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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

古屋敷の女あるじ 7

2011年01月03日(Mon) 14:48:42

ふふ・・・ふふふ・・・ふふふふふふふ・・・っ。
障子ごしに洩れて来るくすぐったそうな笑い声に。
ちひろはちょっとだけ、肩をすくめて。
それからそうっと、音をたてないように。障子を細めに開けていった。
細めに開いた、障子のすき間。
セーラー服姿におおいかぶさった着物は、撥ねかした血潮に薄汚れていた。
着物姿の下になった少女は、
ちょっと、だめえっ。くすぐったいわっ。
はしゃいだ声をたてながら、ハイソックスの脚をばたつかせている。
白地に赤と青のラインが入ったハイソックスが、片方だけ。
脛のまん中あたりまで、ずり落ちていた。

老女の肩を、掴まえて。
血のべっとりと塗りたくられた頬を、ぺたぺたと叩いてやる。
それでも未練がましく、獲物を離すまいとするのを。
両脇から抱え込むようにして、引きはがした。
たたみの上尻もちをついた老女は、まだ朦朧となっていて。
吸い取ったばかりの血潮を、だらしなく口許からぽたぽたとしたたらせていたし。
あお向けになって大の字にねそべったままの少女は、
セーラー服の襟首を過ぎる白のラインにまで、赤黒いシミをべっとりと滲ませて。
たっぷり愉しまれた白のハイソックスにも、おなじ赤黒いシミを広げていて。
もう~。
蒼白い頬を引きつらせ、白目を剥きながら。
老女の吸い過ぎに、口を尖らせていた。
やれやれ。
老女と妹を見比べながら、ちひろはわざとらしくため息をついた。
こういうことが珍しくない証拠に、なにかともの慣れないはずの不器用な少年は、
落ち着きはらったようすだった。

衝動的な吸血で、生命を落とすものもあるのだろう。
今夜の妹が、まさにそういう危険な段階だったのを。
ちひろは目ざとくみとめていた。
あぶないあぶない。
淡々と乾いた声で、妹を介抱にかかると。
ほんとだよ~。
さすがの静香が、やつれた声を出していた。
週三の約束なのに、金曜も誘うなんてな。お前の血、よっぽど美味しいんだな。
兄貴にそう言われると、さっきまでのシリアスさはどこへやら、静香は両手で頬を抑えて羞ずかしがっている。
俺にもちょっと、吸わせろ。
兄の求めは、否応なくだった。
セーラー服の襟首のすき間から、胸もとの傷を吸う兄に。
静香は悩ましく、眉をひそめて応じてゆく。

いくら週末の夜だからって、娘の帰りが遅いと母さんが心配するんだけどな。
しまりのない親を叱るしっかり者の孝行息子のように、口を尖らせるちひろに。
老女は決まり悪そうに、にたにたと笑うだけだった。
ママ今夜は帰らないはずよ。だってパパは泊まりの出張だもの。
静香は小賢しく、老女を弁護した。
たいしたご家庭のようじゃな。
冷やかすような老女のことばを、兄も妹も否定できない。
母親は、不倫。父親はそれを見越して出張・・・といいながら、
案外と逢い引きの場を心得ていて、ひそかに与えられた覗きの機会に昂りを見出しているのかもしれない。
そして年若い兄妹は、老女相手の吸血という忌まわしい愉しみに耽っている。
一見なに不自由ない都会の良家の、見事なまでに裏腹な内幕だった。

お兄さま、その格好はなに・・・?
静香が兄のいでたちに気づいたのは、不覚にもだいぶあとになってからだった。
ようやく目が見えるようになったようじゃの。
老女のからかいを無視して、ひたと見据える兄の服は。
母がよそ行きに来て行く、濃紺のスーツだった。
お兄さま、きれい・・・
呆けたようにうっとりとした視線で、静香はちひろを視た。

母のよそ行きの服です。
お婆さまにたっぷり、虐めてもらおうと思って。
濃紺に白の水玉もようのミニスカートから、にょっきり伸びた脚は。
継母のお気に入りの、濃紺のストッキングに、ジューシィな彩りを滲ませていた。
娼婦みたいでしょう・・・?
そもじも今宵は、娼婦に堕ちたいか・・・?
老女の問いに、少年は素直にこっくりとうなずいていた。
差し伸べられたふくらはぎは、ぴったりと密着した濃紺のナイロンが。
しなやかな筋肉の起伏を、淡くなまめかしい濃淡に染め上げて、
色濃く淫靡な陰影を、きわだたせていた。
なまめかしいストッキングに染めた足許に、ヒルのように慕い這わされてくる唇を。
ちひろは息を詰めて、見おろしている。
ああっ、ママが辱められてゆく・・・っ。
吸いつけられた唇が。
皮膚にかすかな唾液をしみ込ませながら、薄いナイロン生地を歪めていくありさまが。
母が襲われる想像と二重写しになって、ちひろを狂おしい妄想に突き落とした。
うら若い身体を、マゾヒスティックな昂りを秘めた血がぐるぐるめぐって、淫らな毒を全身にいきわたらせていった。

ああっ・・・だめえっ。
芝居がかった声色は、いつか本音に変わっていた。
純白のブラウスの胸もとを引き締める、ふわふわとしたボウタイに。
赤黒い血が、撥ねかって。
めくりあげられた水玉もようのミニスカートから、濃紺のストッキングの太ももを、さらけ出す。
淫らな血に染められたブラウスは、不規則な水玉もようを描いていって。
足許を染める薄手のナイロンによぎる伝線は、淫らなカーブを描いてゆく。
きれい・・・
失血でぼうっとなった、視界の彼方。
極彩色の吸血絵巻に、静香はさっきから両手を握り合わせて、
ウットリと見入ってしまっていた。
もちろん・・・目の前で凌辱を愉しんでいる兄と、老婆の淫らな好意をおそらく侮辱としてしか感じることのできない母親とを、二重写しにしながら。

え・・・?
歓楽のるつぼから、急速に現実に引き戻された。
われに返ったちひろは、老女とふたり身体をもつれあわせながら。
ふたりそろって、視線を静かに集中させていた。
たったいま口走った言葉を、静香はもういちど、くり返す。
ママの血も、吸わせてあげようよ。
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