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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

拒みながら。

2006年04月21日(Fri) 04:21:18

亭主の目をかすめて、お内儀を失敬する。
これほどの愉しみはそうそう、見あたらないだろう。
亭主に対してべつだん、悪気があるわけじゃない。憎いわけでもない。
どちらかというと顔を合わせずにすませたい。
そのていどにしか、意識にのぼらない関係。
壁に押しつけたお内儀は黒の衣裳に秘めた柔肌の色香をむんむんとさせて、
却っておれのほうに身体を寄り添わせてきた。

べつだん、淫乱というわけでもない、
どこにでも見かける、ごく人並みにまじめな主婦。
訪ねていくといつも伏し目がちにおれを出迎えて、
早く帰ってほしいようなそぶりさえするというのに。
いったん迫って、堕としてしまうと。
別人みたいにあられもなく取り乱して、
娼婦さながらの媚びを見せてくる。

露骨に乱れる女は、好みではない。
お前ら夫婦はいったいなんなんだ、とさえ思ってしまう。
だがこの女がみせる媚態はひどく禁欲的で。
感じていることを見せることを厭う本能を持ち合わせていた。
乱れまい、スキなど与えまい。
不埒な女と思われまい。
そんな意思さえありありと伝わってくるほどに。
拒んでくるしぐさのすべてに、罪の意識に対するおののきを伝えてくる。
それでももっと奥深い本能は、女の意図を裏切って。
つねに禁忌を犯しつづける。
抗いのなかにたくまぬ媚態を秘めながら。
もみくちゃにされる衣擦れの下。
豊かな素肌に透きとおる青白い静脈を、
いつか赤裸々に毒々しく弾ませてゆくのだった。

あのひとが戻ってくる・・・
そう訴えれば、おれがやめると思っているのかい?
いけねぇ。また、そそられちまった。
拒もうするそのやり取りが、おれを却って惹き込んでいるの、
あんたはどこまで承知しているんだね?
真っ黒なスカートにくっつけられた、白く濁ったぬらぬらとしたものを。
あんたはまたさりげなく巧みに押し隠し、
もの静かで控えめないつものお内儀に戻ってゆくというんだね?
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