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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

千人の兵隊

2006年01月25日(Wed) 08:30:42

千人の兵隊からなる軍勢に捕らえられた姫君。
その場で犯され、すべての兵の性欲を満足させなければならない運命を負わされた。
いちどきに数十人も相手をさせられては、すぐに断たれてしまうであろう命。
しかし、戦場で若い女は貴重品だった。

姫君を真っ先に犯した大将は、姫君を生かしてやることにした。
死ぬより過酷な運命を強いたともいえた。
朝、昼、夜におのおの十人の兵たちが、姫君を犯すことを許された。
一日に三十人。ひと月で九百人。
誰もに順番が行き渡るように、隊の順、階級の順に、犯す順番までが決められていた。

やがてひと月がたち、ふた月がたった。
やがて兵たちは、飽きたりなくなってきた。
なにしろ月にいちどしか、エモノにありつけないからだ。
少なすぎる供給が、却って不満をくすぶらせていた。
大将はほかの女をなん人も、独り占めにしていた。
皆、どこかの村からさらってきた女どもだった。
それでも姫君の美しさに目をとめて、
自分だけはこっそりと毎晩、姫君の褥を襲っていた。
そんな大将の振る舞いは兵たちに知れ、不満はますますつのっていった。

兵たちはとうとう、反乱を起こした。
大将は殺され、兵たちは収拾もつかないほど暴れつづけ、しまいに同士討ちをはじめていた。
同士討ちのさなか、生き残れたのはたったのひとり。
彼の刀は腰の鞘に納まったままだった。
生きていくためにやむなく加わった軍勢で、無用の争いを好まなかったのか。
意気地がなくて周りの連中と刃を交える気持ちになれなかったのか。
そんなさいごの一人のまえに、女の影が立った。

「ぜんぶ、あなたの筋書きなんだね?」
男は勇気はなかったにしても、愚かではなかった。
女たちは逃がされ、男どもは滅んだ。
そういうことなのだろう?
おれを殺せば、あんたの怨みは晴れるんだな。さぁ早く殺れよ。
もうこんな乱れた世の中で生きていく気はしなくなったんだ。
そういって瞑目した顔を、姫君の白い手がすうっと撫でた。

私を抱くときに、心からいたわってくれたのはあなただけ。
だから、あなただけには私を本当に許してあげた。
そう。
ほかの男どもは皆、私を抱いたような気分になっただけ・・・
さぁ、私といっしょにいらっしゃい。
このような穢れた世を捨てて。
とことわに二人、幻の世界で生きましょう。

ふたりが消え去ったあとに残ったのは、限りなくつづく焦土。
このお話を幻と笑うことはやさしいけれど。
果たして幻とは何?
現世(うつしよ)で諍いを繰り返すものどもも、所詮は幻に踊らされているだけなのだから。
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