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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

応接室

2006年04月29日(Sat) 06:33:21

訪れた家のあるじは、いんぎんな男だった。
きれいに分けた髪。シャープな感じを漂わせる銀縁眼鏡。
一見して、さばけたエリートである彼は、どうしてあの男の餌食になったのだろうか?
彼は心から吸血鬼と、私とを歓迎して。
応接間に迎え入れてくれる。

いらっしゃいませ。
楚々とした物腰で現われた若い女性は、奥さんだろうか?
それにしてはしょうしょう、若すぎるような気もする。
なによりも。
あるじとよく似た面差しが、血のつながりを感じさせた。
ちらちらとさりげなく、失礼にあたらないていどに注がれる視線を感じながら。
その柔らかさから、視線の主に悪意も警戒心もないことを察していた。
カチャリ。
よどみのなかったやり取りが一瞬断ち切られて、
テーブルに置かれる陶器がたてる、かすかな音だけが四人の男女のまん中にある。

あら。
ふたたびドアが開かれると、べつの女の声がした。
ちょっと驚いたような声色に、かすかな不平を滲ませている。
「やあ、すまないね」
気まずくなりかけた空気を、よどみのない夫の声が救っていた。
「自慢の家内、みゆきです。27歳。まだ子供は生んでいません。いい身体してますよ。^^」
「まぁ」
ちょっと諧謔味さえ帯びた夫の紹介に、妻の機嫌はすっかり直っている。
「こちらは妹の早百合。こら。抜け駆けしちゃダメだぞ。嫁入り前の処女なんだからな」
処女。
そんなことばを耳にすると。
びくりと反応するのが隣にいて痛いほど伝わってくる。
お前は手を出すなよ・・・
そんな気配が、ひしひしと。

「では、わたしはちょっと用足しでもしてきますか」
夫であり兄であるその男はたんたんとそういって。
早くも席を立ちかけた。
いや。しばらく・・・
吸血鬼は手で制した。
外はまだまだ肌寒い。そういうときの独り歩きは寂しいものですぞ。
そんな想いをさせたくはないものだ。
そういいおいて。
まず御婦人方にお目にかけねばな。
つぎの瞬間、スッと足許に忍び寄っていた。
たくし上げられたスラックスからあらわになったのは。
女ものの、黒のストッキング。
誰のもの・・・?
女たちの目が、いっせいにそそがれる。
それと察したように。
「きみ達のは小さすぎてね」
苦笑いを浮かべながら、咬まれていった。
足許からあがる異様な音に、女たちもいつか身を寄り添わせて。
ちょっと蒼ざめて、聞き入っている。

男におとずれたのは、ほどよい陶酔。
彼の目がとろんと鋭さを失うと。
女たちの運命は、定まった。
処女はわしがいただく。
吸血鬼はこちらを睨むようにそういうと。
貴方も、見届けるのがお役目ですぞ。
おだやかに、そう告げる。
これから妻と妹を犯されようとしている男は晴れやかに、迷惑そうな苦笑いを浮かべていた。
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