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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

好きだった・・・

2010年12月09日(Thu) 06:54:44

アキヨちゃんだね?
モトオさんですね?
予備交わした声が、意外に近かった。
ここを遣う俺たちのため。
学校はこうしゃのいちばんかた隅のお茶室を、
真夜中だけ開けておいてくれていた。
真っ暗な狭い部屋のなか。
それぞれ反対側の入り口から、
手探りどうぜんに部屋に入ってきたところ。

ふるくからの、しきたりどおり。
燐寸を擦って、ロ-ソクに火をともす。
灯りの向こうのアキヨは、転校してくる前に通っていた、都会の学校の制服姿。
よほど決心してきたのだろう。
彼女の意思がずんと重たく、伝わってきた。
エンジ色のスカーフが、胸元でかすかにふるえている。
すぐになさいますよね?
いつになく丁寧なことばつきの彼女に、俺は黙ってうなずいた。

仰向けになったアキヨは、いちどつぶった人身を、もういちど見開いて。
思い切ったように、言葉を投げつけてきた。
好きだったんです。ほんとうは。
あなたに当たって、よかったと思います。
そうしてもういちど、目を閉じた。

彼女の好意は、なんとなくだけれども感じていた。
しぐさや言葉遣い、趣味までが。
すべてが都会ふうの雰囲気をまとった彼女は、なんとなく近寄りがたかったのに。
俺はちょっとだけ、値踏みをするような目になって。
同級生のなかでは大きめなおっぱいに、初めて気がついていた。
軽く二の腕に触れて、俺は彼女の額にキスをする。
ありがと。
微かに開いた唇から洩れる、ささやきが。
恐怖以外のもので、震えていた。

すまん。汚しちゃったな。
都会の制服、だいじにしてたんだろ?
胸元に撥ねたバラ色のシミに、アキヨはううん、ってかぶりを振った。
ふっ切れた。
ふと口にした本音に、あははと笑い声さえたてていた。
もう少し、いいかい?
返事を待たずに這わせようとした、ハイソックスのふくらはぎを、
彼女はちょっぴりすくませて。
それでも気丈に、いいですよ、って言ってくれた。
こっちはいっぱい、汚してね。
いっぱい愛されちゃったって、ママに自慢するんだから。
高く澄んだ彼女の声は、もう曇ってはいなかった。

佳代子ちゃんに、花代ちゃん、それから優子さん。従姉の奈津代さんも逢ってくれるんだ。
多いわね。
彼女はちょっぴり、嫉妬の色をよぎらせて。
でも好きだって言ってくれたのは、きみだけだな。
俺の言い草に、少しは満足してくれたようだった。
都会から来たのに、いちはやくこの土地になじんでくれて。
古い制服を脱ごうとする彼女。
俺はもういちど、幸せそうな少女のおでこに、熱いキスを刻印していった。
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