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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

かえり道  妹のとき、恋人のとき、娘の場合。

2010年02月05日(Fri) 06:28:25

村はずれにある吸血鬼の小父さんのお邸へ。
初めて妹を連れだした日。
セーラー服姿の妹は。
濃紺のプリーツスカートの下、
いつも学校に履いて行く黒のストッキングを装っていた。
小父さまに愉しませちゃうんだよねって、いいながら。
羞ずかしそうに見おろす足許は、
いつものやつより濃い墨色におおわれていた。

かえり道。
汗臭くなかったかしら?
むしろ小父さんの心証に気を遣いながら。
たどる家路、歩みを進める足許は。
噛まれた痕の、鮮やかな裂け目がなまめかしかった。

都会育ちの未来の花嫁を。
幼いころからなついていたという小父さんに逢わせるときは。
純白のスーツに、肌色のストッキング。
その昔母さんが父さんに連れられて、
小父さんのお邸にお泊まりに出かけたときと同じ色。
けれどもそこは、いま風の子らしく。
洗練され抜いた、てかてかとした艶をよぎらせていた。

かえり道。
時折ハンカチで目じりを拭いながら。
それでもギュッと、一緒に歩くわたしの手を握り締めてくれていた。
肌色だけど、目だつよね?って。
足許をよぎるストッキングの伝線を気にかけながら。
すれ違う人たちがさりげなくよぎらせる視線のことを、
もっと気にかけていた。

いつもは白のハイソックスだけど。
叔母さんのときも。ママの時も。ストッキングだったんだよね?
あたしも黒のストッキング、履いて行こうかな♪
すっかり少女らしくなったまな娘は。
妹とおなじ制服に身を包んでいて。
三本の白線が走る濃紺の襟首に囲まれたおとがいを。
無邪気な笑みに、花咲かせていた。

痛かった~。は、恥ずかしいぃぃっ。
手にしたハンカチを、時折頬に持って行きながら。
わたしの掌をギュッとつかまえつづけた娘は。
スカートの奥まで這い込んだ黒のナイロンのほつれを気にかけていた。
欲望のままに噛まれた痕は、素足の白さをあからさまなまでに露出させている。
うぅん、なにもいわないで。
あたしの血が美味しかったっていうんだら、もうそれでじゅうぶんなんだから。

妹も、妻も。そして、娘のときでさえ。
じりじりとしながら廊下で待ちわびる、ひと刻。ふた刻。
けれども三人が三人とも、能面みたいに表情を消していて。
なにもかなったように身づくろいを済ませているのに。
足許を彩る薄い靴下だけは、替えることを許されなかった。

お召しもののまま、襲って。スカートの下を、いたぶって。
ストッキングを噛み破って、足許から生き血を吸って。
皆さん履き替えを一足は、用意してくるようだね。
けれどもその履き替えをすら、わたしは見逃さないのだよ。
手許に残した、さいしょの一足を見せびらかされながら、
なんどおなじ話を、聞かされたことだろう。

お兄ちゃん、今日も行こ。
あなた・・・つきあってくださる?
パパ~!遅れちゃうよ・・・
三人三様、声色はちがっても。
あくる日むしろ愉しげに、わたしに連れだしてもらいたがった女たち。

はじめの日より薄めの黒ストッキングに脚を通して、
薄過ぎるかなぁ。いやらしいかなぁ。って、戸惑っていた妹。
やっぱり、光沢のあるやつのほうがいいみたい。
きのう持ち合わせていた、地味な二足目よりも。
さいしょに穿いて行ったもののほうが、舐め方がしつこかったと。
ひっそり笑う、未来の花嫁。
小父さんと約束したんだ。きょうは白のハイソックス履いてってあげるからって。
白だと血の色が、よけい目だっちゃうかもー。
噛まれる前とまったく変わらない、開けっ広げに無邪気な娘。

儀式を乗り越えた女たちは。
いとも嬉しげにわたしの手を取って、
軽い揶揄と感謝のまなざしを、くすぐったそうに送って来る。
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