FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

もうひとりの俺

2010年01月28日(Thu) 07:40:30

真夜中の自室のなか。
ふと目ざめると、いましも牙を迫らせてくる、異形の影。
とっさに脚ばたつかせ、腕振りほどいて。立ちあがって。
ドアを開けて外に逃れようとした。
開いたドアの向こう側に、もう一匹の翳をみとめたとき。
俺は仰天し、声を失った。
そこに佇んでいたのは、もうひとりの俺。
そいつはへらへらと笑いながら、俺のことを押し倒して。
スラックスをたくし上げ、薄いナイロンに染まった脛をさらけ出して。
見ろ。こいつは女の下着が好物なのだ。
いとも愉快げに、へらへらと笑い崩れながら。
己で己の恥を曝してゆく。

びりびり裂かれたワイシャツの下には、女もののスリップ。
脱がされたスラックスに隠されていたのは、太ももを横切るガーター。
な?こいつは変態なのさ。変態の血って、案外旨いんだよな?
相棒をそそのかし、うながして。
俺は身動きもならず、組み敷かれていって。
二対の牙を、首筋と脚とに、食い入らされていった。
股間をひどく、逆立てながら。

さあ、これでお前も仲間だ。
早く家族の居間に案内するんだ。
オレたちはなにしろ、血に飢えている・・・
もうひとりの自分に、そそのかされ、促されて。
ひっそりと出た自室。
もはやまとうものは、女もののスリップに、黒のガーターストッキング。

居間はまだ灯りが点っていて。
その灯りの下、スーツ姿のお袋は、驚いたように立ち上がって。
逃れようにも、男三人が相手では、無理だった。
ましてそのうちふたりは、彼女の息子の顔をした吸血鬼。
ひとりは首筋。もうひとりは足許。
俺は背後からお袋に抱きついて。
血を抜かれるにつれて抵抗を弱める身体を、密かに愉しんでいた。

つぎの獲物は、妹。
勉強部屋に点った灯りの下。
セーラー服姿が、逃げまどう。
静かになった女学生に、にじり寄って。
真っ白なハイソックスの足許を、意地汚くなぶりものにする侵入者。
もう一人の俺は、首筋につけた傷口を指し示して。
さぁ、おまえもやるんだ。と。
俺を促しそそのかして。
吸った傷口に浮いたバラ色のしずくは、たちまち俺を虜にした。

もういちど、お袋のところに行って来るよ。
そう言い捨てて降りて行った階下の居間。
肩をはずませセイセイと息を荒げるお袋にのしかかって。
首筋を吸いながら、股間を浅ましく逆立てていった。

すぐ傍らに引きずってこられた妹は。
ハイソックスを真っ赤に染めていて。
その血のいくらかは、太ももの上から垂れ落ちてきたもの。
なぁんだ。俺も参加したかったな。
意外に乾いた声の俺は、もうひとりの俺に笑いかけて。
もうひとりの俺はにんまりほくそ笑みながら。
いいものだぞ。自分の妹って。先は越されちゃったけどな。
獲物の交換に、応じてくれた。

女ふたりに、男三匹。
入れ代わり、たちかわり。
己のものにして、他人の所有にゆだねる。
共有することが、新たな契りをむすぶことだと。
交わり交わらせることが、新たな関係を築くことだと。
お互いの黙契のなか、息を熱しつづけてゆく。
夜明けまでは、まだ長い。


あとがき
もうひとりの俺は、襲いたい俺。
ほんとうの俺は、襲われたい俺。
けれどももうひとりのほうの俺は、じつは襲わせたがってもいる。
どちらもほんとうの、俺。
どちらも歪みきった、俺。
前の記事
だれもが、表情を消したまま。
次の記事
Blood Game

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/1977-342e55e8