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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ぬかるみ 2

2010年12月21日(Tue) 07:58:43

ほんとに、いいの?
かたわらから気遣わしげに、わたしを見あげる妻。
妻を売り渡す。
そんな罪悪感が、わたしのなかに。
妻のそのひと言で、色濃く滲んだ。
一瞬躊躇を、おぼえたとき。
妻の足許から、唾液のはぜる音がした。

よだれに濡れた、白のパンストに。
妻はほんのすこしだけ、眉をひそめる。
足首を掴まえられたふくらはぎは、
男の好色な唇の、かっこうの餌食にされている。
ひそめた眉の、妖しさに。
わたしの被虐心に、火がついた。
ご希望どおり、破らせて差し上げようよ。
唇が、じぶんのものではないように。
よどみなくひとりでに、そんな声色を洩らしていた。
自分がそんなことを口走るのが、不思議だったけれど。
それは心の奥底に眠っていた願望を、正確に代弁するものだった。
あんたのまえで、ストッキング破らせてくれ。
無作法過ぎる、その申し出を。
断りきることができないほど、心を冒されてしまったわたし。
妻はあきらめたように、目を伏せて。
ちょっとだけなにか言いたそうに、わたしを見つめたが。
わたしの瞳に悲しい色を、認めると。
ほんのすこしだけ、救いと納得を見出したように。
あとは淡々と、男の求めに頷きを返していった。

両側からわたしのことを、羽交い絞めにしたのは。
男の息子たち。
そのままロープで、ぐるぐる巻きに縛られて。
硬い床のうえに、転がされる。
ワンピースに深いしわを刻みながら、胸もとをまさぐられてゆく妻を、
きょうもさいごまで、目の当たりにさせられる。
さいごまで理性的に―――
妻のむなしい願望は、こんどもむなしいままに散らされてしまう。
夫が悲しんでいる。わたしを奪われることを、悔しがっている。
そうした形で夫婦の愛情を確認した妻が、あきらめきってゆだねた肉体。
夫の悲しみは免罪符にならないということを、もちろんのことと受け止めながら。
すべては身体じゅうにひらめく性の衝動に、押し隠されてゆく。

小父さん、特等席だね。
ふたりの息子たちは、邪気のない白い歯を覗かせた。
父譲りの逞しい身体が、齢の順に妻にのしかかっていった。
きみたちが自覚しているより、数段残酷なひと言に。
わたしはどうして、胸を騒がせているのだろう?
父子で妻を凌辱しようという、獣どもは。
妻の優雅な装いを、濁った精液で塗り替えてゆく。

止められない。止めることを、許されない。そして、止めないままに、目にしていたい。
腰を折り、膝を割られ、姿勢を崩してゆく妻は。
ほんのしばらくだけ、こらえていたけれど。
ごめんなさいっ。
ひと声、叫んでしまった。
ごめんなさいと言われたら、あんたすべてを忘れるんだな。
男が一方的に決めたルールを、夫婦して素直に共有するのが習慣となったのは。
あの事件から、どれほど日数を経てからだろうか。
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