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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

献血だと思えば、いいんじゃない? ~差し出された都会妻の黒ストッキング~

2010年05月06日(Thu) 08:21:05

献血だと思えば、いいんじゃない?
妻の菜緒子の声色は、意外なくらいにサバサバしていた。
たまたま来合わせた、田舎の宿。
宿の主人からその驚くべき申し入れを受けたのは、つい夕べのことだった。
宿泊料金は要りません、その代わりに当地の男衆に奥さんの生き血を吸わせてやってもらえませんか?
どんな悪い冗談だろう?って顔見合わせるわたしたちを。
宿の主人は案内してくれた。
公民館に。

部屋のひとつには、学校帰りの女子学生が集まっていて。
たがいにキャッキャと、声はずませて、はしゃぎながら。
足許に這い寄る男たちを、軽く咎めてはいたものの。
制服のスカートの下、仲良く並んだひざ小僧の下。
真っ白なハイソックスに、紅いシミを撥ねかして。
薄黒いストッキングを、びちーっと伝線させて。
代わる代わるに、脚を吸わせてやっていた。

べつの部屋では。
中年の夫婦ものが。
どうやら奥さんにご執心らしい初老の吸血鬼を相手にしていて。
ご主人が、奥さんに手本を見せるように、スラックスをするするとたくし上げて。
あくまで男ものだよ、っていいながら。
ストッキングのように薄い、ひざ丈の靴下ごしに。男に咬まれていって。
縦に走った太い裂け目に、さすがに顔しかめながらも。
おまえも、破らせてみて御覧。
ご主人に促されるままに、奥さんも。
ワンピースのすそから覗く、肌色のストッキングに包まれたふくらはぎを、
ためらいながら、差し出していった。
足許を見おろすしかめ面が、目じりをゆるめてしまうのに。
おそらく数分と、かかっていなかった。
あら、あら。
尻もちをついたのも、気づかぬように。
さっきまでのためらいとは様変わりの、人懐こい笑みをはじけさせながら。
脚の輪郭からふしだらに浮き上がった肌色のストッキングがずるずるとずり落ちてゆくのを、
それはおもしろそうに、見おろしていた。

ほら、皆さんあんなふうに・・・愉しんでいらっしゃるんですよ。
宿屋の主人も、ちょっぴり羞ずかしそうに。打ち明けてくれたのだった。
私どものるす中うちのやつも、若い男衆の相手しているはずなんですよ。
こないだ街に出たとき買ってやった、黒のガーターストッキング穿いていましたからね・・・

いいじゃないの。献血だと思えれば。
菜緒子がこともなげに、そういったのは。
宿にもどってすぐのことだった。
私ガーターストッキングは、持っていないけれど。いまあるやつでも、愉しんでもらえそうだしね。
ストッキングを履いた妻のふくらはぎに、だれかが噛みついて、血を啜る。
そんな想像に、なぜかわたしまでもが、狂おしく脳裏を染めるようになっていた。

あのー、献血に協力するには、どうしたらいいんですか?
なんとも間抜けな質問に。
宿の主人はていねいに、教えてくれた。
じつはね。もう希望者がいらっしゃるんですよ。
村に入るとき、初老の男性とすれ違いませんでしたか?
あのかた、このあいだ奥さんを亡くされましてね。
いえ、亡くされたといいましても・・・たぶんお盆のころには生き返るご予定なんです。
すれ違っただけで、見初められたみたいですよ。
貴方の奥さまと、うり二つに見えたって、仰っていたんです。
若い奥さん、いらしたのに。
当地に棲む吸血鬼に、血を吸われちまいましてね。
ああ、だいじょうぶですよ。
いくら手前どもでも、来たてのお客さんにそこまではやりません。
どいうのもね。あのお宅はご主人も半分、吸血鬼だったんですよ。
さいしょにご主人が血を吸われて、墓場送りにはならずに済んだのですが。
お相手のかたがさいしょから、奥さんを狙っていたんですよ。
ご自身も血を吸われちゃって、たちまち意気投合。です。
女房の血を吸わせてやるよって。
それから奥さんは、通ってくる吸血鬼氏と、ご主人と。おふたりながらめんどうを見られて。
とうとうすっかり、もてなすべき血を失くされてしまったんですな。
生き返るときっと、ご実家の兄嫁さんとか、姪ごさんとか、順ぐりに訪問して、まずご自身の血を取り戻して。
それからまた、おふたりのお相手をつづけるんでしょうな。
けれどもそのあいだ。
ご主人のめんどうをみるものが、足りないのですよ。
村の奥さん連中が、交代でめんどうみているのですが。
どうにも手が足りなくってね。
貴方の奥さまには申し訳ないんですが、頭数の穴埋めをしていただきます。
そのほうが、ご負担が軽いでしょうから。
ほんとうはそういう扱いでは、失礼なのかもしれませんですがね。
さいごのひと言を、本当はもっと気にするべきだった。

