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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血儀礼 ~ミチヒコの場合~

2010年12月24日(Fri) 08:02:37

引っ越してきた土地に、なじむのは。
子供のほうが、はやいものだ。

つぎのあたったズボンや、古くさい半纏を着た男の子たちのなかで、
都会から村に転入してきたミチヒコのいでたちは、
真っ赤なセーターに、襟だけみせた白のワイシャツ。
グレーの半ズボンの下は、ひざ下まで引き伸ばされた、真っ白なハイソックス。
いちぶの隙もないほど洗練されて、目を引くほどにさっそうとしていた。

行こ。行こ。
学校がおわると、男子たちは合い言葉のように声を交わし合い、
連れだって、村はずれを目指した。
ミチヒコがついていこうとすると、「ここから先はやめとけ」。
いつもそう言われて、さえぎられてしまうのだった。

ボクも行く。
あるときミチヒコは、決然としてそう言い放った。
そろそろ仲の良い友だちがなん人か、できはじめた頃のことだった。
仲良しの連中が口添えをしてくれた。
あんなに行きたがっているんだもの、連れてってやろうや。
でも・・・
いちばん気にかけた様子の、頭だった少年は、それでも思いなおしたように。
おめぇ、田舎だからってばかにしねぇもんな。
承諾の印だった。

えっ?血を吸うの?
さすがに立ちすくんだミチヒコのまえ、級友たちはひとり、またひとりと、首すじをくわえられてゆく。
相手はだれもが顔見知りの、年配の男衆たちだった。
いちばん仲良くなったユタカまでもが、
自分の家のとなりに住む五十がらみのやもめ男に首すじをかまれ血を吸いだされてゆく。
こっち。
頭だった少年は、厳しい目つきでミチヒコを見つめ、別の部屋へと引き入れた。
悪いね、きみ。
小父さんたちはお腹がすくと、こんなふうにして血を恵んでもらっているんだ。
足許ににじり寄ってくる五十男のようすを、ミチヒコは唇を噛んで見おろしたが、
うん、わかった。秘密は守るから。
模範解答ににんまりと弛んだ口許が、ミチヒコの白のハイソックスをよだれで濡らした。

視ちゃダメだって。
そんなことないよ。お前も見ろよ。
あのとき以来仲良くなった、頭の少年は、尻ごみをするミチヒコの袖を引っ張っている。
ためらって後戻りしかけたハイソックスの脚が、半開きのドアに寄り添うようにして立ちどまった。
母の美智恵がエプロン姿のまま、男の猿臂に首っ玉を巻かれている。
男は先日ミチヒコの血を吸った、五十男だった。

ミチヒコの血が旨いって、ほめてたんだ。
それでちょっぴり気になったんだけど、
母親の血も旨いだろうっていうから、お前ん家(ち)教えちゃったんだ。
ミチヒコのハイソックスも愉しみたいし、お母さんのストッキングも面白そうだってね。
いやらしいおやじだよな。
頭の少年の大人びた口調が、冷やかさをつくろいながらもどこか悔しげに響く。

あぁア~っ。
洩らすまいとする呻きが、紅を刷いた口許から、人知れず洩れた。
抵抗する美智恵を、逞しい猿臂のなかにまんまと抱き込んでしまうと。
男はこちらに、ちらと得意げな視線を送ってきたような気がした。
いただくよ。
そういったようだった。
共犯者のまなざしに、ハイソックスの脛ががたがたと震えた。
がぶり。
首すじに牙が突き立てられて、バラ色の血が花柄のブラウスに飛び散った。

テレビに出てくる吸血怪人みたいだな。
評判の孝行息子のはずのミチヒコが、母の危難も忘れて、妖しい情景に見入ってしまっている。
あ・・・あ・・・あ・・・
美智恵は生き血を吸い取られてゆきながら、白目をむいて姿勢を崩していって、
しまいにじゅうたんの上、肌色のストッキングに包まれたひざ小僧をぺたんと突いて、
さらに姿勢を崩して、じゅうたんの上にうつ伏してしまった。
あれ、うちの親父なんだ。息子の血だけじゃ足りなくってさ。よろしく頼むな。
頭の少年は、ちょっぴりすまなさそうな顔をして、ミチヒコの家をあとにした。
悪友から腕を解かれて自由になったミチヒコは。
つま先をぴんと立てて、なまめかしい感じのするストッキングのふくらはぎをぞんぶんに舐めさせてゆく美智恵のようすを、ゾクゾクとした妖しい昂りのなかで、見守りつづけていた。
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