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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・

2009年11月30日(Mon) 19:13:16

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
見なれたワンピースを血に濡らして、
妻が生き血を、吸い取られてゆく。
相手は、顔見知りの吸血鬼。
わたしの身体から吸い取った血を、したたらせながら。
いちど奥さんのこと、襲わせてくれ・・・そんなことを、囁かれて。
どうしてあのとき、首を縦に振ってしまったのだろう?
おおぜいで、押しかけるからね。^^
たしかそんなふうにさえ、いわれたはずなのに。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
寸分違わない吸血の音が。
娘の勉強部屋からも、洩れてくる。
妻の仇敵のはずの男の、そのまた父親と名乗る男が。
壁ぎわに追い詰められた制服姿に、よだれを垂らしてすり寄ったのは。
妻が堕ちてから、間もなくのことだった。
だいじょうぶ。処女の生き血を愉しみたいからね。
吸い取ったばかりの血を白ひげに光らせたまま。
男がにんまりと笑みかけてきたのに、苦笑しながら応じてしまったのは。
いったいどうしたわけだろう?

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
やはり同じように、うまそうに啜り盗(と)るもの音が。
母のいる離れからも、洩れて来る。
和服の襟足に伸ばされた黒い手は。
嫁の不義と孫娘の夜遊びを咎めようとした口を封じていって。
いまでは一家の長として、庭先でお手本までも演じるようになった母。
貞淑な令夫人の名をそのままにしておきたい父は。
その不埒な来訪者が訪れると、ひとつ咳払いをして離れを後にする。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
息子の勉強部屋から洩れて来るのは、ふた色の音。
訪ねてくるようになった幼馴染の双子の吸血鬼を相手にして、
さいしょは自分ひとりだけ横たわっていたのに。
いまでは彼女とふたり、仲良く肩を並べて、息弾ませながら。
もろにぶつけられてくる食べざかりの食慾に、いとも心地よげに身をゆだねている。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
きみの家系はだれもかれも、美味い血をお持ちだね。
吸血鬼にそんなふうに褒められて。
つい不覚にも、顔がほころんでしまうのは。
果たしてわたしが真っ先に、血を吸い尽くされてしまったせいだけだろうか?
それとも血を摂られた返礼にやつが身体じゅうにしみ込ませてくれた毒液が、
わたしをひとりでに、操っているからにすぎないのだろうか?
いまもわたしは、受話器をとって。
今夜家に寝泊まりする女たちの頭数を、そっと告げてしまっている。
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コメント

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ♪
繰り返し使われるこの音
まるで童謡のようです
よし、リズムをつけて音楽の教科書に
乗せよう!
by ナッシュ・ド・レー
URL
2017-06-30 金 11:06:25
編集
かろうじて。
こんなモノも描いたっけ・・・と思い出すことのできたこのお話。
やたら刺激的な擬音ばかりを書き連ねるのは邪道なのだと思ってはいるのだけれど。
今回はけっこう、成功しているみたいですね。いま読み返してみると。

コメントにあるみたいに、「♪」を入れたほうがなおよかったかな?
そんな歌が教科書に載ったら、
その教科書で教える音楽室は、どんなことになるのだろう?
・・・と、ちょっぴり妄想しました。
by 柏木
URL
2017-07-01 土 05:37:48
編集

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