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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

頼むから・・・ 2 堕ちた礼装

2009年06月07日(Sun) 00:26:27

しょうがないわねぇ。男のひとって・・・
妻はけだるそうに、起き上がると。
喪服についた泥を軽く払って、ぬかるみに突き刺さったハイヒールを、丁寧に引き抜いた。
ひどーい!パパったら。もう、サイテー!
娘は、口を尖らせて。
半泣きになった顔つきを振り払うように、憤然として地団駄を踏んでいた。
ふたりの足許には、剥ぎ堕とされた黒のストッキングが、ふやけたようにからみついていた。

頼むから・・・
死の間際そういって、自分の死後の妻子のことをわたしにゆだねた男は。
わたしを自分の同類に引きずり込んで。若い女の血を欲しがって。
黒の礼装姿で墓参りに来るわたしの妻子を、狙っていた。
とつぜんの椿事に縮みあがった女たちは、どうすることもできないで。
まず、娘をかばおうとした妻が。
それから、母を気遣う娘が。
齢の順に、うなじを噛まれていった。

口許を両手で抑えた娘の前、
隙なく装った肩先から、ジュルジュルという汚い音をたてて、生き血を吸われていって。
倒れたまま無念の呻きを洩らしつづける妻の傍ら、
制服のブラウスの襟首から、やはりジュルジュルと汚い音とともに、血を抜かれていって。
ひとり、またひとり・・・と。
黒のストッキングのひざを、その場に突いて。
それから四つん這いになって。
やがて、うつ伏せに横たわってゆく。
墓参りに来た妻と娘の、黒のストッキングの脚を襲わせる。
男の共犯になってしまったわたしは、たまらなくドキドキしながら。
妻と娘の受難を、見守るばかり。
男は余裕しゃくしゃく、まず妻の、それから娘の、足許にかがみ込んで。
黒の薄々のストッキングに清楚に彩られたふくらはぎを、くまなくいたぶって。
清楚な薄手のナイロンが、淫靡な輝きを帯びるまで、よだれをなすりつけていった。
ほら、お前もやれ。血が欲しいのは、いっしょだからな。
男は器用にも、女たちの脚を片方ずつ、無傷のままとっておいてくれていた。

血を吸う体験は、初めてだった。
おそるおそる、妻のほうへと這い寄って。
うなじにつけられた傷口に、唇を当てようとして。
びろうどのようになめらかは皮膚のうえ。
あまりにもむぞうさにつけられた、むざんな有様に、ぎくりとして。
けれども瞬間よみがえった理性は、つぎの瞬間あとかたもなく消え果てて。
わたしは彼がしたのとおなじくらい、汚い音をじゅるじゅる立てて、
妻の生き血を、啖っていった。

つぎは、娘の番だった。
まだ意識の残っていた娘は、けんめいにいやいやをしたけれど。
力の抜けた腕は、いともあっさりと、ねじ伏せられて。
制服のブラウスを汚した傷口に、わたしは唇を塗りつけている。
娘の血の半分は、わたしが伝えたもの。
心憎いほどに唇になじんだ液体は、どんよりと心地よく喉の奥まで浸していった。

片方ずつ残された、黒のストッキングは。
堕とされるまえの気品や知性を、まだまだ色濃く滲ませていた。
それを順ぐりに、剥ぎ堕としてゆく。
妻のやつは、薄くてなよやか。娘のやつは、しんなり、ざらざら。
どちらのやつも、みるかげもなくなるほどに。
気がついたときには、男の仕打ちとおなじくらいしつように。
脛が露出するほどちりちりに、堕としてしまっている。


あとがき
昼前描きかけたやつを投入。
少しごてごてし過ぎたか?^^;
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コメント

痺れる
喪 と 淫

なつかしい人に

血を吸われて

快感に震え

また新たな

ご主人さま

淫らに狂う
by くろす
URL
2009-06-08 月 20:40:42
編集
> くろす様
いつもありがとうございます。
このお話、完全な自己満足で描いてしまったので(笑)、その分ちょっと自信がなかったのです。
(^^ゞ
一票をいただけて、凄くうれしかったです。

古い言い伝えですが、吸血鬼になって蘇った人は、まず自分の家を訪れるそうです。
ほとほとと叩く戸を、相手が吸血鬼だと知りながらも招き入れてしまうのは。
それがいとしい妻であったり夫であったりするからなのだと。
美しくも切ない話ですね。
>なつかしい人に血を吸われる。
というお言葉から、そんな話を思い出しました。
by 柏木
URL
2009-06-08 月 21:49:14
編集

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