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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻の亡霊

2010年11月14日(Sun) 09:24:13

夜な夜なあらわれるのは、妻の亡霊。
生きているときそのままに美しく、ひつぎの中にいれてやった気に入りのスーツ姿で現れて。
わたしの首すじに唇を吸いつけ、血を吸ってゆく。
一週間まえ、血液を吸い尽くされたなきがらになって発見された妻。
蒼ざめた頬には、あのときとおなじほほ笑みが刻まれていた。

妻の血を吸ったのは、わたしの幼馴染み。
ずっと彼女のことを想っていたという彼は、知らず知らずわたしたちの寝室に忍び込むようになっていて。
そのうち妻は、わたしに内緒で男と逢うようになっていた。
すべてを打ち明けてくれたのは、亡霊になってからのことだった。
浮気じゃなかったのよ。ただ、血を吸わせてあげただけ。
ひめやかなゆとりを含んだ声色は、それもきっと真実なのだろうとわたしに思い込ませてしまう。

けれどもきっと、浮気だったのだろう。
血を吸われるときのこの快感は、なににも替えがたいほどで。
ウットリとした淫らな陶酔が、わたしの理性を痺れさせる。
妻の死後、タンスの引き出しから見つかったのは。
大量の伝線したストッキング、それになん着もの血のしみ込んだブラウス。
吸血という行為は、襲われる側までもが愉しむことができるのだと。
いまにして、思い知る。
妻の身体から、うら若い血を一滴あまさず吸い取ったあいつの唇が、ひどく妬ましくなる。

あなた、吸血鬼になったら。
妹さんを襲って差し上げたら?
身内の血は、舌になじむものなのよ。
わたしは・・・まゆみの血を吸ってきますから。
娘の勉強部屋に消えた妻。
闇に閉ざされた部屋からは、くすぐったそうな若い娘の含み笑い。
わたしが血をあげた、あのひとに。
こんど、お義母さまを襲わせて差し上げたいわ。
すこしでも、お若いうちに。
あの厳しいかたが悶える姿。貴方だって、御覧になりたいでしょう?
妻の囁きが狂おしく、血に渇きはじめた理性を溶かしてゆく―――
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おー、やっちょる。やっちょる。^^

コメント

はじめまして

今回の話では柏木さんには珍しく、女性が吸血鬼化するというシチュエーションですね。
いつも楽しく拝見しておりますが、今回はどストライクでしたのでコメントさせていただきます!

また、勝手なお願いではありますが、またこういった話を書いていただけると嬉しいです。
by ghosx
URL
2010-11-14 日 20:18:50
編集
>ghosxさま
いらっしゃいませ&はじめまして。
何度もお越しいただいているとのこと、ありがとうございます。

このお話はきょう、発作的に思い浮かんだのですが。
「いつもと様子がちがうなぁ」と思いながら描きあげたのです。
たまに毛色の違うやつを描くと、描いている本人にも刺激になることがありますが、
こうしておたよりまで頂戴できると、芸域の拡大も折に触れてやらなきゃな、って思います。
これからもお気軽に、遊びに来て下さいね。^^

追伸:
ご指摘のとおり、女性が吸血鬼化するお話は少ないのですが、
三年ほど前に、こんなのを描きました。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1015.html
「父の恋人」
よろしければどうぞ。^^
by 柏木
URL
2010-11-14 日 21:07:47
編集

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