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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

浮気なフィアンセ

2006年04月21日(Fri) 07:02:56

あちらへいそいそ。
こちらへいそいそ。
一見手当たり次第のようでいて。
彼女の選ぶ男はだれひとり、
その行為ゆえに未来の夫を莫迦にするようなことはしなかった。

情事の果てに戻ってくるのは、決まって婚約者の腕のなか。
あなた、こうすると愉しいのよ。
こんなふうにすると、もっとキモチよくなれるのよ。
女嫌いだった男をそんなふうにしつけてしまっていて。
浮気相手から教わってきた性技のすべてを、身を寄り添わせながら教え込んでゆくのだった。
重たい鎧を脱ぎ捨てるように
いつもの堅苦しいほどの謹厳さをふり捨てて。
ベッドのうえ男は苦笑しながら、相手の女に主導権をゆだねている。
浮気とか。不倫とか。
そういう不埒なことをなによりも受けつけられなかった男。
女づきあいになじめずに、30近くまで童貞でいた男。
かたくなに閉ざされた扉をこじ開けるようにして。
女は男の懐に器用に入り込んできて。
男自身をも閉じ込めていた殻を、いともむぞうさにつき崩してしまっていた。

素晴らしい奥さんになるだろうね。
男として羨ましいよ。
できれば結婚してからも、奥さんを開発させてもらえまいか。
彼女にもっとも好意を寄せる重役は、礼儀を尽くして。
それでも男らしく、面と向かってそう申し入れた。
  おつきあいは、ご自由に。
  そういう妻のプライベートには立ち入らないことにしていますから。
昇進と引き換えにすることをきらった男に、重役はよけい好意を持ったようだった。
謹厳な面持ちのまえにさらす言葉ではないと遠慮したものの。
籍を入れたあとは中に出すことはするまい・・・などと。
部下の女を抱くくらいなんとも思わないはずの彼さえも、
三歩さがりたい気分になっていた。

春に受け取った辞令は、融通のきかない彼にとってまたとないほどの配置。
いいのかな。不当な優遇を受けるのは、かえってプライドが傷つくな。
そう独りごちる彼に、蛭田は言った。
相性だろうよ、なにごとも。
ボクにそれをやれといわれたら、間違いだらけで目も当てられないさ。
たしかにな・・・
軽く苦笑を浮かべる頬に、落ち着いた安堵があった。
妻になる女を、蛭田にだけはおおっぴらに抱かせている。
あいてが魔物じゃ、しょうがないしな。
そういいながら。
女の肌に牙をうずめて、いそいそと栄養補給している親友のようすを、
まるで昆虫の生態でも観察するような目つきをして
面白そうに見つめている。
見せものじゃないんだぜ?
困惑する蛭田をからかうように。
もっと吸いなよ。須美子のやつ、今夜のために下着をぜんぶ新調したんだぜ?
扉を開きかけたとはいえ。
誰にも見せないほどの悪戯な笑みさえ浮かべて。
今夜のブラを、見せてやりなよ。
それとも、ガーターのほうがこいつ悦ぶのかな?
そんなふうにフィアンセをけしかけたりしてしまっている。

きれいだなあ・・・
ロングスカートからさらけ出された脚線美を目のまえに。
蛭田は切なそうに、ため息をした。
落ちる夕陽を眺めても。
野辺に咲く名もない花を目にしても。
おなじようにうっとりと目線を迷わせる。
哀しげな翳さえよぎらせて。
そういうやつだから、許せるんだろうな。
笹山は同僚の肩を抱くように引き寄せると。
あとはよろしくな。
そう言い置いて。
二人になりたがっていた須美子の下心を見透かすように、片頬で笑んでみせる。
マタ教エテアゲルワネ・・・
はじけ合う二人の目線を羨ましそうに眺めながら。
蛭田は自身が昂ぶりはじめるのを抑えかねていた。


あとがき
久しぶりのoffice編です。
蛭田と同期の笹山はぶきっちょで潔癖な男。
初登場は、去年の12月27日でした。
かたくなな性格ゆえに周囲からも認められず、女とも縁遠かったのですが。
処女を奪わないことを条件に婚約者の血を吸うことを認めてしまってから、運命が変わります。
とうとう我慢できなくなって初めて抱いた須美子さんは目ざめてしまい、
嫁入り前の体をあちらこちらでさらけ出すようになってしまいます。
処女を得たことで満足したためなのか。
男女の悦びを知ることで、もっと深いものにも目覚めてしまったせいなのか。
そんな彼女の振る舞いを寛大に許すようになった彼。
彼女とは、与えられた役職以上に相性がよかったようです。
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