝込んでしまった。
家のものはもう出払っていて、人影がしないなか。
生身の女でなくともよいとそう思い、
母の箪笥の中身を漁る。
取り出したスカートを裏返してぎょっとする。
べっとりと濡れを帯びた白いもの。
裂けて片方になったストッキング。
どこまでがうつつ?そしてどこまでが幻?


あとがき
すべて幻だったのでしょうか?
―――血を欲しがるあの子のために、ちょっとだけつきあってあげたんです。
―――近親相姦?まさかそこまではいたしませんよ・・・
含み笑いを帯びたそんなささやきを耳にしたように思えるのですが。
今にしてみると、それも幻聴のようにも思えます。
前の記事
夜明けの訪問者
次の記事
屍鬼のいる森

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/166-5814fcd1