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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

迫られて。 ~納屋で乱れる都会妻~

2010年06月21日(Mon) 08:03:12

この村の事務所に赴任してから、仕事らしい仕事がない。
当然定時には退社できるし、私用で抜け出してもかまわない。
無断欠勤が常習犯の同僚もいたけれど、だれも咎めだてするものもいない。
そのくせ、給料だけは、やたらと高い。
手当も出るし、基本給そのものが良いのだった。
そんなふうにきくと、なんとパラダイスであることか、サラリーマンのあこがれの世界であることかと、謗りや羨みを受けそうであるけれど。
実際わたしの境遇に立って、謗ったり羨んだりすることが、世の男性のどれだけに可能なのだろうか?

前の会社でリストラにあって。
困り抜いた末に、見つけた会社。
どういうきっかけで、どういう募集条件で。
ここの社員になったのか、いまでは記憶も定かではない。
ただ、採用面接に妻同伴であることと、その妻にまで正装してくることが条件だったのは、かなりの違和感を伴ったせいか、いまでもよく憶えている。
そう。
うちの会社は妻目当てに、わたしのことを採用したのだった。

だんなさん、悪いね。
きょうもスミ子さん借りるよ。
気の好さそうなその中年男は、いかにも田舎の人間らしいあからさまに野卑な嗤いを浮かべながら。
そのくせ決まり悪そうに頭を掻き掻き、わたしに会釈をするのだった。
出勤途中の田舎道。
もしもわたしが女だったら。
たちどころに道はずれの草むらや雑木林に連れ込まれて。
こぎれいに装うように義務づけららたスーツやワンピース、女学生なら制服を。
泥だらけにされるはずの道だった。

だんなさん、悪いね。
仕事場ちょっと抜けてこれるかな。
職場にまであからさまに電話をかけてくるというのに。
上司も同僚も、知らん顔を決め込んでいて。
ちょっと出てきます。
わたしのひと言に、だれもが無言で応諾の会釈を返してくる。
ただのひとりの例外もなく。
わたしと似たり寄ったりの体験を、日常のこととして密かな愉しみさえ見出している連中だったから。

足を向けたのは、村の中心に位置する公民館。
村では指折りの、鉄筋コンクリート製の大きな建物で、もちろん管理もしっかりしているはず。
ちょうどなん人かの着飾った女性たちが、なかに入っていくところだった。
だれもが顔見知りの、同僚の妻や娘たち。
そのなかに、わたしの妻の姿もあった。
色とりどりの訪問着のスーツやワンピース。
髪の毛もきちんとセットして、だれもがパンプスやハイヒールに、ストッキングまで着用している。
結婚式、とはいわないまでも。
ちょっとしたお呼ばれや公的な会合に出席するといったふぜいだった。

おっとっと。
奥さんだけは、あっちじゃないんだ。
わたしの背後をすり抜けざま、男の呟きが耳に残った。
ぶつかり合った肩に、わたしは虚を突かれて大きくよろけていた。
失礼。
男は謝罪のつもりか自分の頭を叩きながら、妻の名を呼んで振り向かせる。
スミ子さん、ならまだ許せる。
ただぞんざいに、スミ子・・・と。呼び捨てだった。
妻は公民館の扉を開けてまさに中に入ろうとするところだった。
呼ばれた声にこちらを振り返り、たしかにわたしの姿も映ったはずなのに。
丁寧に会釈を返していったのは、男のほうへだった。

さ、こっちさ行くぞ。
花柄のワンピース姿の妻は、男に肩をつかまれて。
強引に引き寄せられるようにして、公民館の入り口から連れ戻された。
男が妻を伴ったのは。
そのすぐ隣にある、古びた木造の平屋建て。
もとは村の公民館として使われていたその建物は。
安っぽく塗られた塗装は剥げかかって、気のせいかちょっと傾いてみえた。
内部は暗く、人のいる気配はない。
けれども男は手にした鍵を、鍵穴にむぞうさに突っ込んで。
さ、入れ。
妻に対して、命令口調だった。

あちらに行ったら、まずいのよ。
あとで男は、囁いたものだった。
なにせ、乱交パーティなんだもの。
精力を持て余した若い男衆が、数人がかりで。
おなじ数だけ都会の女さ集めて。
服着せたまま、姦(や)りまくって。
全員の相手をするまで、帰してもらえないんだからな。
だんなさんが、お望みならば。
いずれ・・・経験させてやるけれど。

古びた建物の、裏庭は。
だれもがまわりこめるように、なっていて。
雨上がりの露に濡れた丈の長い雑草が、無秩序に生い茂っていた。
スラックスの裾を、濡らしながら。
ようやくたどり着いた、窓のきわ。
花柄のワンピース姿は、背後から。
男の影に羽交い絞めになっている。

