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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

凌辱された新婚旅行

2010年04月19日(Mon) 07:13:45

一陣のつむじ風が、通り過ぎたあと。
わたしも、妻の敏江も、草むらのなかで尻もちを突いていた。
新調したばかりのスーツを、泥だらけにしたまんま。

殴られた横っ面が、まだひりひりしている。
それ以上に、後ろ手にされた両手首を縛り合わせた荒縄が、しみ込むような痛みを屈辱感に変えていた。
敏江の着ている純白のスーツには、ところどころ泥が付着していて、
なによりも、強引に脱がされたピンク色のショーツが、まだ足首に残されているのが、屈辱感をひきたてていた。
下手人は、ぜんぶで五人。
年かさの者はわたしの父親と同じ年かっこうのごま塩頭だったし、
いちばん若いのはまだ、敏江の齢の離れた弟とおなじ高校生くらいだった。
老若取り交ぜた一味は、草むらに転がした私たちを、冷然と見おろしている。
「悪く思うな。けどあんたの嫁さんいい身体してるのぅ」
冷やかすように声をかける若い男を、ごま塩頭が制していた。
「ばか者。奥さんをものにさせてくれるような殿方には、礼儀正しくかしこまるものだぞ」
なんという言い草。
背後で沸き起こったひそやかな嗤いに、敗北感をいっそう掻きたてられた。
妻を汚された敗北感、屈辱、それに、衆目の前で服をすべて脱ぎ捨てたような、虚脱感。
それらがいっしょくたになって、わたしはまだ混乱のなかにいた。
「だんなさん、大丈夫か?立てるかい?」
後ろ手に縛られたわたしを、三十歳くらいのふたりが強いて立たせようとした。
「待て、待て。いきなり無理だって」
彼らを制したのは、やはりごま塩頭の男。
彼がいちおうは、一味の頭になるのだろう。
「奥さんはだいじょうぶかな?オイ立てるかね?」
べつのやつが、敏江に肩を貸して抱き起こしてやっていた。
祭は終わりじゃ。早ぅ洗ってあげるべい。
ごま塩頭が、ほかの連中に声をかけると、まだ気の済んでいない様子の若い衆も、しぶしぶズボンのジッパーを引き上げていく。
敏江は肩を貸してくれた男に、素直に身をゆだねている。
いまさら、どうすることもできない状況だった。

ここは、ひなびた山里。
観光スポットでも、有名な温泉街でもないこの土地を新婚旅行先に選んだのは、わたしの両親だった。
父の実家があるというこの村を訪れるのは、こんどが初めてのことだった。
母はなぜか、わたしが生まれた後も何度となくこの土地を独りで訪れたそうだったが、なんの目的で、だれに逢うのか、父もとうとう教えてくれなかった。
村長さんにご挨拶をしてくるように。
海外の新婚旅行に行きたいのなら、そのあとになさい。
母の言い草に、すこしばかりの不審を感じはしたものの、経験未熟な若夫婦としては、そこは素直に従うしかなかった。
右も左もわからないこの村の立った一軒のホテルに投宿するなりあらわれた親切顔の土地の男どもに案内されるまま、この雑木林に連れ込まれて、わたしは縛られ妻は凌辱を受けたのだった。

「ショックなのも、無理ぁない。新婚旅行先で新妻を強姦されるなんて、めったにできない経験だもんな」
真顔で覗き込んでくるのを受け流そうとそらした視線が、妻のむざんな有様にくぎ付けになる。
ブラウスを剥ぎ取られた胸が、いやというほど鮮やかな白さに輝いていた。
妻はちらとわたしと視線を合わせたが、やはり後ろめたかったのだろう。
素っ気ないほどに、合った視線をすっとそらしていく。
目じりに滲んだものが、わたしをはっとさせていた。
妻は愉しんでいた。
いつもベッドをともにしたあとに見せる、あのやつれたような笑みは、いまの彼女のほんとうの気持ちなのだろうか?
わたしの動揺を察したか察していないか、彼女は自分を抑えつけ踏みしだいていった男たちに囲まれるようにして、かろうじて身を支えているのだった。
二、三歩歩みをすすめると、引き裂かれたまま妻の脚にからみついていたねずみ色のストッキングが、ずるずるとずり落ちていった。
「えへへへへへっ」
それを目にしたごま塩頭が、下卑た嗤いを洩らしている。しんそこ好色なのだろう。
「だんなさん。悪りぃな。また、そそられてきちまった。どうだろう?毒を食らわば皿までだ。もう一回ずつ、奥さん姦らせてくれんかね?」
え・・・?
「そうだそうだ。なぁ奥さん、もう一回ずつなら、いいだろう?」
若い男が妻の顔を覗き込むと、なんと妻はゆっくりとだが頷いているではないか。
無言だったけれども、はっきりとした肯定の頷きだった。
妻の同意を目にすると、わたしももはや抵抗する気力を喪失していた。
「どうぞ・・・お好きなように」
自棄になって口にした許容のことばを、やつらは真に受けて。
しんそこ嬉しげに、いままでにないほど礼儀正しい会釈を返してきたのだった。
「だんなさん、このさい仲良くしようじゃないか。おれたち、同じ穴のむじなになるんだからな」
「同じ穴の」。
その言い草に、胸を衝かれる想いがしたけれど。
すぐにわたしは、反撥を覚えていた。
そういう意味ではないだろう?
少なくとも一方的に襲われたわたしは、貴様らの共犯者などではないはずだ。
一瞬そう思ったものの、もはや心身のダメージがすべてを支配してしまっていた。

