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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

長女の独白

2010年07月05日(Mon) 06:48:39

その子はいつも、私が黒のストッキングを履いて行くと。
真っ先に進み出て、私をベンチに座らせて。
だれよりも先に、脚を噛んできた。
未来の夫を含めた、だれより先に。

さいしょのうちは、怖くって。
べそをかいたときも、あったけど。
みんな、順番なのよ。
いつも付き添ってくれる母に、諭されるまま。
未来の夫が、苦笑交じりに見守るなか。
私はその子に、黒のストッキングを破らせていった。

血を吸われると。
頭がぼうっ・・・となって。
ストッキングに走る裂け目が、みるみる広がって帯みたいになってゆくのを。
いつか、面白そうに見つめるほどになっていた。
おおぜいの唇を、吸いつけられて。
ひざ小僧がまる出しになるほどに、露出してしまった脛を。
夜風がよそよそしく、通りすぎた。

さいしょは、黒のストッキングが目当てなのだと、思い込んでいた。
母のストッキングに欲情しているときも、よくあったから。
それに。その子は未来の夫のお友だち。
悪いお友だちだけど・・・ふたりはひどく仲が良かったから。
けれどもそのうちに、その子がはっきり私を意識しているのだと。
胸もとに吸いつく唇が。
血を吸い上げる勢いが。
言葉よりもあからさまに、伝えてきた。

ストッキングを脱がされるようになって。
あの子が持ち帰る私のストッキングが、一ダースにもなったころ。
お嫁入り、するんだよ。今夜―――
あすは卒業式という晩に。
未来の夫に、囁かれたとき。
とうぜん彼が、相手をしてくれるのだと思い込んでいた。
草むらに、寝かされて。
彼が私の両肩を軽く抑えたとき。
すべてを察した。
頭上でニヤニヤ笑いを浮かべていたのは、ほかならぬその子だったから。

たちのよくない、ニヤニヤ笑い。
その裏に、決まり悪さを不器っちょに押し隠しているのだと、すぐに察しがついていた。
だってあの子―――
私や彼よりも、五つも年下だったから。
私は余裕たっぷりに、お姉さんのほほ笑みで応えると。
ちょっっぴりだけ、制服のスカートをたくし上げて見せた。
その晩履いて行ったのは、いつものようなパンストじゃなくて。
太もも丈のストッキング。
履いたままできるでしょ?
母はさすがに、経験豊かだった。
すぐ傍らの、草むらのざわつきは。
母が自ら、身を淪(しず)めた処―――。
私も母のまねをするんだ。
大人になるとき。
私は彼を安心させようと、大きく深呼吸して見せた。


あとがき
前作のつづきです。
前の記事
新婦の父。
次の記事
今夜は娘たちを、連れてきましたよ。 ~真夜中の公園~

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