その晩宿を訪れた吸血鬼氏は、半吸血鬼といわれるだけあって、ただの初老の男性にみえた。
ごま塩頭に、くすんだ顔いろ。
まずは奥さんを亡くされたお悔やみを口にすると。
ひどくていねいな物腰のお礼が、かえってきた。
きっとこの優しさで、血のないものに奥さんの膚をゆだねだのだろうと思えるほどに。
けれども、芽生えた吸血鬼としての本能も、この男のなかでたしかな存在になっているらしかった。
ほんとうは明日、と言い置いていたのだが、待ちきれなくなってしまったというのだった。
仕方ないわよね。吸血鬼って夜行動するんでしょう?
奈緒子がなぜか、とりなすようにそういったのは。
きっと相手の男性に、忌むべき以外のものを視たからに違いない。
果たして映画で得た知識がどこまで役に立つのか、わたしたち夫婦にもさっぱり見当はつかなかったけれど。
わたしが投げた、あくまで儀礼的な歓迎の辞に、その男性はひたすら恐縮するばかりだった。

ご主人、いけません。いったん座をはずしましょう。
宿の主人にいわれるままに、二人きりにした妻と吸血鬼。
あの・・・どうぞ、お好きなようになさってください。
未知の男性と差向いになった菜緒子は案外、思い切りがよかった。
咬まれたあとが、まだじんじんと疼いている。
そう、さっき妻より先に、わたしが「手本」を見せたのだった。
献血協力者の夫としては、さっき垣間見た夫婦もののご主人のように、
通り一遍にでも、手本を見せなければならなかった。
あのご主人の穿いていたみたいな、薄い靴下の持ちあわせはなかったけれど。
私のストッキング貸してあげようか?
さすがにそんな妻の冗談には、乗れなくて。
登山用のひし形もようの長靴下を履いて、妻より先に寝そべってみた。
失血にくらくらとしたくらいだから、けっこう吸われたのだろう。
彼の体内をめぐりはじめたわたしの血は、菜緒子にのしかかるはずの渇ききった欲望を、すこしは軽減させることができたのだろうか?
それとも案外、妻を責めるための精力に、なり果ててしまったものだろうか?
献血のご協力感謝しますという、相手の男性の声には真情がこめられていた。
わたしは丁寧に頭を下げて、
妻をよろしく。
造ったはずの声色にも、こちらなりの真情を込める気持ちになっていた。

ァ・・・
ふすまの向こう。
妻が切羽詰まった呻きを洩らしていた。
うなじに吸いつけられた唇が、素肌に沈めた牙を覆い隠している。
唇の陰に隠された、鋭利な牙は。冷酷なくらい正確に急所を捉えて。
三十代の主婦のもつ、しなやかなうるおいを秘めた皮膚を食い破っていた。
じゅるじゅると啜られる、妻の血が。
ひどくいとおしくおもえてきて。
妖しい嫉妬が胸を、つんざいていた。
ワンピース越し、這わされた掌が。
さっきから胸の隆起を、腰のくびれを、撫でまわしているのが、むしょうに気になるほどに。

