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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

さらしもの。

2009年06月23日(Tue) 07:47:51

高々と掲げられた立札の下。
縛られた女は、うつむいたままでいた。
みすぼらしく堕とされた衣装は、もとはよいものであったはず。
見覚えのある柄は、それが彼女が結婚式によく着ていった高価なスーツであることを物語っていた。
そう。曝されているのは、妻。
ただしくは、妻だった女―――

ごくさいきんのことだった。
吸血鬼の村の縁つづきだと知ったのは。
ひんぱんに里帰りするのを、ふしんに思って。
突き止めてしまったのは、忌わしい真実。
都会の装いを、まがまがしい劣情にゆだねながら。
妻は別人の女と化していた。

外部にお嫁入りをするときは。
村に棲む吸血鬼たちの、まがまがしい輪姦を受けるという。
それからも。
夫に告げずに、年になんども里帰りして。
わが身を村の男たちに供さなければならないという。
知られてしまったらさいご、夫からは離縁される。
そうして村に戻された女には、曝される恥辱だけが待ち受けている。
高札には、なぐり書きのような雑な字で、書かれてあった。

この女、ただであげます。
通りかかったものは、だれでも弄ってよし。

父親の字に、違いなかった。

通りかかったものは、だれでもこのひとを抱いてよいのだな?
わたしは周囲の男どもにそういうと。
連中はなぜか逡巡したかのように、顔見合せる。
いいだろう。じゃあわたしが、このひとを抱こう。

はじめはぎこちなく応えてきた身体は、やがていつものノリに変わっていって。
さいごには白日のもと、男どもの好奇な視線を刺されながら、
めいっぱいの痴情をあらわにしていった。

臭気たち込める、納屋のなか。
妻に戻った女は、きょうも都会の装いから素肌をさらけ出して。
太ももまでの肌色のストッキングを、藁くずにまみれさせながら。
わたしのまえ、娼婦の愉悦に狂っている。
妻の痴態を、ただの男にかえった目で。
村の男たちと、いっしょに覗く。
こんどはお前ぇの番だな―――
すっかり仲良くなった村の衆は。
夫婦の復縁を、悦びながら。
よそ者のはずだったわたしを、まがまがしくも愉しい輪に、巻き込んでくれている。
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