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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻の代役。

2010年07月20日(Tue) 05:50:09

献血当番に行ってまいります。
妻の口からこのことばを聞くようになって、どれほどになるだろう?
この土地に移り住んでまだ、いくらもたたないというのに。
わたしたち夫婦は、異形の風習をしみ込まされていた。
村はずれに棲むある特定の人々の嗜好に、女家族の血を与えるという。

きょうも、献血当番なの。
華奢な身体つきの妻は、蒼い頬に薄っすらとした笑みをたたえながら。
きょうも、黒のストッキングを脚に通してゆく。
このごろすぐに、お当番なのよね。。。
はからずも洩らした、ため息交じりの呟きに。
ある疑念がふつふつと、わいてきた。
そういえばこのごろは、妻が出かける頻度が増えている。
週にいちどの約束だったのに。
このごろは、三日にあげず出かけていくではないか。

コツコツとノックをした、その古びた住宅は。
都会ふうに洗練された妻の装いには、およそ不似合いなほどみすぼらしい。
この一軒家に棲む、わたしよりも年上の独身男が。
妻の肌に唇を這わせるなど。
それこそもってのほかの想像だったのだが。
男は道で逢うたび、ひどくおどおどとしていて。
卑屈なまでに、謝罪交じりの会釈を投げてくるのだった。
きょうの献血当番は、うちだったね。
どうしてもぶっきらぼうになってしまう声色をさえ、男は黙々と受け容れてくる。
半ば軽蔑に似たものが、わたしの鼻先をよぎっていった。

妻の具合が、わるくてね。
今回の餌は、わたしなのだよ。
男の血など、好みではないだろうが・・・我慢してもらうよりなさそうだね。
皮肉を交えて響く、うつろな声に。
男はそれでも表情を消して、頷いてくる。
脚から咬むんだって?
忌まわしい想像に、語尾がふるえた。

妻はいつも、気に入りの黒のストッキングを脚に通していった。
帰宅するときには必ずといっていいほど、裂けたストッキングをそのまま履いていた。
ときには、ノーストッキングのときさえあった。
なにをされたのか。
どれほどされたのか。
その想像が、異様な昂りを招くのを。
わたしはわたし自身に、禁じることができなくなっている。

直接素肌に唇をあてるのは失礼だから・・・って、そう仰るのよ。
妻は確かにそういったけれど。
でも・・・女もののストッキングもお好きなのかも。
つけ加えられた呟きが、わたしの想像をさらに刺激していた。
引きあげたスラックスの下。わたしの脛を染めているのは、
紳士用とはいえ、ストッキング地の薄さのナイロンだった。
すこしだけ、あんたの好みに合わせてみたよ。
さりげない態度に、男は感じ入ったように、いつもにも増して慇懃な会釈を投げてきた。

すみませんね・・・
男はちょっと、たまりかねたように呟くと。
それでもすうっ・・・と、わたしの足許ににじり寄ってきて。
深々と腰かけたソファに、のしかかってくる重みが加わった。
チクッと刺されるような疼痛に、わたしは軽いうめきを洩らしている。
かすかな傷みよりも。
這わされた唇が薄いナイロンごしに伝えてくる熱情が。
わたしに、われを忘れさせていた。

ごく、ごく、ごく、ごく・・・
咬む気配。啜る音。
すべてが欲情に、満ちている。
ひざ下をゆるやかに締めつける、薄いナイロンの束縛は。
甘えるようなひと咬みごとに、ほころびを滲ませていって。
ぱりぱりぱり・・・ッ
他愛なく咬み破られ、ずり落ちてゆく。
妻も、こんなふうにされているのか・・・
えもいわれぬゾクッとした快感が、身体の芯を通り抜けた。

男の唇にたぎるのは、あきらかな劣情。
そしてわたしはその劣情が妻にのしかかるのを、受け容れようとしている―――
ちゅううううっ。
咬むものと咬ませるものとの、共同行為。
わたしはぼうっとなった頭をゆるく振りながら、
会社に欠勤の連絡を入れている。
酔い心地に似た快感を、居心地良く感じながら。

献血当番を決めているのはね。
ほかならぬ、奥さんご自身なのですよ。
男のいうことを、わたしは信じる気になっている。
あまり頻繁だと、生命にかかわらないかね?
わたしの懸念を、かれもが共有していることを。
受けとめた顔つきと声色が肯定していた。
いい方法があるのですよ。
奥さんの生命も別状なく、なおかつわたしも満足できる方法が。
ここでなにが起こるのか、あなたが一切問わないのなら。
わたしはひと言、呟きかえしている。
問わないよ・・・

献血当番なんですの。
妻はきょうも、羞じらいを含みながら。
わたしにそっと、囁いていく。
足許を染めるのは、妻のお気に入りの黒ストッキング。
このごろ薄さに比例したなまめかしさを、いっそうきわだたせているようだ。
ひきつれひとつない、真新しいストッキングの足許を盗み見るようにして。
安物だと、うちが恥をかくからね。
まぁ。
冷やかしだと受取った妻は、わたしの頬をかるく抓る。

妻が出かけたあと。
わたしがいつも、会社に欠勤の連絡を入れて。
妻よりひと足遅れて、おなじ場所を目ざすのを。
彼女はどこまで、気づいているのだろう?
いまは吸血鬼の情婦となった、わたしの令夫人は。
古びた畳のうえ、きょうもすらりとした脚を伸べていって。
あのなまめかしい黒ストッキングの脚に、飢えた唇を吸いつけられて。
白い脛を淑やかに染める薄いナイロンを、しわくちゃにされていって。
ひざ下まで破れ堕ちたストッキングを、脚に残したまま。
割りこまれた股の奥。
あの狂おしい吶喊に、いままでわたしだけのため淑やかに秘めてきた操を
劣情のぬかるみに、ためらいもなく浸していくのだろうか。

かれにいちどだけ許した、ふくらはぎには。
まだ、妖しい疼きが宿されている―――


あとがき
もう少し濃く描きたかったのは。
男同士の吸血で、夫が性的昂奮に目ざめるところ。
譲り渡された妻の、情夫と夫とのあいだで心揺らすところ。
まだまだですね。
次回に期待をしましょう。^^
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妻の嫁入り。
次の記事
授業中の吸血風景。

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