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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

新婦の父。

2010年07月05日(Mon) 07:33:10

注意:やや同性嗜好が入っています。

台所の隅っこで。
長女の光江が、べそを掻いて。
妻の房代が、慰めている。
なにがあったのかは、おおよそ察しがついていた。
次女のまどかは、知らん顔をして、まだ食卓についている。
ましてわたしが、間に入るのは。
たとえ父娘の間柄でも、いかにも気まずい雰囲気だった。
制服姿の長女の足許は。
目いっぱい引き伸ばして履いた白の靴下に、紅いまだらもようを残していた。

今夜から、光江を連れていきますね。
わたくし一人では、とても身体がもちませんから・・・
妻がそう言って、起ちあがると。
背後の廊下で、制服姿の娘が身づくろいをする気配が伝わってきた。
本人がそれでいいのなら・・・
曖昧に言葉を濁し、なにも知らぬ顔をして送り出す。
情けない父親。そう言われかねない対応なのに。
この街ではどういうわけか、理解ある寛大なご主人という評価にすり替わってゆく。

街に棲みついた吸血鬼のうち。
若い男の吸血鬼ばかりがたむろする、夕暮れ刻の公園。
妻が長女を連れだしたのは、そんなスポット。
しばらく経って妻に付き添われて戻ってきた娘は。
台所の隅で、べそを掻いていた。
目いっぱい引き伸ばした、白の靴下を真っ赤に染めて。
小声で何かを囁きつづけるその母親の足許も。
黒のストッキングに鮮やかな伝線を走らせていた。

まどかは、中学にあがったら、連れて行きます。
相手をするのは人妻だけでじゅうぶん。そういう不文律だったのに。
妻がどういうわけか、娘たちを引っ張り出すのは。
深夜にたむろする狼たちのなかに。
長女の許婚者の姿があったから。
あのひとを飢えさせちゃいけない。
そういう想いと。
あのひとはなん人、他所のお宅の娘さんを手篭めにしていることか。
そういう想いと。
どちらの想いが、まさったのだろう?
下の娘まで、巻き込むことはなかったのに。
お姉ちゃんといっしょがいい。
母の誘いを受けたまどかは、きっぱりとそう言いきったという。

済ませてきました。
妻も長女も、うつむいていた。
その儀式が草むらのなかで行なわれたことは。
妻のワンピースや娘の制服の、あちこちに。
草の切れ端が、まとわりついていたから。
ひざ周りや袖など、手の及ぶところだけはさすがに、取りのけていたけれど。
転げまわってきたことは、あちこちに付着した泥が、物語っていた。
相手は・・・コウジロウくんではないのだね?
震える声での問いに、強い確信を込めていた。
そのあいだ、コウジロウさんのお相手は、わたくしがつとめさせていただきました。
娘の不始末を、おわびしなければなりませんからね。

ホテルを借り切った披露宴は、盛大だった。
どうしても借り切る必要があったのは。
身内のもの以外には見せたくないほどの、盛り上がりかただったから。
新郎の母親も、妹も。
黒留袖と振袖姿のまま、ホールのじゅうたんのまん中に、寝かされて。
つぎつぎと、祝い客の歓待に応じていたし。
新婦の母親は。
肌色のストッキングを好んだ男の子たちの希望を受けて、きょうも洋服姿で相手をしている。
パパ、コウジロウさんがごあいさつだって。
息を弾ませて歩み寄ってきた次女の足許は。
いつもの白いハイソックスを、太ももから伝い落ちる血で紅く染めていた。
花婿さんに、姦られちゃったぁ。
あっけらかんとした照れ笑いに、ほろ苦く応えながら。
ついてきたコウジロウくんの神妙なあいさつを丁重に受けていた。

妻を犯し、長女を娶り、そのうえ次女の純潔までも汚した男。
けれどもわたしのなかに、なぜか怒りや嫉妬はなかった。
家族の女たちを通して、かれはわたしにもっとも近いところにいる男―――
紳士用で、すまないね。
しきたりどおりかがみ込んできた彼のまえ。
たくし上げたスラックスからむき出しにした脛は。
薄いストッキング地の長靴下に染まっている。
お父さん、これ履いてってくださる?
ぬらりとした光沢の浮いた、その靴下を妻に差し出されて。
気味悪げに受取ったわたしのことを。
妻は強いまなざしで見あげていた。
そろそろころあいですよ。良い加減いっしょになりましょう。
ひっそりとした囁きに、頷いて。
初めて脚に通した、薄い生地のハイソックス。
案外肌触りがいいんだね。
お似合いよ。
妻の揶揄が、なぜか快く胸を衝いた。

吸いつけられた唇に。
薄い靴下はなよなよとよじれて、しわくちゃになってゆく。
妻のストッキングも。娘たちのそれも。
こんなふうにされていったのか・・・
刺し込まれた牙が、玉子の黄身を突っつくように。
じわっと生温かいしずくを吸い取って行くのを。
わたしはじいっと、見つめている。
もっと早くに、してもらうんだったね。
わたしは努めて平静を装いながら。
これからも妻や娘を犯すであろう男のまえ、
もう片方の脚も、差し伸べていく。
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