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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

古屋敷の女あるじ ~静香の肖像~

2011年01月10日(Mon) 07:52:59

はい。わたくしは、あの静香お嬢様の乳母でございます。
お嬢様の日常は、吸血鬼になってからも、あまり変わりはございません。
お顔の色がやや、蒼くなられたようですけれど。
それも、言われてみればどなた様も、お気づきにならぬていどのもの。
もともと色の白いお方でしたもの、
かえってお肌がしっとりと透きとおり、以前より大人びて見えることさえございます。
もちろん・・・お年頃、ということも、ございましょうね。

学校に行かれるときでなくても、お嬢様は好んでセーラー服をお召しになります。
ええ、どちらの学校でも目にするような。
オーソドックスな濃紺のセーラー服で、襟に白の三本線が入ってございます。
しいていえば、たっぷりとした純白のリボンが、ほかの女生徒よりもふさふさと見えましょうか?
それも、過度なほどではございません。
なにかと目だつことのお嫌いなお嬢様は、清楚でごくごく地味めな装いを好まれるのです。
スカート丈も、おひざが少し見えるかどうか・・・という長さ。
間違っても、昨今流行りのあのショートパンツのようなミニなど、お召しになられません。
おひざがね。
ちらちら見えたり隠れたりするくらいが・・・お兄さまもお悦びになられるの。
いつも、そのように仰います。
ええ。貴方様も、ご存知でいらっしゃいましょう?
あのお二人、兄妹ながら恋仲でいらっしゃるのですよ。

セーラー服でないときには、純白のブラウスに黒のスカートの日が多うございます。
それも、いまどき流行りのメイド服とやらではございません。
ブラウスは無地で、シンプルなタイのついたもの。
セーラー服のときとおなじように、それをふんわりと結ばれます。
スカートも無地で飾り気のないもので、
まるで小公女セイラさまのようですわ、って申しあげましたら、ひどく御機嫌が麗しうございましたっけ。
ほほほ・・・
いくら吸血鬼と怖れられましても。
そこはやっぱり、年ごろの女の子でございますものね。

御髪(ぐし)の色は、しっとりと鮮やかな黒。
いまどきの子のように、染めたりなどもなさいません。
その黒さを見せつけるほど長々と、肩先までストレートにおろしていらっしゃるのです。
パーマネントで、ございますか。
いえいえ決してそのような、ちまたの女性たちが好むようなこともなさいません。
あら婆や。そんなことしなくてもあたし、じゅうぶん綺麗じゃなくて?
いつもそう仰っては、にこりとほほ笑まれるのでございます。
豊かな御髪を、けだるげに重たげに、ゆさっ・・・と揺らされますときは。
墨を流したように鮮やかな黒い御髪が、まるでべつの生き物であるかのように、ツヤツヤと輝いておりまして。
女のわたくしでさえ、どきりとするほどのなまめかしさでございます。

目鼻立ちは、そうですね・・・
こけしのような・・・とでも申しましょうか。
エエ、ほんとうに、お人形さんのようでございますの。
引目鉤鼻(ひきめかぎはな)・・・そう申すのでございましたね?
そう、あのいにしえの絵巻物に出てまいりますような、
夢見るような目に、ほんのりと格好のよい、控えめな鼻と唇。
あのあえやかなお方が、あの醜い老婆様の毒牙にかかるところなど・・・
乳母としては決して、目にしたくはない場面でございます。
表情の変化に乏しいところなどはむしろ、
吸血鬼におなりになってからのほうが、よほどきわだったように感じられます。
喜怒哀楽をあらわにせず、まるで能面のような無表情で、お人に近づいていかれて。
ひっそりとほほ笑まれるのは、そう・・・お相手のかたに噛みつく間際のことでございますの。
でも・・・よろしゅうございましょう?
襲われる殿方も、ご婦人も。
あのお嬢様のかわいらしい笑みを、目にすることができるのですからね。

