FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

時間を超えて。  ~三十年前の新居~

2010年05月28日(Fri) 06:51:10

久しぶりにありついた、若い女の生き血―――
喉の渇きを満たしてしまうと、男は人知れず、つぶやいている。
若い女は、蒼いものだな・・・
華奢すぎるほど細い肩を、抱きすくめながら。
男はなおも女の首筋に唇をあてがい、吸い、また吸った。
女は求められるたび、けだるげにかぶりを振りながら。
どうぞ・・・えぇどうぞ・・・どうかご遠慮なく。
まるでうわ言みたいに、呟きつづけている。

お気の済むように。えぇ、どうかお気づかいなく。
バラ色の頬が、土気色になるほど吸い取られながら。
女はなおも、忌むべき褥を去ろうとしない。
ブラウスは持ち主の血でしとどに濡れそぼり、
たくし上げられたスカートの裏地は、銀色の精液に輝いて、
黒のストッキングはところどころにつけられた裂け目から、蒼白い素肌を滲ませている。

こんな老人の相手をさせて、迷惑だろうね?
男の言い草に、女はゆるくかぶりを振っている。
いまの主人とは、お見合いなんです。親の決めた相手なんです。
でもわたくし―――
父くらいの年輩の男性が、ほんとうはよろしいのです。
わたくしが初めて女の歓びに目ざめた相手は・・・ほかならぬ父なのですから。
―――うぅ・・・
かすかに口許から洩らした呻きを、夢中になっている女は果たして、耳にとめただろうか?

時を超えて。
男が戻ってきたのは、三十年まえの我が家―――
あそこのタンスも、ここのソファーも。
旧式のテレビに、レコード・プレイヤーつきのステレオ。
記憶のかなたにあった過去の調度はなにもかも古ぼけていて、懐かしい。
無我夢中で襲った獲物は、ほかならぬかつての新妻だった。

ブラウスに血を撥ねかせながら。
けれども女は、決然と言い放ったものだった。
いらしてください。ひと晩じゅう。
主人は海外出張つづきで、どうせ戻ってこないんですもの。

それ以来。
男はこの家に棲みついて。
三十年まえの自分自身の新居を、己の手で侵しつづけていた。
うら若い肌をツヤツヤと輝かせた若い主婦は。
己の若さを惜しげもなく、見ず知らずの老紳士のまえさらけ出していって。
両の掌で頭を抱えて、ほどいた長い髪を、振り乱して。
ああっ、主人のより大きいわ~っ。もっとお○んこしてぇ。
新婚当時の妻が決して口にしなかったはずの、あられもないことさえ。
あたりのようすも憚らずに、あらわに口にするのだった。
はらませてやるよ。若奥さん。
男が女の耳元に囁くと。
―――そうしてちょうだい。
女は顔色ひとつ変えずに、男の頬にキスを重ねる。
―――逢ってあげる。主人が出張から戻って来ても。
女のささやきに、男はどきりとする。
まるで胸元にあてがわれたナイフのように、鋭い囁きだった。

三十年前。
出張を終えて久しぶりに戻った新居。
妻はかいがいしく出迎えてくれて、シャワーのあとのお酒と手料理は、心に残るほど美味だった。
明日、ちょっとした会合があるの。泊まりになるけど、行ってもいいかしら・・・?
こちらを窺うように、切り出した妻。
―――ああ、行っておいで。お前にもたまには、愉しみが必要だろうから。
あのときなんで、そんなことを口走ったのだろう?
いまの自分には、いかにもこうつごうな、若い夫の反応。
未来のことを、記憶にしていた。
そうとしか思えない、反応だった。
そう。
妻の留守中の新居のなか、ひざ小僧を抱えながら。
俺はあのとき、べつの男に抱かれる妻を妄想して、独り昂ぶっていたのだから。

ああ、強く抱いて。もっと・・・つよく・・・っ。
長いまつ毛を震わせて。
女はなおも、すり寄ってくる。
夫を裏切っているはずの女はなぜか。
さいごにイク瞬間、つぶやいていた。
あ・・・な・・・た。
前の記事
洗脳。
次の記事
堕ちた女教師 ~狙われた女学校~

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/2097-11493914