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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

幼馴染の婚約者

2010年02月28日(Sun) 22:12:38

容子がふたたび起き上がったときには、それまでとはべつの女になっていた。
この家に独り招かれるまでは、邸の主の幼なじみである貞沼銀次とこの秋に結婚するはずの、ごく平凡な都会育ちの OLにすぎなかった。
それがいまでは、未来の夫にたいして不貞の秘密をもった女になりかわっている。
ストッキングを剥ぎ堕とされたふくらはぎからつま先へとしたたりおちる血が、彼女の身体を忌まわしい嵐が通り抜けた証だった。
拒みつづけた細い腕の隙をついて忍び込まされた巧みなまさぐりが、
彼女の理性を浸蝕し突き崩していったひと刻ひと刻の記憶が、
屈辱や敗北感とは裏腹のものをもたらすのはなぜだろう?
身体のすみずみにまで染み込まされた悦楽という名の毒液が、いまの彼女にはたまらなく心地よい。
―――いい子だ。もうすこし、ゆっくりしていかないか?
男のいいなりになって、しかけた身づくろいの手をとめて。
釦を留め直したばかりのブラウスを、惜し気もなく剥ぎ取らせていった。

意地悪―――
見せつけられたビデオをまえに、女は甘えたように口を尖らせていた。
ほら、しっかり愉しんじゃっているじゃないか。
男は女の嫌う煙草の煙をわざとのように吹きかけている。
ビデオを撮られてしまったということが、女がこれからも男のいいなりにならなければならないことを意味しているということを、彼女はさすがに自覚していた。
けれども彼女には、そうなってしまったことがちっとも不愉快ではなかった。
結婚まで、半年もないわ。それまですこしでもよけいに、愉しむことにしましょうか・・・
女の態度を、男は気に入ったようだった。

あのビデオ、あいつに見せてやれよ―――
危険なそそのかしをくすぐったそうに受け流して、
女はスーツの裾をすこしだけ、思わせぶりにずらしてゆく。
まだもの馴れない女のぎごちないしぐさが、かえって男をそそりたてた。
肌色のストッキングの上をよぎる掌に力がこめられ、ぴりりとかすかな音をたてて女の礼節をむしり取る。
きちんとセットした髪型が乱れるのを、女はすこしもいとわなかった。

―――ビデオを見せてやれ。あいつも薄々、わかっているはずだから・・・
悪魔のような囁きに、女はかぶりをふり続ける。
けれども囁きの毒液は、彼女の心の奥深くにまで染み込んで、たえざる誘惑に引き寄せてゆく。

意地悪・・・
結構、愉しんじゃっているじゃないか。
いま彼女の傍らで恋人をやゆしているのは、未来の夫。
いけない情事をかいま見られて、
それでもしたたかになった女は、
昂りを覚えているのが自分だけではないのを知っている。

さきに結婚した男があとからの幼なじみの花嫁をいただいて教育する。
気が向いたときには、結婚してからもお呼びがかかる。
そんな夫の告白に、女は胸の疼きをこらえきれなくなっていた。


あとがき
今朝の9時すぎころにふと浮かんだお話です。^^
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卒業式後の謝恩会には、白のハイソックスを履いていく。

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