敏江がもはや、抵抗の意思を喪失しているのを見て取ると、
男ふたりが敏江に取りかかって、ほかの三人はわたしのことを取り囲むようにして、傷の手当てをしてくれた。
用意のいいことに、救急箱持参だった。
手酷い張り手に切れた口許には、ばんそうこうを貼り、
擦り傷だらけになった手首には、ていねいい軟膏を塗り込んでいく。
首の傷だけは、手当てしないからな。
三十くらいの男はそういうと、にやりと笑った。
そう、たしかに・・・首を噛まれて血を吸われたはずだ。
尖った異物に侵された皮膚からこぼれ落ちた血を啜られて、どきりとした記憶がかすかに残っている。
だれかが「マゾっぽい血だな」って、言っていたっけ。
あのあたりから・・・理性をがんじがらめにされていったのだ。
どいつも悪気はねぇんだ。ただ女が好きなだけだよ。だんなもそうだろう?
ごま塩頭がなんと言おうと、お前たちのしたことはただの暴力なのだ。そう訴えようとおもったとき。
あぁ・・・んっ。
悩ましい呻き声だった。
声の主が敏江だということは、見ないでもわかった。
ねずみ色のストッキングをずり落としたひざ小僧が、街灯の照り返しを受けて、なまめかしく輝いている。
影絵の輪郭を縁取るような淡い輝きが、淫靡にくねる柔らかい女体を引き立てるように包んでいた。
きれいだねぇ。
男どもはため息しながら、まるで絵画を鑑賞するようにして、目を細めている。

一巡の約束のはずが、二巡にもなったのは。
わたしが制止せず敏江が昂ぶりつづけたから。
「さすがは都会のお嬢さんだ。もの分かりがえぇの」
こんどこそぬかるみから引き上げるようにして、だれかが敏江の手を引くと。
こんどは自力で、起き上がっていた。
「歩くのは無理じゃ。おぶってやれ」
ごま塩頭の言うなりに、いちばん年下の男が妻の華奢な身体をおぶってゆく。
野良仕事で鍛えた黒光りのする裸体に囲まれた白い姿態が、いっそうか細く映った。
女は甘えるようにして、若い男の背中にすがりついている。
敏江の弟くらいのその男は、「女は今夜がはじめてじゃ」と言いながら、たて続けに三回も敏江の内奥を辱め抜いていったはずなのだが。

宿泊先のホテルに着いた。
ホテルというにはあまりにもひなびていて、むしろ旅館という風情の傾きかけた日本家屋。
ぞろぞろと訪れた若い衆の来訪に、宿のおかみはさしておどろくふうもなく、
「あんたら、また何ぞ悪さしよったかの」
軽い口調でそう咎めたけれど、
わたしのほうには目で、「お逃げなさるな」そう言っているようにみえたのだった。

敏江がシャワーを浴びているあいだ、男衆はまだ居残っていた。
しんそこ敏江の身を案じている様子が伝わってきたけれど。
さっき獣と化して新妻を踏みにじられたわたしには、その落差が信じられなかった。
また下心があるのだろう?そんな探る目を、ごま塩頭たちは傲然と受け流していく。
「もちろんだ」そう応えかねないようなほど、堂々としてさえいた。
湯上がりの気配がしてしばらく経って、「どうぞ」という声に招き入れられて。
村の連中は、ほう、と感心したようなため息をつき、わたしは驚きの目を見張っていた。
淡いピンクのスーツに着かえた敏江は、黒々とした洗い髪を、こざっぱりと結いなおしている。
「スーツを一着、だめにしてしまいましたわ。でも着替えがありますので・・・」
着衣もろとも汚すのが愉しい。だれかがそううそぶいていたはずだ。
「毒を食らわば ですものね」
新妻は優しく意地悪く、わたしに笑いかけてくる。

