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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

招かれたパーティ

2010年08月02日(Mon) 07:46:56

よりどりみどりの日。
そんなふうによばれるその日は。
月にいちどの、お愉しみ会。
人間の生き血を吸う習慣のある家のひとたちが。
人間の女たちを、思い思いに選んでいって。
ところかまわず、かぶりつく。
女のひとたちは、そうされると知りながら。
思い思いに、おめかししてきて。
よそ行きの服を、自分の血で汚されてゆく。

きょうのパーティーに招ばれたのが初めてだという、博美ちゃんのエスコートを。
博美ちゃんのママに頼まれて。
ボクはずうっと、彼女のそばにいた。
扉が開かれ、吸血鬼の人たちが入って来ると。
それまで和やかだったパーティの雰囲気は、一変する。
迷い込むようにして闖入してきた吸血鬼どもは。
人間の女たちのなかに、入り込んでくると。
品定めをするように、見比べていって。
目を付けた女のひとの、二の腕を。
恐る恐るのように、つかんでいって。
リクエストされた女のひとは、観念したように。
その女性のエスコート役も、苦笑いを浮かべながら。
相手のもとめに、応じてゆく。

父や兄や夫、それに恋人たちは。
娘や妹や妻たちが、われを喪い、乱れていくのを。
あるものは苦笑しながら盗み見をして、
あるものは連れの女性の肩や脚を抑えて、相手の男の手助けさえしていくのだった。

その場で繰り広げられる、吸血の宴に。
隣のおばさんも。
はす向かいのめぐみちゃんも。
高校にあがったばかりの従姉の清美さんも。
ネックレスに縁取られた首すじや、
タイトなブラウスに引き締まった腰周りや、
薄々のストッキングに装われた足首や、
制服のスカートとハイソックスのすき間からのぞく、ふくらはぎに。
いやらしい唇を、すりつけられていった。

パパといっしょにやって来ていたママも。
部屋のいちばん向こう側で。
見なれたワンピースにバラ色の血を撥ねかせながら。
はしゃいだ笑い声を、たてていて。
後ろから両肩を抑えるパパの手に、くすぐったそうに肩をすくめて。
肌色のストッキングの脚をばたつかせて、はしゃいでいた。

博美ちゃんのまえに現われた彼は。
ボクと同世代の男の子。
扉をくぐり抜けるなり、つかつかと。
わき目もふらず、ボクたちのまえで立ち止まった。
先週の週末、ボクの家にやってきて。
ボクの首筋を咬んだやつだった。
あのときのこと・・・博美ちゃんの血が欲しかったからなんだね?
ちょっぴり非難をこめた、ボクの言葉に。
彼はくすぐったそうに、肩をすくめて。
キミの血も欲しかったんだ。って。
言い訳のように、言っていた。

脚を咬みたい。
性急な声が、上ずっている。
新調したばかりの青のワンピースの下、
真新しい白のハイソックスが、すらりとしたふくらはぎに眩しかった。
博美ちゃんは、ふくれたようにそっぽを向くと。
ハイソックスのうえから、咬むんだよね?
相手の意思を、確認すると。
ママから教わっていたのだろうか、意外に思い切りよくその場の席に腰かけて。
真っ白なハイソックスのふくらはぎを、差し伸べる。
ごめんよ。
彼の呟きは、まんざら申し訳だけではなかったようだ。

すりつけられた唇の下。
脚の輪郭をなぞるようにカーブを描いた太めのリブが。
不自然なねじれに、歪んでいって。
ぁ・・・
かすかに洩れた声の下。
バラ色のシミが、みるみるうちに広がっていった。
喉の奥から響いてくる、ごくごくと血を飲み込むワイルドな音が。
なぜかひどく淫靡に、耳の奥を浸していった。

それからのことだった。
彼と、博美ちゃんと、そしてボクを交えた交際が始まったのは。
月にいちどのお愉しみパーティーは、
気の合う仲間を択ぶためのもの。
べつの相手を受け容れるか、このひとでいいと受け容れるかは、
人間の女の子に決定権がある。
博美ちゃんは、彼がいいと言っていた。
彼女を連れてお愉しみパーティに出席したのは。それがさいしょでさいごだった。
おおぜいの男を相手にするのが厭なのだろうって、そのときは思っていたけれど。
じつは彼の吸いかたに惹かれてしまったのだろうって。
いまでは感じている。

居合わせたリビングで。
さいしょに血を求められるのは、ボクのほう。
半ズボンにハイソックスという格好は。
彼好みのスタイルで。
男ものだと、ちょっとねぇ。
勝手なことを、いいながら。
その実ハイソックスを横切るラインを案外と嬉しそうに汚していくのは。
靴下ごしに感じる舌なめずりが、いやにしつようなことで察することができるのだった。

