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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

古屋敷の女あるじ 3

2011年01月03日(Mon) 08:15:17

またイタズラしているの?
背後から出し抜けにかけられた声に、ちひろはハッと振り向いた。
あ、は、は、は・・・
可憐な面ざしには不似合いな、開けっ広げな笑い声をたてて。
足音を消して忍び込んだはず・・・の母の寝室に入ってきたのは、妹の静香だった。
十四歳とは、不思議な年齢である。
きのうまでの子供っぽい稚気と、時おりみせるどきっとするほどの大人びたなまめかしさと。
時には、都合よく。時には、本意と無関係に。
代わりばんこに、あらわにしてくる。

母が亡くなったすぐあとに再婚した、あの女の連れ子。
いつも身なりをきちんとして、学校の成績から挙措動作まで、あらゆるところが優等生。
人形のような従順さに由来する母親からの溺愛を、とうぜんのことのように受け流していた。
そのあまりにもきわだつできのよさに、こましゃくれたものを感じていて。
まだ少女が稚なかったころには、ほとんど口もきかず無視していたけれど。
ただの連れ子ではないらしい。
そんな確信が深まったのは。
長じるに従って少女が帯びるようになった、母親とは異質な気品が、父と似通ったものであることに気づいたときのことだった。
お父さまとはね、わたくし昔からのおつきあいがあるの。
時おり自慢げにそう口にする継母の、いつもながら毒を含んだ語気が。
父が彼の生母を裏切りつづけていた。その事実を語るものだと気がついたとき。
ちひろの継母に対する拒否感は、決定的なものになっていた。

溝の深まる一方だった母親と比較して。
少女の膚が透きとおる艶を帯びるにつれて、兄妹の関係は近くなっていった。
お兄さまが、ママの下着をイタズラしている。
年ごろの少女の潔癖さが何よりも忌むような、目をそむけたくなるようなちひろの性癖ですら。
静香はにこりとほほ笑んで見過ごしにしていた。
ときにはじぶんから、兄の勉強部屋を訪れて。
これ借りてきたの。ママにナイショで。
突き出した握りこぶしを、すこし弛めて。
ふわっと垂れ下がる薄黒のガーターストッキングを鼻先に突きつけられた兄の、きょとんとした顔つきに。
少女は手を打って、悪ガキとしかいいようのないけたたましい笑い声を立てたのだった。
ママは嫌いでも、下着は好きなのね?
兄の性癖を見抜いた少女は時おり、自分用のストッキングやハイソックスを必要以上におねだりしたり、
ママのショーツやストッキングを黙って借りてくるようになっていた。

継母の留守中、どうしてもガマンできなくなって。
思い切って忍び込んだ、継母の寝室。
しかしクローゼットには施錠がされ、箪笥の抽斗もためしてみたがだめだったとき。
静香がだしぬけに、声をかけてきたのだった。
そんなことしても、ダメよ。ママとっくにお見通しなんだもん。
こっちへいらっしゃい。
少女は兄に対して、命令口調になっている。

これ借りておいたの。ママに内緒で。
目の前にぶら下げられたのは、黒のネットのストッキング。
このあいだママがこれ穿いて出かけたとき。
お兄さまたら、ママの足許じいっと見つめていたでしょう?
嫌いなはずのママなのに、視線が熱~いっ♪
少女はわざと、かわいらしく手を合わせて。
ほてったちひろの頬を、冷やかし言葉で撫でさするようにいたぶると。
つぎの瞬間、がらりと態度を変えて、兄の目線をひたと見据え返していた。
穿いてもいいわよ。ただしあたしの目のまえで。
お兄さまに、それができる・・・?
母譲りの黒い瞳が、挑発的に輝いていた。

似合わないだろ・・・?
さすがに穿きかえるところを見せる勇気はなくて、
いったん引き取った自室で、震える手ももどかしく、ストッキングのつま先をさぐっていた。
肌理(きめ)の細かい網目模様が、不規則なうねりを帯びて、密着した脚のしなやかな筋肉の起伏をきわだたせせている。
まるで、本物の女の脚のようだった。
男のくせに、娼婦に堕ちたような気分と。
おりなす非日常の雰囲気につき動かされるようにして。
デニムのショートパンツをどうやってはいたのか、まるで憶えていない。
静香の部屋のドアのまえ、一瞬立ち止まって。
さすがにためらって、網タイツの脚で足踏みをして。
ドアの向こうから、少女のかすかな身じろぎが、
ウキウキとしたイタズラっぽい期待に満ちている気配をかんじると。
もう、やけのようになって、折り目正しいワンピース姿のまえ、網タイツの脚をさらしていった。

すごい!お兄さま、とても似合ってる♪
静香は両手を合わせ、手放しの称賛を浴びせかける。
ちょっとだけ、触らせて・・・
伸びてくる少女の掌を、ちひろは胸をズキズキさせながら、待ち受けた。
おずおずと指先で触れて、掌をあてがって、そうっとすべらせる。
じわじわと波打つナイロンの束縛感が、すっかり敏感になってしまっている少年の皮膚を妖しく疼かせた。
淫らな血がドクンドクンと脈打つ音さえ、きこえるかと思うほどだった。
心臓を衝きあげるほどの昂りに、夢中になって。
少女がふたたび指先で脚に触れて、網タイツに手をかけるのに気づかなかった。
ばりっ。
ちひろの穿いた網タイツを、静香は無表情に引き破る。
言葉を喪った兄の足許を。
妹は容赦ない手で、辱めていった。

ママが大嫌いなの。
網タイツの日は、あのひとの浮気の日なのよ。
静香が自分の母親を、「あのひと」と他人行儀に呼ぶのを。
ちひろは初めて、耳にした。
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