こうこうと明るい室内は、たいへんなことになっていた。
「奥さん、ねずみ色の靴下が似合うねえ」
ごま塩頭が真っ先に、グレーのストッキングを履いた敏江の足許に顔をすりつけていくと。
ほかの連中も、あるものは腕を、あるものはうなじを、噛みつくようにして吸っていった。
事実、噛みついていたのかもしれない。
村を出るとき、敏江の首筋には二か所、足首やふくらはぎにもいくつもの噛み痕らしい傷が残されていた。
あっ・・・あっ・・・
咬まれるたびに。敏江はなまめかしい声をたてていて。
真っ白なブラウスにかすかに散らされたバラ色のしずくを気にかけながら、
その場に組み伏せられてゆく。
ああ・・・またさっきの雑木林の再現だ。
ちがっているのは、あたりが酷いほどの明るさに曝されていることと、わたしの手首の縛めがなくなっていること。
けれども敏江は臆面もなく、裂かれた衣装のすき間から白い肌をちらちらと露出させ始めているし、
わたしも彼らをさえぎることも忘れて、状況にのめりこんでしまっている。

狂った宴は、ひと晩じゅう、明け方までつづいていた。
「だんなさん、悪りぃな。でもしんそこ愉しめたよ。ここにはいつまでいるんだい?」
三十すぎの村の男衆のひとりはそんな荒っぽいお礼を一方的に口にした後で。こうつぶやいた。
「あんた、この土地に合っていそうだね。よかったらこれからも仲良くしてくんねぇか?」
そういったあとで、
「俺も、あいつも、あのごま塩頭に新婚初夜を襲われたんだぜ?」
大事な秘密を明かすときの、得意げで照れくさそうな笑いを残していった。
―――あんたも、愉しんでいたみたいだな。
去り際に囁かれた図星の言葉に、わたしはぼう然となって、立ち尽くしていた。

「ねぇ。寄っていかない?」
敏江のささやきに、わたしは無言で応えている。
どういうわけか、スーツを四着も取りそろえてスーツケースに押し込んでいた。
「お義母さまに、いわれたの。ご挨拶に行く先がいろいろあるから、そのたびに服を変えていかないと失礼にあたるんですって」
たしかにそうだろう。
服は訪問先を変えるごとに、はぎ取られてしまうのだから。
さいしょの晩は、純白の。
そのあとの二次会では、薄いピンクのスーツ。
つぎの日にあいさつに出向いた村長宅では、濃紺の。
宿に戻った後夜這いをかけてきた連中は、くつろいだときに好んで装う水玉もようのワンピースで相手をしていた。
都会ふうの装いを泥だらけにされてしまう愉しみに、もうすっかり、慣れっこになっていた。
代わる代わる訪れる男衆は、だれもが敏江と仲良くなりたがっていて。
わたしは快く、交際の申し出を受け入れて、座をはずしてゆく。
都会の装いを、田舎の土臭い凌辱にまみれさせる妻。
そんな光景に、ぞっこんになってしまっているのだった。
どうだね?奥さんまわされるのも、わるくないだろう?
ごま塩頭の言い草に、わたしは照れくさそうな笑いを返すばかりだった。
さいごの日は、黒の礼服だった。
さんざ破かれてしまったねずみ色のストッキングはもう一足も残っていなくって。

妻が脚を通したのは、黒の薄々のストッキング。
あぁ、これは村のかたたちに好まれちゃいそうね。
あなた、さいしょの晩みたいに、また縛られてみない?
若妻の素肌に、ツヤツヤとした好色な輝きをよぎらせて。
敏江はイタズラっぽく、笑っている。
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コメント

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by -
2010-04-22 木 13:47:28
編集
>匿名希望さま
ご訪問、ありがとうございます。
弊ブログのどこがお気に召したものやら。。。
嬉しく思います。(^^)
ただ、この晦渋なテキストサイトが、貴ブログのお客さまによろこんでいただけるような内容であるかどうかいまいち自信が持てません。
リンクにつきましては、今後のおつきあいのなかで判断させて下さいませ。
by 柏木
URL
2010-04-24 土 08:27:48
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