うなじに這わされた、淫靡な唇は。
ねっとりとした唾液をあやしたまま、白い素肌に吸いついていて。
ぬるりぬるりと、味わうように。
三十路なかばの女の肌を、侵しつづけていたのだった。

ただの愛撫ではない。
しつように圧しつけられすり寄らされた唇は。
女の生き血に、濡れている。
そう。
この村の住人には、人間の生き血を嗜む風習があったのだ。
郷里をこの村に持つ、勤め先の創立者は。
都会の女たちの血をあてがうために、事務所を作って。
吸われたい妻。
吸われるところを視たい夫。
そういう組み合わせの夫婦を、それと察して。
高給と楽な仕事をあてがって、転任させていくのだった。
白いうなじをしたたる血潮は。
花柄のワンピースの肩先を。
鮮やかなバラ色に、変えてゆく。

狭い畳部屋のなか。
妻はとっくに、姿勢を崩している。
失血のため。そういう口実のもとに。
キスはだめ。
口ではそういいながら。
独身女性なら、恋人同士。
既婚女性なら、浮気相手。
そういう密な相手とのみ愉しむような濃厚なキッスを、人目もはばからず交わし合っていた。
狂おしく、身を震わせながら。

いい女になってきたな。
ワンピースのうえから、なぞるように。
腰のくびれを、なぞっていく手。
けだるげに身を起しかけた妻は、その手をさえぎろうとしていない。
もっといい女になれ・・・よ。
男は唇を、重ねながら。
呼吸に窮してしかめ面をする女の肩を、なれなれしいほど抱き寄せて。
淫猥なことばの、数々を。
毒液のように、吹きこんでいった。

男が妻に向って、露骨に性交を要求している。
やらせろ・・・よ。って。
すぐにでも立ち入って、妻の身を護らなければならない立場のはずが。
そういう夫の役割を忘れさせるほど。
先刻の吸血の風景が。
わたしの脳裏に鮮やかに、刻み込まれていた。
むしろ男の求愛が、妻を堕落させようとする手管の数々が。
くすぐったいほどの愉悦になって。
心のなかで、男の味方に立っていた。

きょうはやめて。
みじかく言い捨てた妻を、男はそれ以上追及しようとしなかった。
男が欲しくなったら、いつでも声かけな。
後ろ姿に投げられた、ぞんざいな声に。
なぜか、ちいさい頷きを返す妻。
窓の外から、夫のわたしも頷いていた。

奥さんのこと、借りるぜ。
きょうこそスミ子のあるじになるんだ。
男がわたしの手を取って、ズボンのうえから触れさせた股間は。
びっくりするほど勁(つよ)く、硬く逆立っていた。
これが妻の体内を、冒すのか。
そういえば彼は、はじめて妻のうなじを噛むまえに。
己の歯の鋭さを、わたしの首筋で試していった。
あのとき受けた、傷痕が。
いまでも不思議な疼きを、皮膚の奥にまでしみ込まされている。

手こずらせやがって。
男ははぁはぁと、肩で息を吐いていた。
村はずれの、納屋のなか。
外は大雨だった。
ざあざあとシャワーのように降り注ぐ雨に。
わたしは着衣をずぶ濡れにしたまま。
納屋の外から覗きこんだ小窓のまえ。
ぼう然と、佇んでいた。
妻が貞操を喪う瞬間を。
こうして手出しもせずに見守りつづけていた己を、
半ばは訝しく。
半ばは愉悦をもって。
思い返していたのだった。

藁のなかに、まろばされて。
装ってきた純白のスーツを、藁まみれにさせながら。
妻はさいごまで、抗いつづけていた。
だめっ!だめッ!いけない・・・ッ!!
迫ってくる逞しい胸を、細い腕で隔てようとして。
強引に押し広げられようとする両脚を、ばたつかせながらそうはさせまいとして。
なんども平手打ちを、食いながら。
セットした髪を、くしゃくしゃに乱されながら。
引きちぎられたネックレス。
剥ぎ取られたジャケット。
抜け落ちて藁のなかに埋もれていった、腕時計。
洗練された都会ふうの装身具を、巻き散らしながら。
この三十路なかばの人妻は、娼婦に堕ちていった。

兇暴にばたつかせていた脚が、しずかになったとき。
透きとおる光沢を帯びたストッキングはむざんに剥ぎ堕とされて。
ひざ丈あたりまで、ずり落ちていて。
片方だけ脱げたパンプスが、傍らに転がっていて。
つま先の切り替えが足指のマニキュアを隠していて。
犯された主婦がまだかろうじて、
女の気品をあらわすあの薄々の靴下を、まだ着用しているのだという見分けをつけていた。

