FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

小僧っ子。

2010年03月16日(Tue) 05:52:42

夜の九時。
残業帰りがすっかり、日常のことになっていた。
こうこうと灯りの点るマンションの一角も、もう寝支度に入っている頃だろうか?
自分と家族のために占有を許された一角に点る灯が、寒々と揺れていた。

ただいま。
迎えのない玄関に、いつもとちょっとちがう雰囲気を覚えたが、そのままいつものようにあがりこむ。
ああ、はたして―――。
ちゅうちゅう。ちゅうちゅう。
リビングの隅からあがる、異様なもの音のする方角を、どきどきしながら見やっていた。

妻は見なれたよそ行きの緑色のスーツのまま、
脚を大の字に投げ出してあお向けになっている。
意識はとうに、理性の彼方。
目を見開いたまま、天井を見あげていた。

肌色のストッキングの足許にかがみ込んでいるのは、わたしの半分ほどの背丈の人影―――
子供の吸血鬼だからといって、あなどってはいけない。
人ひとり分の血液をゆうゆうと啖らい摂る能力は、楽に持っているはずだから。
あぁ、おじさん。お帰り。
少年はわたしを見かえりながら、いつものように冷静で無表情だった。
口許に撥ねててらてらと光る血を、拭おうともしない。

いっしょに吸おうよ。
おじさんの分も、残しておいてあげたんだから。
いつかどこかで、そんな言い草を聞いたことがあったっけ。

・・・・・・。
・・・・・・。

それは三十年ほどもまえのこと。
こげ茶のカーディガンに、うす緑のタイトスカート。
当時流行っていた外巻きの髪を振り乱して、
目を見開いたままあお向けになって気絶していたのは、母。
地味なうす緑のタイトスカートは、わたしの学校のPTAのときいつも身に着けて行くので見なれていた。
カーディガンとおなじ色をした、こげ茶のハイソックスがすこしずり落ちているのは。
ひざ小僧の下からしつように吸いつづけたせいだろう。

おかえり。お兄ちゃん。
いまと背丈も年かっこうも、ほとんど変わらないその少年は。
母の身体から吸い取った血を、やはり口許にてらてらと光らせたのを、拭おうともせずに。
おいしいよ。お兄ちゃんも、吸いなよ。
もっと吸いたいのガマンして、ボク残しておいてあげたんだから。
残酷なほど無邪気な瞳が、笑っていた。

そのままうかうかと、母の足許にかがみ込んでしまったのは。
いつもよそ行きのとき履いている肌色のストッキングが、妙に近寄りがたかったのに、
きょうだけはなぜか、いつもわたしが半ズボンの下に履いているのとおなじ丈のハイソックスだったから。
チョコレート色のハイソックスに包まれたふくらはぎが、なぜかとてもおいしそうに映って。
わたしは少年と頭を並べて、母の生き血に喉を鳴らしていた。
おいしいよね?おいしいでしょ?
わたしを共犯者に引き込むことに成功した少年が、しきりに同意を求めてくるのに、応えようともしないで。

犯しちゃうの?犯しちゃうんだよね?
お兄ちゃんももうじき、中学生だもの。女のひとを識っても、おかしくない年ごろだよね?
明らかに挑発している・・・そうわかっていたのに。
掌の下にかすかな息遣いを上下させる柔らかな胸が、たまらなくなって。
わたしは少年のまえ、半ズボンのジッパーをひき降ろしていた。

一命をとりとめた母は病院に運ばれて、
それでも少年は、病院通いを絶やさなかった。
看護婦さんの白のストッキングも、おいしいねっていいながら。
退院祝いをしてあげるという少年を迎えるとき。
母は黙って、肌色のストッキングを脚に通していった。

・・・・・・。
・・・・・・。

どうしたの?おじさん。小母さんの血、吸わないの?
イタズラっぽく笑みを投げてくる少年に、わたしはハッと我に返っていて。
われに返った途端、妻の足許に唇を這わせていった。
そう。そう。それでいいんだよ。似合いの夫婦だね。
わたしをからかうような視線を頬で受け流しながら。
ひと刻、非日常の刻に酔い痴れていた。

わかってるよね?きょうのボクのほんとうのお目当ては。
小僧っ子がイタズラっぽくわたしに囁きかけたのは、
鉄の扉の向こう側、革靴の足音が近づいてきたときだった。
夜遅くまで塾通いしている娘は、来年大学を受験する。

お姉ちゃんの血。いっしょに分けようよ。
まだショジョのうちに、襲っちゃわないと。
どこかのお兄さんに、おいしいとこ獲られちゃうよ。
お姉ちゃん、塾に行く時はいつも、セーラー服なんだよね?
夕方出かけて行くときの、黒のストッキング。オトナっぽかったよ。
いまならもう、ストッキングを履いた女のひと・・・犯すことができるよね?
お姉ちゃんもいっしょに愉しんじゃえるようだったら。
あしたの会社、休んじゃってもいいんじゃない?
前の記事
おなごの品定め
次の記事
血の行く末

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/2008-76f543a3