仰向けに横たわる菜緒子の上から、男はしずかに身を起こすと。
吸い取ったばかりの奈緒子の血が、口許からしたたり落ちて。
妻の着ている花柄のブラウスに、しみ込んでいった。
もう・・・
菜緒子はほっとひと息ついて、相手の男をイタズラっぽく睨んでいる。
いけない悪さに耽るわたしを見あげるときの、あの上目遣い。
いつもの菜緒子に戻った、という安堵の想いと。
わたしの相手をするときと、おなじ上目遣いで視るのか?という軽い嫉妬と。
両方が、両方ながら、わずかに残されたわたしの理性を苛んでいた。
宿の主人が、傍らから。
まるでわたしの耳に、毒液をそそぎ込むようにして。
小声で解説を、つづけている。
お好きらしいんですよ。血を吸った相手の服を、持ち主の血で彩る・・・って。
相手のことを気に入った証拠なんですって。
よかったですな。奥さん気に入ってもらえて。
そうですね・・・
うつろに打った相槌に、わたし自身がぎくりとした。
ほんとうにそう感じはじめている自分が、怖かった。

黒いストッキング、よくお似合いですね。
男がおずおずと、そういうと。
ソファに座りなおした菜緒子は、そうですか?って得意げに。
紺のスカートをちょっとめくって、太ももを見せるそぶりをした。
じっさいにはひざ小僧の上がちょっぴり覗いただけだったけど。
そんなしぐさに、どきりとした。
菜緒子のやつまで、毒されはじめている。
それはそうだろう。
啜られた血の量は。とっくにわたしのそれを超えているはずだから。

あの。
男がおずおずと、言いかける。
脚から吸っても、いいですか?
え・・・?
あぁ、ちょっと唇を、つけてみたくなったので。
エエ、どうぞ。
菜緒子は怪訝そうに、相手の真意を汲みかねて。
黒ストッキングの脚を、ちょっとためらいながら見おろして。
それでもすぐに、ゆったりと流れるようなふくらはぎを、差し出していく。
ああ、もったいない。もったいない。
あんなおいしそうなふくらはぎを、むざむざと差し出してしまうなんて。
灼けるようなわたしの想いを知ってか知らずか、
スリッパを脱いだ菜緒子は、薄いナイロンの切り替えの横切るつま先まで見せびらかすようにして。
さあ、どうぞ。
思い切りよく、脚を流していった。

ぬるっ。
薄いナイロン生地の上を這う、男の唇が。
じっとりと淫らに、濡れていた。
その唇からぬるりと伸びた、赤黒い舌も。あきらかに劣情を、たぎらせていた。
菜緒子はそんなこととは夢にも気づかないらしい。
ぬるぬる、ねちねちと這う唇の触感を、感じまいとするように。
ひなびた田舎宿の古びた壁を、所在無げに見あげていた。
首すじにぽっちりと、ふたつ綺麗に並んだ紅い痕が。
微かなしたたりを忍ばせて、ブラウスのえり首を、音もなく浸しはじめている。

あの。
妻の足許から顔をあげた男が、ふたたび妻に呼びかけた。
このまま噛んでも、いいですか?
え・・・?
えぇ、あんまり舐め心地がいいもんで、つい・・・
頭を掻き掻き恥じ入る男に、菜緒子は苦笑を交えたものの。
むしろとりなすように、おだやかな声色で。
ええどうぞ、お気の済むようになさってください。
えっ。
思わずぎくりとするわたしのことを。
宿の主人が両肩に手を添えて軽く抑えてくれていた。
清楚に足許を染めるストッキングを、菜緒子は惜しげもなく、破らせてしまおうとしている。

ちゅうっ。
唾液がはぜるほど、あからさまな音だった。
ストッキングの脚に吸いつけられた唇は、
そのままなぞるように、這い降りていって。
掴まえた足首を、さらにギュウッと抑えつけて。
痛いわ。
妻の抗議に、謝罪するように。
なにか小声でささやくと。
こんどは妻が、頷く番だった。
ふたたび吸いつけられた唇の下。
パリッ・・・
かすかな音をたてて、薄いナイロン生地がはじけた。
ふくらはぎのまん中に走る、鋭い伝線が。
鮮やかな縦じまとなって、紺のスカートの奥にまで、入り込んでいく。
あぁ・・・
かすかなため息を、ふすまの向こうとこちら、はからずも夫婦で同時に吐いていた。
仕方ない方ですね。
菜緒子は相手の男を、たしなめながら。
足許をなぞるように掌を添えて、つぶさに点検するように裂け目に見入っている。
どうぞ、もっと破って頂戴。
どきりとするほど、はっきりとした声色だった。

