FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

どうして、そんなに速く走れるの!?

2010年11月16日(Tue) 07:39:23

どうして、そんなに、速く走れるの!?
翔太はおもわず、訊いていた。
吸血鬼の腕のなか、叫ぶような声で。

ここは夜の校庭。
昼間だったら、運動部に入っている翔太にすれば、ホームグラウンドだった。
手前を遮るライバルたちを巧みにかわし、ゴールを狙う名選手といわれたのに。
男はいままでグラウンドで出会っただれよりも、速く巧みに彼のことを追い詰めていったのだ。
息せき切った、肩先に。
男は呼吸ひとつ乱さずに、応えている。

きみの走りは、テクニックだね。
でも私のは、本能なのだよ―――
今晩、だれかの血を吸わないと・・・灰になっちまうところだったのでね。
すまないが、ちょっとのあいだだけ、静かにしていてくれないか。
すぐに、すませてしまうから―――

男が肩先に唇を這わせ、血を吸い取っていくのを、
翔太はどうすることもできず、目を瞑って耐えた。
負けたよ、もう。きみの好きにしな・・・というように。
潔いのだね。
男が感心したように、ふたたび翔太に話しかけたとき。
少年はまだ、正気だった。

ぜんぶ吸い取るわけじゃ、ないみたいだね。
すこし、落ち着いた声になっていた。
そんなにたくさんは、要らないのだよ。
もう、気が済んだ?そろそろ行くぜ。
わざと突き離すようにいうと、男はゆっくりとかぶりを振る。
もうちょっとだけ、付き合ってくれないか。
しょうがないなぁ・・・
いっしょに走ったあとのふしぎな連帯感が、翔太を無抵抗にしていた。
男は自分のふくらはぎを狙っている。
本能的にそう感じると。
ずり落ちかけたブルーのストッキングを、くるぶしまでずり降ろす。

あぁ、ちょっと・・・悪いけど。
男は言いにくそうに、口ごもる。
どうしたの?
応える代わり、男はそろそろと手をやって。
少年の穿いているブルーのストッキングをぴっちりとひざ下まで引き伸ばす。
そのまま有無を言わせず、分厚いリブタイプのナイロン生地のうえから、少年の脚に噛みついた。
否応なく、ずるずると音をたてて血を啜られながら。
少年は所在なげに、地面から引き抜いた雑草を、息を吹きかけて飛ばしていった。

なんとなく、だけど。
いやらしい・・・なぁ・・・
濃い紫に染まったストッキングを、けだるそうに脱ぎ捨てると。
少年はたちがあって、傍らのベンチに腰かける。
悪かったね。
いいんだよ。
不平そうに口をとがらせながらも、
なおも足許に唇を擦りつけてくる男を、拒もうとはしなかった。

はい、お小遣い。
封筒に入ったお札を手渡されたときだけ、ちょっと嫌な顔をする。
潔癖な子だな。
男は内心、そうおもいながら、受取ってくれ、と、返されそうになった封筒をおし戻す。
ストッキング、一足いくらするんだい?
そうだね。二千円くらいかな。
翔太は思い切り、ふっかけてみた。
じゅうぶん足りるよ。
男の言い草どおり、一万円札が二枚、入っている。
こんなに、悪いから。
ふだん手にしたことのない金額に、戸惑っているようだった。

このなかに、くれた血のお礼は入っていないから。
売血なんて、嫌だろう?
あくまできみの血は、好意でもらったものだと思っているからね。
そう。
少年はまだ、お金をもらうということにこだわっているようだったが。
ああ、でも待てよ・・・
思いなおしたように、顔をあげると、
十回までは、小父さんに逢っても死なないってことだよね?
すこし明るい声になっていた。
足りなくなったら、言うがいい。
わかったよ。たまに、よそのチームのやつも履いてきてやるから。
もの分かりよく、応じながら。
翔太はなおも、呟いている。
でも小父さん、やっぱりなんだかいやらしいね。
引き締まった筋肉を覆うストッキングごし、ゆっくりぬめる唇が。
しなやかに流れる縦じまのリブを、グネグネと歪めていった。
前の記事
交流試合
次の記事
めぐりめぐって

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/2242-2635efe9