FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

兄嫁

2006年04月19日(Wed) 07:02:17

暗くなった夜道を抜けて。
ぶらりと家に上がりこんできたのは弟だった。
頬にちょっぴり、泥を撥ねかして。
「とうとう相手、見つからなかった」
ぶあいそな言葉遣いが照れ隠しからくるものだと、誰もがとっくにわかっていた。
まだ肌寒い春先の夜に、のどかな散策を愉しむ若い女は少なかろう。
「義姉さん・・・招んでくれる?」
兄をみあげたとき、少年はちょっとはにかんだような童顔になっている。

表情を消して現われた兄嫁。
飾りけのない白のブラウスに、黒のキュロットスカート。
伏し目になって遠くから、儀礼的な無言の会釈をかえしてくる。
「ごめんね。兄さん」
無言の裡に交錯する、謝罪といたわりと。
少年は自分よりも背の高い義姉の手をひいて、
床の間のある部屋のふすまをしめた。

灯りを消すことは禁じられている。
「何するか、わからないからな」
油断のならないやつだ、と言いたげに弟を睨んだ目つきは
それでもどこか親しみを含んでいた。
ふたりの間の近すぎる間合いにとまどうように、
兄嫁は不意に合わせてしまった視線をそらそうとする。
腰を抱かれて。のがれられなくなって。
黒のストッキングに包まれたひざを崩してゆく。

ふくらはぎにねっとりと這わせた唇に、
さらさらとした薄手のナイロンが心地よい。
ねじれたストッキングの向こう側、かたくなに張りつめた皮膚に牙を刺してゆく。
服、脱がせるのはカンベンな。
兄貴はたしかに、そういった。

むしょうに、くすぐったかった。
ふすまの向こう側から注がれてくる、しつような視線。
義姉もそれとなく察しているのか、時折かすかにためらうしぐさを見せてくる。
けれどもそんなことは許さずに、むしろいっそう嗜虐心を昂ぶらせて。
少年は義姉を抑えつけていた。
うなじのあたりに漂う、ほのかな体温と香水がつむぎだす大人の香り・・・
疼いた牙をもういちど、拒みつづける両肩を抱きすくめて埋めてゆく。
兄への義理は、そこまでだった。

ふすまの向こうから洩れてくる、荒い息遣い。
それは和室の外からのものだった。
「弓恵ちゃん、ね?」
囁きかけてくる義姉の声に、どこかせっぱ詰まった妬みの色を読み取って。
しかたなかったんだよ。三人兄妹のなかで、弓恵だけが女の子だったから。
真っ先に襲われちゃったんだ。
いまでも兄貴のことを慕っていて、ああやって突然現われるんだよ。
口先でなだめられたって、納得できるものじゃないわ。
義姉がにわかに見せた人くさい感情が、かえってむしょうにかわいらしくて。
少年はさっきから結び合わせてしまっているスカートの奥に、若い熱情の残滓を思うさま降り注いでゆく。
前の記事
みんなで可愛がってあげてね
次の記事
あの世に捧げる操

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/201-2901f8a6