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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

墓場の同居人 ~初対面の嫁~

2010年09月23日(Thu) 05:09:01

わたしの棲む墓場にも、秋風が漂うようになった。
山の中の風は、九月といえどもうそ寒く、そして透きとおっている。
ひやひやと頬を撫でる風のむこうから、男は戻ってきた。
いつものようにうっそりと、背中をかがめて。

口許についたばら色のしずくの主を聞きたくて。
女房か?
わたしの問いに、男はゆっくりとかぶりを振った。
じゃあ・・・娘か?
目のまえの男は、吸血鬼。
かつてわたしの血を、身体が空っぽになるまで吸い尽くして。
そのうえで、いまでは夜な夜な家長を喪った家に出入りをして、
妻や娘の生き血を順ぐりに味わっている。
じゃあ・・・?
わたしは恐る恐る、問いを重ねた。
嫁だ。
うっそりとした口調が、得意げに。
かすかに上ずっている。

あんたの息子は、できた男だな。
比べられていることが。
誇りなのか。屈辱なのか。
嫁の服で、女装をするのだよ。
なんとか嫁のことを、かばおうとしたんだろ。
けれども嫁のほうで、気がついて。
わが身をさらしてくれたのだよ。
ほら。

指差された傍らに。
いつの間にか佇んでいたのは、ひと組みの男女。
父さん、しばらく。
息子の口辺に浮かぶ笑みは、意外なほどおだやかだった。
引き合わせるのは初めてだよね?
紹介するよ。先月結婚したななみさん―――
初めてまじまじと見つめた白い顔は・・・
そう、妻とうりふたつだった。
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