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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

芙美姉さん

2006年01月27日(Fri) 07:48:16

色白で。小太りで。
伏し目がちの目とキリッと結んだ薄い唇が控えめな意志の強さを漂わせている。
あんまり美しくなかったけれど、どこか頼りになるしっかりとしたひと。
親戚の芙美姉さんとは、親同士に引き合わされた。
「ヨシオくん、血を吸うんだって?うちの芙美をよろしくね」
芙美姉さんのお母さんはボクに優しく笑いかけながら、
イタズラっぽい目つきをしてボクたちを値踏みするように見比べていた。
はにかむような、戸惑うような。
そんな目でボクを見つめる、年上のひと。
母親譲りの薄い唇をきゅっと結んだまま、
芙美姉さんはちょっと固くなってボクにぎこちない挨拶をかえしてくる。
彼女の本当の気持ちをはかるには、中学生にもならないボクはあまりにも幼な過ぎた。

お母さんのほうが美人だな。 そんなふうに感じたのは。
ふたりの目鼻を対照的に蔽っていたゆとりにみちた和やかさと。
未知の体験に心ふるわせていた、潔癖な乙女心とのへだたりのせいだったのだろうか。
肌色のストッキングに包まれたすらりとした脚の隣りに、
鮮やかにまっ白なハイソックスを履いたふくらはぎがお行儀よく、
なにかを待ち受けるかのようにきちんとそろえられていた。
思わず遠慮なく、「太いなあ」と思ってしまった。
「さぁ、いいから血を吸ってごらん」
周囲にそうすすめられるままに、つけていった唇。
頭のうえで息を詰めて見守る視線を感じながら、
唇にはしっかりとした厚手の靴下の舌触りがくすぐったかった。

ちゅ、ちゅ~っ。
吸い出す血潮の味がとても喉にしっくりと沁みこんだのが、忘れられない。
  まるで見せ物みたいだ・・・
見つめるいくつもの目にそんなふうに閉口しながら。
ボクは芙美姉さんの血をとても美味しく吸い上げていた。
流れ込む年上の少女の血潮が帯びる鮮烈な芳香に、
そんな目線などいつか忘れて、
親戚の娘の生き血を吸い取る行為に、熱中してしまっている。
「ときどき呼んでね。いまくらいだったらご馳走してあげるから・・・ねぇ芙美」
そういうお母さんの言い草にためらうようにしながらも、芙美姉さんはしっかりと頷いてくれている。
帰りぎわ、玄関先で革靴をつっかける、白いハイソックスの脚。
すこしだけずり落ちて、撥ねかったばら色の飛沫はまだちらちらと濡れた輝きを放っていた。

学校帰りに行きあった芙美姉さん。
濃紺のセーラー服の下には、黒のストッキング。
透けて浮かび上がる白い脛が、とても大人びてみえた。
「ねぇ、血を吸ってもいい?」
そういって通せんぼするボクをみて。
しょうがないわね・・・
ちょっとだけ眉をひそめながら。
「じゃあ、少しだけ・・・ね」
芙美姉さんはそういって、自分のほうから傍らの公園に脚を向けていた。
ひざ下まで垂れ下がる濃紺のプリーツスカートのすそをかき分けながら。
お目あての薄黒いストッキングの脚をまさぐるボク。
とってもしんなりとした手触りが心地よく、
ボクはとてもむぞうさに、くちゅっと唇を吸いつける。
なよなよとした薄手のナイロンのなまめかしさに夢中になるボクのまえ、
姉さんはアッと息を呑んで、ストッキングのなかのふくらはぎをキュッと引きつらせていた。

にゅるっ・・・にゅるっ・・・にゅるる・・・
脛の周りをずれてゆき、いびつによじれてゆく薄い靴下。
わざとたっぷりにふくませたよだれをなすりつけながら、
恥ずかしそうに、困ったように目をそむけている姉さんのようすを、チラチラと盗み見る。
ストッキングの表面にはよだれのあとが、ナメクジの這った痕みたいに薄白く光っていた。
イタズラざかりのボクは、
注がれてくる悔しそうな目線にかえってゾクゾク胸を震わせながら、
かりり。
硬くこわばらせた姉さんのふくらはぎを、思いきりつよく噛んでいた。

涙の痕のようにつつーと上下に延びてゆく、白い伝線の筋。
ウフフ・・・
女の子の衣裳にする悪戯は、悪戯心と破壊欲を思い切り満足させてくれる。
わけのわからない下腹部の昂ぶりをガマンできなくなって、
ボクはつい夢中になって、芙美姉さんを草むらに押し倒していた。
そう、いままでになく熱っぽく、息を弾ませながら。
「ねぇ、私のこと、好き?」
姉さんはめずらしくすがるような目をして、のしかかってゆくボクに訊いた。
わかんない・・・
正直、そんな気分だった。
  好き、ってゆうか。面白いな。
姉さんは諦めたように目を瞑り、
とても悲しそうな顔をして、太ももを開いていった。

いまはしっとりと落ち着いた人妻。
姓をボクの苗字にかえた芙美姉さんは、
ボクの吸血鬼仲間さえも、優しいお母さんのように笑みながら迎え入れている。
もうじき中学校にあがる母親似の娘は、
白いハイソックスに包まれたふくらはぎを健康にはち切れんばかりにしながら、
まだお転婆に、家のなかを走り回っている。
週末には親戚が、吸血癖をもった男の子を連れて、家に遊びにくる。
そのときもあの娘は、ハイソックスの脚で庭じゅうかけ回って、
無邪気にはしゃぎながら鬼ごっこを楽しむのだろうか。


あとがき
親戚のなかにまれに生れる吸血児に、年頃の娘をあてがうしきたりをもった一族のなかの挿話です。
幼な過ぎる悪戯盛りの少年にとって、女の子をいじめるのはとても愉しい遊びだったりします。
早くに大人になる女の子のほうは、その裏に秘められた淫らなものを敏感に感じ取るのですが、
悪戯をしかけてゆく当の男の子には、そういう微妙な心の揺れは、まだわかっていなかったりします。
組み敷いて牙を迫らせた年上の女の子に自分自身がどんなことをしようとしているのかをよく自覚しないまま、
せめてあのとき、ひと言「好きだ」といってもらいたかった彼女の気持ちなどまったく斟酌なしに、
白い太ももの奥を侵していったのでしょうか。

妻になり母になった彼女は、年月をかけて優しく穏やかに復讐を遂げます。
自分によく似た娘を育て、その娘を、そして自分自身をも、
いまは夫であり父である彼のまえから連れ去るのです。
しかしどうやらそんな仕返しも空回りになるのか、男は彼女の胸の裡を知らぬまま、
それを親戚うちのしきたりとしてごくとうぜんのように受け入れてしまっているようですが。
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