あ・・・あ・・・あ・・・
エスカレートはさらに、エスカレートを呼んで。
点けられた火の回りは、びっくりするほど速かった。
菜緒子はわたしに覗かれているのを、どこまで気づいているのだろうか?
あなた・・・あなた・・・
うわ言のように、口走りながら。
わたし、悪い女になっちゃうかも。
受け容れられると確信している謝罪を、口にし始めている。
いいんだよ。許してあげる。綺麗に堕ちて御覧。
わたしもまた、そんなうわ言を。
口許に迷わせ始めていた。

みるかげもなく噛み破られたストッキングは、部屋の隅っこに脱ぎ捨てられていた。
素足をばたばたさせながら。
花柄のブラウスは、荒らされた花園のように、乱れ切って、そこかしこ、素肌を露出させていて。
もう、着衣としての用をなしていなかった。
着くずれをした装いは。むしろ素っ裸よりもエロティックに映る。
どこにでもいるはずの、三十代の専業主婦。
それがいまは、妖艶な娼婦に早変わりをしている。
こうなるって、だいたいの察しはついていたでしょ?
宿のあるじは、人の悪そうな笑みを絶やさなかったけれど。
まんまと罠に堕ちたはずのわたしは、
淫らに堕ちた女体から、熱っぽい視線をはずすことができないでいる。

ああ・・・ああ・・ああ・・・っ
着けたままでいる、スカートが。却ってふしだらなものに映っていた。
あのスカートの奥に、どれほど多量の精液を、そそぎ込まれてしまっただろう?
たとえ奥さんの血を吸われた、哀れな寡夫であるとしても。
恩恵を施してやりたい。
そんな甘い優越感は、さらに甘美な被征服感に、すり替えられていたけれど。
いかにも初歩的な、田舎臭い詐術に嵌まったことさえもが、小気味よいほど愉しくて。
わたしはただの男にかえって、理不尽な凌辱を愉しんでしまっていた。
そう、妻が耽っているのとおなじくらい、熱っぽく。
はらませてやるよ。奥さん。
そんな男の言い草にさえ、激しく頷いてしまっている妻。
じたばた乱れるあの白い脚を。
ふしだらなあえぎをつづける、鎖骨の浮いたあの華奢な肩先を。
なによりも、はだけたブラウスから露骨なまでにはみ出した、乳首の起ったおっぱいを。
どんなふうに、お仕置きしてやったものだろうか?
だんなさん、いやらしいこと考えてるね?
宿のあるじの言い草に。
あたり前じゃないですか。
意外なくらいさっぱりと、笑うことのできるわたしになっていた。

まだ着れるわね、このブラウス。
奈緒子はぞんざいに、花柄のブラウスを身にまとう。
えり首にかすかに滲んだ赤黒いシミは。
あの晩の記憶を、なまなましいほどに彷彿とさせたけれど。
事情を知らないものにはきっと、目に留まることさえないのだろう。
お腹の辺りを、盗み見ながら。
もしかしてほんとうに、宿してしまったのでは?
いけない邪推に密かな悦びを、おぼえていた。
脚にまとった黒のストッキングは、鮮やかな伝線を広げていたけれど。
彼のために脚に通したのは、これでなん足めになるのだろう?
さっき草むらに連れ込まれて。破かれちゃったのよ。
もうじきバスの時間だっていうのに、履き替える時間もないわよね。
菜緒子は表向き、口をとがらせていたけれど。
裂けたストッキングを、帰宅するまで脱がないという約束を、きっと交わしたに違いない。
そう。亭主とはべつの男のものになったことを、世間に見せびらかすために。
こんどこの村に来るときには、ガーターストッキング穿いて来なくちゃね。
あなた、いいやつ買って下さるわよね?
高いやつじゃないと、ご馳走するのに失礼だわ。
それにパンストだったら、穿いたまま姦ることができないし。
あなた・・・ほんとうは、ストッキングを穿いたまま犯されるところを覗きたかったんでしょう?
妻の挑発は、いつものようにストレートだった。
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