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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

家族の血

2006年04月17日(Mon) 06:51:02

きゅうっ・・・
ネグリジェ一枚の母におおいかぶさって、
うなじに這わせた唇から、異様な音が洩れてくる。
きゅうっ・・・きゅうっ・・・
血を吸いあげるときの音は、ひどく嬉しげでリズミカルで、
鼓膜の奥深くまで、奇妙な疼きをつたえてくる。
両手で顔を覆った母がけだるそうに姿勢を崩すと、
つぎは妹の番。
濃紺の制服姿の妹は、いとわしそうに眉をひそめながら。
それでも抗いひとつみせないで、素直に抱き寄せられるままになって。
三つ編みのおさげをかいくぐるようにしてつけられた唇に、うなじをさぐられてゆく。
ちゅううっ。
またひとつ洩れてくる、吸血の音。
まがまがしい音色に身をゆだねた妹は、
だんだんうっとりと目線を迷わせて。
プリーツスカートをせり上げられてゆくころには、眠そうに目をこすっている。
通学用の黒のストッキングの上から、ふくらはぎに吸い着いて。
なおもしつように妹をなぶり続ける、飢えた唇。
ネグリジェ姿の母のほうはもうとうに、
肌色のガーターストッキングをむざんに伝線させてしまっている。

我が家に代々課せられた、忌むべき儀式。
そのなかで女たちは無抵抗に身をゆだね、
この血統の血が気に入りだという彼のため、
素肌の奥にめぐるものをむぞうさに、ほとばせてしまっている。
ほんとうに旨そうに血を啜る彼のために装った、
清楚な衣裳をしどけなく乱しながら・・・

先月結納を交わしたばかりの許婚は、そんな光景に魅入られたように立ちすくんでいたけれど。
わたくしも・・・
そっと私に言い置いて。
花柄のワンピースのすそをちょっとだけたくし上げ、
グレーのストッキングのふくらはぎを、惜しげもなく彼の前にさらけ出してゆく。
気品ある翳に縁どられた脚線美に、ぬるりとべろを慕わせると、
ヤツは絡みつくツタのように身をせり上げて。
あっ、痛うぅ・・・っ。
首筋に走る痛みに目をキュッと閉じ、許婚は初々しい肌をヤツにゆだねていた。
ワンピースのすき間から縫い針のように忍び込まされる、鈍い銀色に輝く牙。
ちゅう・・・っ。
ふたりにおおいかぶさったのと同じ音色が、いま許婚の身にもふりかかる。
ゆるく身もだえしながら血を抜かれてゆく、ワンピース姿。
たしかに血はつながっていないけれど。
処女の生き血はさぞや、彼の口に合ったことだろう。

花びらのように、ワンピースを引き剥かれ。
蜘蛛の巣のように、グレーのストッキングを散らされて。
たたみを濡らすのは、ぽってりとした赤黒い血だまり。
咬まれて迸った鮮紅色のシャープなほとびとは違う部位から洩れ出たものは、
甘い敗北感をちりちりと焙りたててゆく。
ご家族のなかのひとりに加えていただくわけですから・・・
そんな殊勝な心がけは、偽りではないだろう。
おなじく血を吸われ、おなじく犯されて。
淫らな上下動に等しく身をゆだねながら。
女たちは愉しげに、目配せし合っている。
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