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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

寄り目になるとき。

2010年09月24日(Fri) 06:04:15

ぐちゃっ。
男が昭太の首すじに、食いついたとき。
いやらしくて露骨な音がした。
昭太はわたしよりも、若い。
男ははるかに年上の、ごま塩頭。
きゅううううぅ・・・
ごま塩頭は、這わせた唇に、思いきり力を込めて。
昭太の血を、半ば事務的に抜き取った。

寄り目になって、目を白黒させて。さいごに白目になってしまうと。
ごま塩頭は、昭太の首筋から、唇を離して。
男どうしじゃ、興も湧かねぇ。
手の甲でいいかげんに、口許を拭いながら。
そんな言い草を吐き捨てた。
う、うーん・・・
若い犠牲者はけだるそうに、身を横たえて。
何かを取り戻そうとするかのように、伸ばした手が虚空をまさぐった。

昭太はまるで探検隊のように、うす茶色のハーフパンツの下、真っ白なハイソックスを履いている。
ふん、足許だけは女みたいだの。
ごま塩頭はまんざらでもないように言葉を和らげると、
ひざ下までキリッと引き伸ばされたハイソックスのうえから、むぞうさに唇を吸いつけた。
縦に整然と流れるリブがぐにゃりとねじ曲げられるほど、強い吸いかただった。
吸いつけられた唇の下、眩しいほど真新しいナイロン生地のうえ、赤黒いシミがみるみる広がった。

あんた。女房と、娘と。お袋さんがいるんだな?
畳みかけるように、問いを重ねてくるごま塩頭に。
昭太は素直な少年のように、頷いている。
血を吸っただけで、なんでもわかっちまうんだ。
お袋さんは還暦まえの後家で、女房は生娘のまま嫁に来た。娘は中学にあがったばかり。そうだな?
わしに血を吸われちまった女どもはの。
身持ちの良し悪しまで、ばれちまうのさ。
わかったらあんたにも、とっくり聞かせてやろうほどにの。
昭太はなにも応えずに、放心したようになっていて。
ずり落ちかけたハイソックスのうえから、噛まれたふくらはぎを、
ただ表情を無くして、しきりに撫でまわしている。

ひとりずつ、招ぶんだぞ。
齢の順がええな。
いや、まずは嫁ごからいただくのがすじというもんだな。
嫁姑の仲がよくないのだろ?仲良くできるよう、嫁に仕切らせてやろうや。
ごま塩頭は昭太の肩にいたわるように手を置いて、その肩を小突くようにして起ちあがった。
男が立ち去るのを見送ることもせず、昭太は取り出した携帯を耳に当てている。
頭に押し付けるようにして隠れた携帯のディスプレーには、
奥さんの名前が表示されているのだろう。

昭太はわたしの、年下の友人。
都会からやって来て、先にわたしの越してきたこの村に居を構えたのがつい先月のことだった。
奥さん、呼ばんのかえ?お袋さんともども、遊びにくればええ。
親切ごかしにかけられた、そんな誘いの裏に。
若い女の血を、一滴でも多く獲たいという。
村じゅうの願いがあると知ったのは、つい十五分まえのことだった。
強引に抜き取られた昭太の血液は。
いまごろごま塩頭の男の胃の腑を、ゆったりと和らげているのだろうか。
節子もみどりも、母さんも。おなじようにしてもらわないとね。
呟く昭太の表情は、どこまでも無表情。
このあと彼や家族がどうなるのかは。
わたしは体験として、知ってしまっている。

いまごろハーレムみたいになっている、わたしの自宅。
二階の勉強部屋では、都会の学校の制服を着て。
一階のリビングでは、妻がよそ行きのスーツ姿で。
離れのお茶室では、母が黒の礼服姿のまま。
真っ白なハイソックスや、てかてか光る肌色のストッキング、それに礼装用の黒のパンストを。
情夫の精液に浸しているはずだった。

いいのかい?あんな約束しちまって。
からかうような、わたしの問いに。
けだるそうな笑みが、かえってきた。
あんたもおんなじふうに、しちゃったんだよね?いま愉しいかい?
まあ・・・ね。
交わし合う含み笑いが、いつか共犯者の匂いを強めてゆく。
週末の村はずれの納屋は、きっとにぎやかに盛り上がることだろう。
わたしが村に来た一ヶ月後の歓迎会のときのように。


あとがき
ちょいとダークなテイスト でしょうか? ^^;
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墓場の同居人 ~真夜中の帰宅。~
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