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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

わるい女の子

2010年12月28日(Tue) 05:45:08

血を吸い放題なんて、最高~♪
真夜中のあぜ道を、女吸血鬼の夕姫は鼻歌交じりに歩いていた。
フリフリのブラウスに、真っ赤なチェック柄のミニスカート。
田舎道にはまったく、浮いたイデタチは。
人間だったころからの、彼女のお気に入りだった。

派手好きではね返りだった彼女は、村の人たちからは浮いていたけれど。
ふとしたことから吸血鬼になったおかげで、いまは仕返しをする側にまわっていた。

夕べは、仲の悪かったクラスメイトの父親を。
おとといは、意地悪だった母方の伯母を。
そのまたまえの晩には、大好きだった兄さんと結婚を控えていた、あの憎い女を。
つぎつぎと毒牙にかけて、押し倒していった。

だれもかれもが、従順に。
彼女の食欲を、満たしてゆく。
顔色は日に日に、蒼ざめていって。
しまいに夕姫どうよう、墓場送りになるのだろう。
そうなったからといって、性悪な夕姫とおなじく吸血鬼になれるとは、保証の限りではないのだった。

血を吸い過ぎて、太っちゃう~♪
ピチピチとした太ももを、ミニスカートから小気味よくさらけ出しながら。
棲み処の墓場に向けての快適な足取りが、ふととまった。
行く手を遮るように、だれかが両手を広げて立ちはだかっている。
よく見ると、夕姫よりもずっと年下の男の子だった。
お願い。パパやママの血を、これ以上吸わないで。

あら、坊や。視ていたの?
こういう状況にすっかり慣れっこになっている夕姫は、男の子に邪慳な声を投げつけた。
お姉さんの食事を、邪魔する気?
男の子はむしろすまなさそうに、もじもじし始めていた。
夕姫は男の子に寄り添うように、身体を寄せて、
彼の身長にあわせるように、かがみ込んで、そむけようとした顔を覗き込む。
ね。あたしが食事をするのが、そんなに嫌?
だってあたし、吸血鬼なんだもの。
人の血を吸う権利があるのよ。
ボクにも・・・ママを守る権利がある。
男の子はやっと、そういった。

そう。
じゃあ、お姉さんがいいことしてあげる。
感謝するのよ。ガキは襲わないことにしていたんだから。
一瞬牙が月明かりにきらめいて、男の子の首筋に吸いこまれていった。
ァ・・・
悲鳴は一瞬だった。
しゃがみ込んだ女は、男の子の首すじに食らいついて。
ごくごく、ごくごくと、喉を鳴らしつづける。

お願い。お願いだから。
パパやママをボクから奪わないで。
ボクの血でよかったら、あげるから・・・
少年の哀願に、夕姫は耳を貸すつもりはなかった。
獲物が一匹増えた。もっけの幸いだ。そんなふうにしか、感じることができなかった。
どうしよう?どうすればいいんだろう?
お姉ちゃんが死ななくて、パパやママもボクも幸せになる方法って、ないのかな・・・
悪知恵いっぱいのお姉さんは、毒々しい声で囁いた。
あるわよ。みんな仲良く、天国に行くの。

あら~、男の子のくせに、ハイソックスなんか履いているのね。
お姉ちゃんと、おそろいじゃん。
夕姫は脛の半ばまでの紺のハイソックスの脚を、男の子の脚に添わせていって。
自分の脛の長さしなやかさを誇るように、ぴったりと圧しつける。
かわいいわね。どぎまぎしてる。
もうすこしだけ、血を吸ってしまえば。
この少年は完全に、自分の奴隷になる。
夕姫は躊躇なく、自分の権利を行使した。

また逢おうね。坊や。
ウン、約束ね・・・
指きり、げんまん。
こうしちゃったら、あたしの勝ち。
あんたのパパも、指切りしてくれたし。
てっきりだんなの浮気だと早とちりしたきみのママも、
あたしがまだ穿いたことのないパンストの脚をさらけ出して、噛ませてくれた。
亭主のまえで肌色のパンストを、めりめりと噛み剥いでいったときの小気味よい記憶が、ありありとよみがえった。

男の子はずり落ちかけた紺のハイソックスを、お姉ちゃんとおそろいなんだねって言いながら、引き伸ばしてゆく。
噛み痕につけた穴ぼこから、白い脛がはっきり覗く。
でも、お姉ちゃん。
約束どおり、パパとママの生命を助けてね。
ニッと笑った白い歯に、夕姫ははじめてどきりとした。
自分がなにか間違いを犯したことに、薄々感づくと。
気味の悪い子ね。
吐き捨てるように、そういって。
男の子に後ろ姿を見守られながら、墓場に戻っていった。

数年後。
ね?生き残れただろう?ふたりとも。
新婦の席に座り澄ました夕姫の隣り。
新郎の席には、あの男の子が座っていた。
スラックスの下、自分とお揃いの紺のハイソックスを履いているのを、彼女だけが知っている。
ボクたちは、共犯だからね。
あとはよりどりみどり。姉さん、うまくやるんだよ。
いまは夫になった年下の彼のいうとおり。
一週間続く田舎の婚礼の合い間に、
新郎の親戚でめぼしい者たちは、血に飢えた花嫁の来訪を受けていた。

ひとりに七人くらい、相手がいると平気だね。
きみは七人、浮気相手をもってもいいからね。
その代わり、相手の男はきれいな奥さんか娘さん持ちに限ることにしようね。
それからきみの親戚も、紹介してくれなくちゃいけないよ。
きみも大嫌いなご両親も。やっぱり大嫌いな伯母さんも。
さらに大嫌いな兄嫁さんも。
ぜんぶ、ボクが味比べしてあげるから。
新婦は新郎の掌に、自分の掌を重ねていった。
はた目には、愛し合うふたりが寄り添う合っているように見えたことだろう。
新郎の皮膚の冷えを確かめると。
ちょうどお酒を注ぎに来た新婦の友人代表の女の子に、耳打ちをして。
彼氏を連れてくるようにと、命令する。
彼女のことは、あたしの花婿が。あの子の彼氏のことは、あたしが。
今夜、めんどうを見てあげる。
だってあの子、あたしの行きたかった高校に、独りで合格したんだもの。
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