どろどろとした粘液に濡れた太ももの白さが、むざんなほどにあからさまで。
振り乱された黒髪に見え隠れするうなじの白さとおなじくらい、
納屋のなかを支配する薄闇に、鮮やかに浮き上がっている。
こ、え、だ、す、み、こ。
脱ぎ捨てられた、ジャケットの胸に。
自分の苗字と妻の名前とを組み合わせた名前を、男はマジックで書き込んでいく。
これ着て帰れ。
表情を消した女は、手渡されたジャケットを受け取って。
素直に腕を、通していく。
記念にもらっていくからな。
力の抜けた脚から、裂けたストッキングを抜き取って。
男はまだ息も荒く、藁のうえから起き上がった。
女はわらの上、三つ指を突いて。
深々とお辞儀をして、男に忠誠を誓うのを。
わたしはどうして、ドキドキしながら見守っているのだろう?

ご馳走さん。
無造作に差し出された掌には。
先刻妻の脚から抜き取ったストッキングが、ぶら下げられている。
視ていただろ?
奥さんの穿いてきたてかてか光るストッキングに、ガマンならなくなって。
とうとう姦(や)っちまったんだ。
時々破かせてくれると、嬉しいんだがね。
臆面もない男の言い草に。
わたしは深々と、頷いている。
凌辱のあと、ちいさな頷きをかえした妻を、追認するような気分のままに。

マジックで名前の書いたあのジャケット着たまま、帰ってきたんだぞ。
オレに視られて、ちょっと羞ずかしそうにしていたけどな。
亭主を裏切った、罰として。
今週いっぱいあのジャケットで、出かけるようにって、言ってやったんだ。
こえだすみこって、いい名前だな。
おめでとう。
わたしはいともやすやすと、相槌を打ってしまっていて。
男は悪戯を見つかった悪童みたいに、照れくさそうに笑いながら。
嬉しそうにわたしの肩を、叩くのだった。

三年後。
わたしたち夫婦が、ふたたび都会に戻ってきたとき。
子供を授かっていた。
妊婦や小さな子をもつ母親は、襲わない。
そういうしきたりになっていたから。
ふつう奥さんをモノにされて、公認までしてしまうと。
夫婦のセックスが却って忌まれることさえあるというのに。
スミ子という人妻を共有していたわたしたちは。
女のなかに宿った子が、どちらの種であるのかさえわからなくなっていた。
あのひとの子だと、愉しいのにね。
妻はコケティッシュに、笑いこけている。
しばらくのこととはいえ。
スミ子を独占できる権利を得た夫は、毎晩のように夫婦の営みを、愉しんでいる。
妻は以前よりもずっと濃く、わたしを愛するようになっていたし、
もとは淡泊だったわたしのほうも、なぜか濃い責めを愉しむようになっていた。
あいつとは、どんなだったんだ?
藁のうえの浮気、感じちまったんだろう?
そのたびに。
妻は激しい疼きに耐えかねて。
エビのように身体をくねらせ反らしながら。
囁くのだった。
また、村に行こうね。
わたしが凌辱されるところ、視てくださるわよね。
愉しんでいただけるのですね。
こんどは・・・鉄筋コンクリートの公民館にも、お邪魔してみたいわ・・・


あとがき
寝取られて。よりを戻して。間男との過去に嫉妬しながら、妻を抱く夫。
ナイショの囁きをくださったあるかたからいただいたヒントです。
ヒントそのものでは、ないのですが。(^^ゞ
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by -
2010-06-30 水 22:16:32
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初カキコ、ありがとうございます。
初めてのお越し、歓迎です。
寝取られ小説とひと言でいっても、いろんなタイプのものがあるらしくって。
たぶんわたしの描くようなものは・・・異端に属するのだと思います。
あまり参考にならないかも、ですよ。 笑
拙いお話に背徳の色香を感じてくださって、ありがとうございます。

壊す、よりも。
変えるほうが、面白いのかもしれません。個人的には。
血の色を変えられた女は、いままでと違う性愛を嗜むことで、
いままでの淑女とはべつの顔をもつことになるのでしょう。

誤字のご指摘も、ありがとうございました。
そのためにわざわざ、非公開のコメにしてくださったのですね。
お心遣い、ありがとうございます。

許された時間が非常に限られているために、じつはほとんど全作品を下書きなしで、入力画面にそのまま打ち込んでいるのです。
思いついて、キーを叩いて、アップするまで、よほど長いものでもマックス一時間くらいで仕上げます。
なかにはつじつまの合わないような、いびつな作品もあるかもしれません。
ただご容赦を請うのみでございます。
むしろ、誤字が気になるほどに拙作に没頭していただけたことを、心より感謝申し上げます。

本作を読み返して、目に余る誤字を退治しました。
せっかくのアドバイス活かせるように、気を引き締め直して努力してまいります。
どうかこれからも、よろしくおつきあいをお願いします。
by 柏木
URL
2010-07-01 木 00:17:22
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