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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

緑色のハイソックス

2010年03月30日(Tue) 07:14:22

村の若者は年ごろになると、村はずれに棲まう吸血鬼のために。
母親や姉妹、あるいは婚約を交わした娘など。
近しい女家族の血を吸わせるために、連れだって彼の棲み処に引き込むことになっていた。
ごく若いうちに婚約を交わすのがしきたりのこの村だったが。
女子の数はかぎられていて。
(きっと吸血鬼が血を吸ってしまうからに相違なかったのだけれど)
志郎のばあい、まだ婚礼を挙げる相手に、めぐまれていなかった。
もしかすると、一生独り身でいるのかも。
そんな味気のない予感のしてくるころだった。

連れだって歩く娘は、自分の妹。
ほんとうならば、結婚相手が導く通い道を、
どういうわけか兄である志郎が、母のいいつけで連れ歩くようになったのは。
彼女が中学にあがってからすぐのことだった。
それからはや四年の歳月がながれたが、
村はずれの邸のあるじは、彼女の生き血を嘉したもうたのか、
いまだに処女のまま、血を吸われつづけているのだった。

さいしょに噛ませたのは、真っ白なハイソックス。
そのつぎは、入学式のときの黒のストッキング。
初々しい装いたちが目のまえで穢されるありさまを。
志郎はゾクゾクと昂りながら、見守りつづけてきた。
ひと言でハイソックスといっても、いろんなやつがある。
志郎はそれまで、そんなものに注意を払ったことはなかったのだけれども。
ねずみ色のやつ ラインの入ったやつ ストッキングみたいにすけすけのやつ。
そのうちいくらかは、いつか彼じしんもたしなむようになって。
妹とおそろいに脚を並べて、
こちらは兄妹 あちらは男女
競うようにして、味比べを愉しませることもあるのだった。

歩く道々、志郎はちらちらと妹の足許を盗み見る。
そういう兄の視線を、さして珍しがるふうもなく。
郁子が伸びやかで大股な歩みを進める脚にまとっているのは、緑色のハイソックス。
陽の光を照り返してツヤツヤ輝くナイロン生地の表面に、
複雑な網目模様が、交錯していた。

ねぇ、どうしたの?
あたしのハイソックス、気になるの?
いつになく兄の強い視線を感じた妹は、面白そうに上目づかいを送っていく。
ウン。珍しい色だなって思ったからね。
いままでも。
色とりどりのハイソックスに彩られた足許だった。
ねずみ色のときには、濃い赤紫に。
黒のときには、ほとんど目だたずに。
緑のときには、どんな色合いに染まるのだろう?
そういえば郁子が緑のハイソックスを履くのは、初めてだった。

ねぇ、そんなに気になるの?
じゃああのひとたちにはナイショで、お兄ちゃんに噛ませてあげる。
えっ?
ビクッとして見かえる妹は、輝くばかりに笑んでいて。
口許から覗いた歯並びの良い白い歯が、イタズラッぽく輝いていた。
いいよ。ほら。
畑の跡の草地に、むぞうさに革靴の脚を沈めると。
微風に揺れる若草の穂が、ふたりの姿を腰まで隠していった。
お兄ちゃん、ほんとは吸血鬼に仲間入りしたんでしょう?
いつの間にか大人びたまなざしは、兄の横顔がこくりと肯くのを見届けた。

さぁ、噛んで。
さしよせられたふくらはぎは、
いつの間にか少女の稚なさを女らしいカーブにすり替わっている。
恐る恐るのように近寄せる唇に。
少女はしずしずと、ふくらはぎを近寄せていって。
ちゅうっ。
吸いつけたときのあからさまな音が、
音をたてた者をしんから、昂らせていった。
厚手のハイソックスは、ざらっぽい舌触りがした。
刺繍もようを、ゆっくりと。じわりじわりと舐め抜いて。
唾液がほどよくしみ込まされたナイロン生地のうえ。
志郎は静かに生え初めた牙を埋めていった。

妹の頭がゆらりと揺れて、兄にしなだれかかってゆく。
さいしょは恐る恐るだった、羞じらいためらいながらのふたりの動きは、
慣れ合うにつれて激しさを増していって。
しまいにじゃれ合うように草地のなかに沈んでいった。
ずり落ちかけた緑色のハイソックスのふくらはぎだけが、草むらから伸びていて。
じたばた暴れるように上下していたのが、とつぜん静かにだらりとなって。
ある角度に開かれたそのすき間に、男の身体を横たえていって。
さいごにぴくっと、硬直した。

う、ふ、ふ、ふ。
なるようになったな。
遠くから見守るのは、ふたりの血を吸いつづけてきた男女。
では、参ろうか。
男はあの子たちの、母親を。女はその夫を。
すみからすみまで、いつものように。
食らい愉しんでくれよう・・・な?

兄妹が結婚の杯を交わすことも、少なくないこの村に。
新たなカップルが、誕生する。


関係のないあとがき
このお話がベッドのなかで浮かんだあと、ふと思い出したのですが。
安倍○房の脚本に、「緑色のストッキング」ってありましたっけ。
あれ、どんなお話だったのかなあ。
ときどき気になるんですけれど。
図書館に行くのが、面倒で。 笑


あとがき(おまけ)
「刺繍模様のハイソックス」
わかりにくいですね。
柏木がイメージしたのは、こんなかんじのやつです。
緑じゃなくてすまぬ。m(__)m
なんていう柄なのかご存知のかたいらしたら、教えてくださいね。^^

掲載用 加工071207 033
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