FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

女装の村

2010年12月10日(Fri) 07:05:13

女の服に、魅せられて。
隠れて身に着け、愉しむようになって。
家族の目を盗んで、出かけるまでになっていって。
行き先はいつも、無人の山奥。
ひとの目がないとばかり思い込んでいた、その場所で。
ひとりの老爺と、知り合った。

きみ、女装をしているの?
いつの間にか、逃げられないほどに。
すぐ傍らに、近づいていて。
出し抜けにかけられた声に、ぎくりとしたけれど。
わかるわかる。女装の愉しみは、いちど覚えるとやめられないからね。
こちらの警戒心を、解くほどに。
老爺は気さくな声色だった。

知り合いの娘さんに、大柄な子がいてね。
その子の制服なら、あげられるかもしれないよ。
こんどはいつごろ、来るのかね?
二度ほど、行き違いはしたものの。
首尾よく再会を果たしたとき。
丁寧に畳まれたセーラー服を、老爺はほら、と、むぞうさに手渡して。
その場で着替えを、手伝ってくれた。

しゃなりしゃなりと歩く、セーラー服姿。
老爺は目を細め、似合うの。似合うの。って、しきりに頷いて。
山ひとつ向こうに、村がある。
そこならひと目を気にせずに、そのまま通りをあるけるぞ。
なんどかためらいは、したものの。
言われるままに、ついていって。
道行く人の、なん人かは。
都会から来た同好の女装者たち。
すれ違った地元の人も。
おや、よくお似合いで。
麦わら帽子をとって、挨拶をなげてきた。
人に視られながら、女装で歩く。
新たな愉しみに、目ざめたころ。
老爺はにわかに、本性を顕した。

きみの着ている、セーラー服の子に。
ぜひとも逢わせてあげたいね。
その子は以前から、わしが血を吸っている娘ごで。
病がうつって、自分も血を嗜むようになっておる。
きみ、彼女のセーラー服を着たまんま。
彼女のために、血をくれないか?

すっかり仲良くなってしまったボクは。
なんの抵抗も感じないで、老爺のもとめにしたがって。
初対面のその子は、蒼ざめた顔に、整った目鼻立ち。
じぶんのセーラー服を着ている男に、嫌がりもせずに接してきて。
彼女のハイソックスを履いた脚に、かさかさの唇を吸いつけてきて。
干からびた唇が、艶とぬめりを帯びるほど。
ボクの生き血を、吸い取っていった。

それからは。
女の子の服と、引き替えに。
村の人たちに、血をあげるようになって。
未亡人の母親や、ブレザーの制服の妹までも、村に誘い込むようになって。
家族の血も、吸わせていた。
初めてセーラー服をくれた彼女は、来週ボクの花嫁になる。
親戚はだれを、呼ぼうかしら?
黒のストッキングに噛み痕を滲ませた母は。
首すじに赤黒い痣をあらわにしている娘とふたり、
婚礼の出席者リストを、ためつすがめつしていた。

一週間もつづく婚礼のあいだ。
叔父夫婦も、従妹たちも。
妹の友だちも。母の浮気相手の奥さんも。
だれがも首すじに、痣をつくるようになるのだろう。
なん人堕ちるか。
村のひとたちは、その日をとても愉しみに待っている。
前の記事
吸血沼に、遊びに行こう。
次の記事
あかんべえ!

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/2290-6efc6599