FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

黒を穿いていくときは、特別なのよ。。。

2010年03月08日(Mon) 07:55:20

真っ赤なドレスと真珠のネックレスに縁取られた首すじに。
血に飢えた唇が這い、鋭利な牙が埋め込まれる。
ちかぢか姓をわたしと同じくする予定の彼女は、
厭わしげに眉ひそめ、悔しげに口許を引きつらせて。
貪婪な吸血に、耐えてゆく。
そのはてにどうなるのか、いやというほど見てきたはずなのに。
彼女の口許がほころび、こわばった頬がゆるんで打ち解けて。
半袖のドレスから大胆にむき出しになった細いかいなを相手の背中に巻きつけて。
ひと刻の陶酔に酔いしれてゆく―――
ドレスのすそをまくり上げようとする男の、不埒な掌を。
制するように、掌を重ね合わせていって。
むしろ自分から、ドレスのすそを引きあげていて。
ストッキングを穿いたふくらはぎに、唇を許していく。
透きとおるナイロンのうえ、吸いつけられた唇は。
なよなよとした薄い生地を、みるみるしわくちゃにしていって。
女の足許を彩る清楚な装いは、ふしだらに波打ち、踏みしだかれて。
ブチブチッ…
かすかな悲鳴に似た音とともに、噛み破られてゆく。

いやというほど見てきた結末が。
許婚の身に重なり合ったとき。
わたしは嫉妬に狂いながら、妖しい昂りに胸を浸されていった。

予定どおり、貴男のお嫁さんになるわ。
けれどもそれまでのあいだ、処女の生き血がお好きなこのひとに協力するわ。
貴男も協力なさるわよね?
式を挙げる日まで、わたくしには指一本触れないことで。

それからというものは。
デートのたびに。
帰り道を襲われて。
いや!いや!いや!
身を揉んでいやがる彼女は、ほんとうは望んでいるはず。
しまいに清楚に装ったワンピースやブラウスの襟首を侵されて。
真っ白な生地を、ばら色のしずくに濡らしながら。
しずしずとその身を、横たえていって。
着崩れした正装のすき間から、白い肌をちらちらと覗かせながら。
男の思うまま、潔らかな血潮を、吸い取らせていって。
不埒で貪婪なむさぼりに、応えはじめてゆく。

逢うたびに丈がみじかくなってゆくスカートのすそから、
にょっきりと覗いたふくらはぎを、
紺、ベージュ、薄茶色。
色とりどりのストッキングに、染めながら。
はじめは羞じらうように。
慣れてくると、見せつけるように。
飢えた唇、不埒な舌に、気前よく愉しませていって。
下品なよだれに、惜しげもなく浸していった。

そんなふうにして、愛用のストッキングを一ダースほども破らせてしまったある日のこと。
彼女の装いは、純白のスーツ姿。
兄さん、気をつけな。
智佳子さん、黒を穿いているよ。
耳打ちする妹は、わたしにそっと教えてくれた。
見えちゃったけど。
彼女、太ももまでのストッキングだよ。
あたし教えちゃったんだ。
パンストじゃなかったら、脱がないでもできるからって。
きっと今夜は、特別な夜になるんだよ。
白のタイトスカートの下、すらりと伸びたしなやかなふくらはぎは。
ついぞ見かけない、薄墨色のナイロンに染めあげられていた。

ほら。
あとを追いかけなさいよ。
母までもが、わたしのことをけしかける。
見逃しちゃいけないよ。あのひとのお婿さんになるんなら。
黒を穿いて行くときは、特別なときなんだから。
その昔。
父がいるというのに、黒一色のスーツに装った母は。
薄黒いストッキングの脚をさらけ出すほど、礼服のスカートの丈を詰めていて。
いつも真っ白なハイソックスにバラ色のシミをつけて下校してくる妹も。
卒業式を間近に控えた制服姿の下、
昔の女学生みたいに、黒の薄々のストッキングに脚を通していた。
ふたり、夜をこして帰宅してきたとき。
素足で戻ってきたふたりのことを、父はなに食わぬ顔で、迎え入れていた。
男ふたりが寝不足の赤い目をしていることなど、
女たちは気にかけていないようすを取り繕っていた。

帰り道を急ぐ彼女に追いつくのに苦労するほど。
ヒールの高いパンプスの足取りは、速かった。
憑かれたようにあとを追いかけるわたしは、いったい何を視ようと欲しているのだろう?
若い花嫁の、ふしだらな堕落?
薄黒いナイロンに包まれた脚の演じる、淫靡な舞踏?
わたしに告げずに彼と逢うようになった、彼女は。
迷いもせずに街はずれの彼の邸の門をくぐっていた。

入り込んだ庭先の、窓越しに。
迎え入れられた女は、密会の相手と向き合って。
捧げるようにして、白い首筋を差し出して。
ごくごくと音を立てながら自分の血を飲み耽る情夫のため。
己の血を惜しげもなく、吸わせていって。
純白のタイトスカートを、すこしだけたくし上げ、薄墨色に染めた太ももを、あらわにしていって。
戯れになすりつけられてくる唇を、舌を。
面白そうに、くすぐったそうに、見おろしている。
ぶちちっ・・・
かすかな音をたててはじけたナイロン生地が、白い素肌を滲ませるのを。
ニッと笑った口許が、ひどくふしだらな輝きをよぎらせる。

朝―――
連れだって手をつないで歩く、帰り道。
彼女の足許は、かすかにふらついていて。
失血のほどを、ふらつきの伝わる握り合った掌をとおして感じていた。
彼女のストッキングは、いくすじも裂け目を走らせていたけれど。
どちらもが、見て見ぬふりをして、そのじつちらちらと盗み見合っていた。
週一は、黒を穿いてもいいかしら?
そうだね。週一くらいがいいかもね。
結婚までに、なん人経験できるかしら。
あなた、協力しなさいよ。
うふふふふふっ・・・・えっち。
からかうわたしの尻を、妻となる女の掌が、甘えたように叩いてゆく。
耳もとに交わされる、ひっそりと熱い囁き。
黒を穿いていくときは、特別なのよ。。。
前の記事
初夜権  ~ひきおろされたパンストのゴム~
次の記事
身に着けたスリップ

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/2002-d2c95850