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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

正体

2006年04月21日(Fri) 06:05:44

身の丈ほどもある大ビルに襲われて、
若い女はひと声、きゃあっ!と悲鳴を洩らしたけれど。
すぐに目を伏せ押し黙ってしまって。
そのまま仰のけたうなじに、細く鋭利な吸血管を刺し込まれてしまっている。
ぎゅうっ・・・
無慈悲にナマナマしい音を洩らしながら。
半透明の吸血管は、抜き取られてゆく赤黒い液体に満ちている。
体じゅうについている吸盤を、体液を唾液のようにてらてらと光らせながら、
若い女の身体じゅうにぬめりつきながら、吸盤を吸いつてゆく。
うら若い潔癖な素肌に不潔な体液をしみ込まされて。
厭うようにけだるげに、しばしはかぶりを振っていたけれど。
やがて身をゆだねきるようにうっとりとして。
女は体の力を抜いていた。
貼りつけられた吸盤の下、肌色のストッキングがぶちぶちと裂けてゆく。

恍惚として目を瞑った女の顔から、みるみる血の気が失われてゆくと。
傍らで様子を窺っていた年配の和装の婦人はたまりかねたように
大ビルの上におおいかぶさるようにして、そいつの体を娘から引き離し、
まるで身代わりになるように、
無慈悲な吸血管を訪問着の胸許に自ら突き立てていった。
アアッ・・・
抑えかねた叫びを切なげに散らして。
年配の女もまた、半透明な吸血管を己の血で赤黒く染めてゆく。
壁に抑えつけられて吸血されながら。
和装の女はこちらを向いて。
つぎはあなたの番よ。
そんなふうにほほ笑んでいた。

姉さん、かんにんね。
弟に背中を押されるようにして。
前に二、三歩踏み出すと。
そいつは避けるすべも与えずに、やおらおおいかぶさってくる。
苦もなく押し倒された床が、ごつごつと背中に痛かった。
そうこうしているうちに、大ビルの執拗な吸着に、抗うすべを奪われてしまっている。
物慣れたように機械的に、あの鋭利な吸血管がうなじに迫ってきた。
ずぶり・・・
力ずくに突き刺されていた。
皮膚を破った尖った異物は、滲むようにくい込んできて。
ぎゅうっ・・・
体内をめぐる血液を、強引に抜き取ってゆく。

あまりの強欲さに軽い眩暈を起こしながら。
取りすがる二対の掌が、むしろ抗いを抑えようとしているのを感じていた。
ねばねばとした吸盤だらけの巨体は、すがりつくように執着してくる。
直感した。
正体は、あのひとだ。
わたしを抑えるふたりにとって、兄であり息子であるひと。
飢えた大ビルに押しやった弟の、親友であるひと。
機械的なまでに無慈悲な吸血に、濃密な想いを込めて。
男はわたしの血を吸いあげてゆく。
いいのよ。もっとお吸いなさい。
あなたが人に戻れるまで、私処女のままで待っているから・・・
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