足許はいつも、黒のストッキングか真っ白なハイソックス。
これもまた、飾りも柄もないものが、ほとんどでございます。
昔の流行りがお気に召すのか、ハイソックスのときにはラインの入っているものをお召しになることがございます。
お兄さまのたしなまれる、スポーツ用のものとおそろいなのかもしれません。
お嬢様の肖像画を、お描きになりたいと?
どうぞ、お気をつけ遊ばせ。
あのお方の絵、似せれば似せるほど、絵が突如としてご本人にすり変わる・・・って、伺いますもの。
ええ、このあいだお見えになられた、あのかたも。
アトリエで大の字に、伸びていらして。
それは幸せそうにへらへらと、お笑いになるばかりだということでしたの。
生命に別条は、ございませんでしたものの。
数日後、ふいとどこかに出かけて、そのまま戻られなくなられたそうな。
そういえば。
お邸の奥まった、あの古いアトリエで。
吸血鬼に襲われる女の絵ばかり、憑かれたように描いているものを見かけたとか見かけないとか。
はたしてお嬢様は、絵の中では襲うほうなのでしょうか。襲われるほうなのでしょうか。
ちょいと、関心のないわけではございませんが。
まだ、そのアトリエにお伺いしたことは、ございません。
わたくしも・・・まだ長生きをしたいですからね。

血を吸われるお嬢様がたにも、お望みはきつうございますね。
まず、はしたないところが、なりや態度、お顔に出ては失格です。
むしろつらそうに顔をしかめて、さいごまでがたがた震えて怖がるかたが、お気に入りです。
まちがってもとろけるようなお顔をいたしますと、きついお仕置きが待っております。
あくまで奥ゆかしく、受ける汚辱をためらいながら受け容れる。
そんな、ヤマトナデシコのようなお嬢様が、とてもお好みでいらっしゃいますの。
どちらかというと地味めで、華のないかたが多いでしょうか?
衣装もお嬢様のお召しものとおなじく、やたら派手なものをお嫌いになります。
だって・・・血が撥ねたらじゅうぶん、華やかになるわ。
先日お嬢様のお言いつけでお引き合わせした、わたくしの姪を襲ったあとも。
そう仰りながら、吸い取った生き血を、姪のブラウスの襟にふりかけていかれたのでございます。

貴方さまにも、お身内のお嬢様に。
そういうお方は、いらっしゃいませんか?
どうぞご遠慮なく、お連れあそばせ♪
及ばずながら、わたくしが。
見事に介添えしてさしあげましょうほどに・・・


あとがき
だんだん静香が、二代め古屋敷の女あるじ になりつつありますな。^^
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連れだって歩く、脚、脚、脚・・・
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古屋敷の女あるじ 番外編  静香が迫る。

コメント

乳母の語りで静香さまの容姿を事細かに説明してくださるとは…
やはり思った通りの清楚で美しい女性ですね。
その姿と裏腹に妖艶な吸血鬼としての本質を持っているのですから
私も彼女に夢中になってしまうのも仕方ないことか…

しかし、後半の静香さまの吸血鬼としての恐ろしさといいますか
もう彼女は魔性の女でありますな。

私も彼女の魅力の虜になってしまわぬようにしなければ…
私には既に忠誠を誓った方がおります故…
私が吸血鬼なっても支配できるような方ではありませぬ… ブルブル

柏木さま、静香さまの詳細な容姿の説明、ありがとうございました!
by アクノス所長
URL
2011-01-12 水 23:38:34
編集
忠誠を誓った などと。
そのようなこと、めったに口になさるものではございませんよ。
静香様がそれをお耳にされたならば。
貴方様はどのような要求を呑まされるか、わたくしにもわかりかねますもの。
あっ、どうやら静香様がお見えになられたようです。
叱(し)―――ッ!
by 乳母
URL
2011-01-14 金 06:26:32
編集
>アクノス所長さま
すっかり悪乗りしちゃっている柏木です。
(^^ゞ
なんだかね。
これ描いているときって、登場人物になり切れちゃうんですよね。
静香といい。乳母といい。ちひろといい。
だれかが私のなかに入り込んで、私の手を借りて勝手に描き進んでいる感じがするんですよ。
えっ?それこそやばいじゃないですか って? 笑
うーん、でもこのお話にかぎらず、そういうときってすごーく気分よく、いいお話描けちゃったりするんですよねぇ・・・
by 柏木
URL
2011-01-14 金 06:29:54
編集

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