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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

新聞配達の少女

2010年12月14日(Tue) 05:12:38

夜明けの街を 白い息はずませながら。
自転車をこいで登る坂道。白のハイソックスの足許に、力がこもる。
リズミカルな音きしませて 背中には新聞紙の束。
街の家々に、朝の訪れを告げてまわる。
今朝も新聞配達の自転車はゆく。
行く手に明るい出逢いを予感して。

うわ~、あと三十軒、あと三十軒。
まり子はあわただしく自転車をとめると、いつものポストに新聞を放り込んだ。
新聞受けの周りの生け垣が生い茂って、伸びてきた枝が、新聞受けのじゃまをしている。
そこはいつものことだから、たくみにねじ込んで。
もぅ~、いっつも入れにくいんだからっ。
だれもみていないのを幸い、まり子は口を思い切り尖らせて、声を出さずにぶーたれる。
さあ、次、つぎっ!
心のなかで、かけ声かけて。
もういちど、自転車のペダルに足をかけた。

あ・・・
むこうから人影がひとつ、ひっそりとたたずんでこちらを見つめていた。
ナオくんだ・・・
同級生の彼は、じつは吸血鬼。
そういううわさは飛び交っていたけれど、ほんとうに彼の正体を知っているのは、
まり子を含め数名の、じっさいに血を与えている同級生たちだけだった。
新聞配達の女の子は自分からべダルを漕いで、ナオキのほうへ近寄っていった。

ナオキは、びくっとしたらしい。
たぶんずっと、あとをつけてきたのだろう。
ばれちゃったのか?
あきらかにそういう、狼狽が感じられた。
おはよう~♪
能天気なくらいにあっけらかんとしたまり子の声に、ナオキはしかたなげにおはよう、と小声で応えた。
ごめーんっ。いまバイト中。血を吸いたいんだったら、あとでねっ。
ことごとく先手を取られて、有無を言わせず頭を下げられてしまうと、もうどうすることもできなかった。

お前、ずっとこのバイトやってんの?
うん、早起きなたちだし、少しはうちに生活費入れないとね。
あんまり豊かではないまり子の家は、年ごろの娘にもそういう殊勝な自覚を与えているのだった。
わかった。じゃ、手伝うよ。
え?悪いよそれは・・・
だいじょうぶだって。マンションの分俺放り込んどいてやるから。
一軒家のほうだけ、まわってこいよ。
それならさいごにマンションの新聞受けだけ点検すればいいんだから。
責任感の強い生真面目な少女を気遣う配慮を、彼はわすれなかった。

ものの五分と、かからなかったろう。
関心なことに、ナオキはノーミスだった。
「詳しいんだ。あのマンションのことなら。血を吸いに行っている家があるからサ」
得意げなナオキに、まり子はまじめな顔をして訊いた。
「コウモリにでも化けて届けたの?」
ナオキはぷっと吹き出した。
なわけないだろっ。
少年は同級生のことを、おどけて叩いた。
制服のスカートのお尻を、さりげなく。
「あっ、やったなっ!」
新聞紙の束でやり返そうとして、まり子はあわてて束を引っ込めた。
「いけねぇ。商売道具商売道具」
ちゃんと仕事意識をもとうとする同級生を、ナオキは眩しげに見る。

「一番乗り~♪」
まり子は自転車から飛び降りると、両腕を振って新聞店に駆け込んだ。
仕事が終わった報告をしているのか、ハキハキとした言葉づかいだけが、店外まできこえる。
失礼しまーす!
あー、お疲れさまー!
新聞店のなかから響く、店主の気さくな声に小手をかざして応えると。
まり子は胸を張って、ナオキのほうへと向かってくる。
セーラー服の上に、寒さよけのトレーナーを着込んでいた。
公園、行こ。
いくら人通りのない夜明けでも、さすがに街のまん中ではためらわれた。
あといくらもしないうちに、早朝のランニングや犬の散歩の人が、通りにあらわれるだろう。
ほんとうはそうなるまえに、街なかでことを済ませたかった。ナオキの顔に、そう書いてある。
行くよっ。
まり子は先に立って、おおまたで歩きはじめた。

ベンチに腰かけた少女のすぐ傍らに、少年は居心地悪そうに、腰をおろした。
真っ白なハイソックスの、ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたりを。
紫のラインが二本、横切っている。
まり子は真新しいハイソックスのふくらはぎを、惜しげもなく差し出した。
「脚から噛むんだったよね?」
少年は同級生の足許を、眩しそうに見つめたけれど。
いつになく、しんけんな顔をして。
だまってそうっと、まり子の首すじを近寄せた。
ぐいと引き寄せられるのに、ちょっとだけあらがって。
セーラー服汚したら、怒るぞ。
ナオキのまえ、ちょっとでもいいかっこしたかったらしい少女は、わざとトレーナーを脱いでいた。

首のつけ根のあたりに、つねられるようなかすかな痛み。
じゅわっ・・・とにじみ出る血潮を、少年は舐めるように喫ってゆく。
女の子と言葉を交わすのも、羞ずかしがって。話すとき決して目線を交えようとしないナオキなのに。
血を摂るときだけは、遠慮会釈なく。
むき出しの首すじに直接、ためらいもせずに唇を這わせてくる。
怖い~!
ことばと裏腹に、内またに脚をすくめた少女はむしろ、はしゃいでいた。
まり子のハイソックス、いい感じだね。
口許に血を滴らせた少年は、すっかり吸血鬼の本性をあらわにしている。
いい感じって・・・なにが?
少女の言葉づかいも、恐る恐るになっていた。
いちど吸いつけられた唇が、牙を噛み入れるためではなくて。
ハイソックスの生地によだれをしみ込ませただけなのを知って。
えっち。
上から少年の頭を、ひっぱたいている。

あー。
ハイソックスを噛み破られるのが、もったいなかったのだろう。
噛まれ慣れている少女が、ことさら痛がるはずはなかったから。
いや、案外と。少年の気をひくために、わざと痛そうな声をあげただけかもしれない。
少女の声が耳に届いたのか、届かなかったのか。
少年は無心になって、少女のふくらはぎを吸いつづけている。
ずり落ちかけたハイソックスに、バラ色のシミを滲ませて。
かすかに引いた、もう片方の足許は。
まだ噛まれていないハイソックスは、ちょっぴりずり落ちてリブをひんまげていて。
なすりつけられた透明な唾液を、あちこちに光らせていた。

貧血ぅー!
家に帰るなり、まり子は玄関に尻もちをついて声をあげていた。
「なぁに?朝からそうぞうしい」
母親はそうして帰ってくる娘に、慣れているようだった。
両肩を抱き起こすようにして、促すと。
お薬入っているからね。
手渡された湯呑みには、お茶が湯気をたてている。
「あったか~い!」
まり子は体温を取り戻したげに、湯呑みを握りしめていた。
「あの子が顔いろよく登校して、あんたが真っ青な顔で学校行ったら、うわさになるかもね♪」
「う~ん、きょう休んじゃおうかなっ」
「だぁーめ!」
娘の恋をからかったお母さんは、教育ママの顔つきにもどっている。


あとがき
ちょうどさっき、新聞配達の音で目が覚めました。
幸か不幸か、うちに新聞を届けてくれる人は、少女ではないようですが。 笑
そういえば中高生が新聞配達のバイトをしているところって、絶えて見かけなくなりましたね・・・
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