失血にぼうっとなった、ボクのまえ。
男どうしで、愉しそうね。
博美ちゃんは、冷やかすような口ぶりで。
空色のワンピースの下、白のハイソックスのふくらはぎで、
男を誘っていく。
きょうのハイソックスはリブの細いタイプ。
そのうちに。いつも学校に履いて行く黒のストッキング咬ませてあげようか?
あどけない声に不似合いな言い草に。
ゾクッとしたのはたぶん、彼だけではなかったはず。

そろそろ博美ちゃん、帰って来るわよ。
博美ちゃんのお母さんは、自分の口に、一本指を立てて、
しいっ。
イタズラッぽく、笑いかけた。
ボクはカーテンの裏側に隠れていって。
これからリビングで繰り広げられる密会を、
わくわくしながら、のぞき見をする。
博美ちゃんのきょうの服は、真っ白なブラウスに青系のチェック柄のプリーツスカート。
ひざ小僧がちらちらするスカートのすその下は。
ストッキングのように薄い、白のハイソックス。

約束どおり、咬ませてあげる。
ナイショで逢った、彼のまえ。
無表情で応対する博美ちゃんは、ボクへの後ろめたさをのぞかせる。
そうじゃなくって。
彼はいつもよりちょっとだけ慣れ慣れしく、
博美ちゃんの肩に、手を置いた。
わかったわ。
首すじを咬まれて、ブラウスを汚されるのを嫌ったらしい。
彼女は事務的に、ハイソックスのふくらはぎを差し伸べて。
どうぞ。
そしてもう一言、とってつけたように。
ハイソックスの脚、咬んでちょうだい。
取り繕った声の語尾が、かすかに震えを帯びていた。

ちゅうっ―――
ひそかに洩れる吸血の音。
ストッキングのように薄い生地のうえ、チリチリと走る伝線。
ほろ苦くほほ笑む博美ちゃんは。
ユウくん、ごめんねって、呟いている。
部屋の隅っこで、カーテンを揺らしながら、
ボクはなぜか、ゾクゾクトした昂りに、ぼうっとなってしまっていた。

ごめんね、ユウくん。
博美ちゃんのお母さんは、ちょっぴり照れ笑いを浮かべながら。
それでもボクの”勇気”をたたえてくれているのが、なんとなくわかった。
博美はしんそこ、あなたのことが好きなのよ。
もしも博美が、あなたを誘うことがあったら。
ついて行ってあげてくれる?
博美の初体験、あなたも視る資格があるはずだから。
えっ。
どきりとする言葉を飲み込むほど、博美ちゃんのお母さんの目つきは、しんけんだった。

千鳥格子のスカートの下。
珍しく肌色のストッキングを穿いてきた博美ちゃんは。
ついてきて。
行き先も告げずに、ボクの掌を握り締める。
無理に、観なくてもいいから・・・
なにをいいたいのか、そのころのボクには、なんとなくしかわからなかった。
ボクは彼女の手をぎゅっと握り返して。
行こう・・・って、彼女の手を引いていた。

未来の花嫁が処女をなくすというときに。
手を引っ張って案内してくれたのあなただけみたい。
あれからなん年も経ったあと。
若妻となった博美は、少女のようにくすくす笑う。
えっ?もちろん観たりなんかしなかった。
そんな勇気、とてもなかったから。
けれどもそのあと、部屋から出てきた二人が、笑い合うんだ。
ダメッ!ユウくんにしゃべったらっ。

家を出るときお行儀よく着けられていた千鳥格子のスカートは、
ところどころに、ねばねばとしたシミを光らせていて。
ちょっとだけめくれあがってさえいて、
彼女はそれを、つくろおうともしないでいて、
覗いた太ももには、ばら色のしずくが。
履き替えてきた白のハイソックスにまで、伝い落ちていた。
彼女の脚から抜き取った、肌色のストッキングを。
彼は自慢そうに、見せびらかして。
いま博美が履いているハイソックスは、きみの分。だいじにとっておくんだよ。
念押しするように、ボクの顔を覗き込んだ。

少女が大人の女になるとき。
未来の花婿になる青年は。
少女の馴染みの吸血鬼のところに、未来の花嫁を伴なって。
生き血を吸わせ、初体験の機会を譲ってやる。
そうすることではじめて、彼も一人前の大人として扱われる。
そんな不合理なならわしに。
いつかボクは納得してしまっている。
だって、結婚してからも、彼と博美とは仲が良くて。
ボクの留守ちゅうには、夫婦どうぜんに仲良くするようになるのだから。
そうした関係に、ボクがゾクゾクとした昂りを感じることができるのは。
初めて招ばれたパーティの席で。
着飾った博美ちゃんが、新調のワンピース姿を淫らな風習に浸したときからだったのだろう。


あとがき
パーティの席で着飾った少女たちが怪人に襲われる・・・みたいな動画を見ましてね。
それに触発されて描いたんですが。
いまいち、消化不良ですねぇ。。。(^^ゞ
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